80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

プロジェクトA Project A A計劃・ユニバーサルジャパン

2014-01-20 22:55:02 | 映画・DVD・CD

 プロジェクトA(A計劃、Project A)は、1983年に公開された香港映画。


 ジャッキー・チェンのデビュー10周年に、主演、監督、武術指導、脚本をジャッキーが勤めた記念すべき作品。構想4年、製作に2年を費やしたジャッキーの代表作にして、未だに最高傑作と言われることも多い映画です。また、それまでの酔拳、蛇拳、ヤングマスターなどの古典的な香港カンフー映画から、スピードを重視した現代的な作風へと脱皮を遂げた作品でもあります。


 舞台は、1900年代のイギリス植民地下の香港。ジャッキー扮するドラゴンの所属する水上警察と、ユン・ピョウ扮するジャガーの陸上警察が、反目しながらも協力して、香港の海を荒らす海賊を退治するストーリー。そこへサモ・ハン・キンポー扮する盗賊も絡んできて、当時の香港映画3大スターにして中国戯劇学院の七小福3人組が競演した作品でもありました。

 
 当然、日本でもヒットを記録して、ブルースリーとは異なるコミカルカンフーで注目を集めていたジャッキーの人気が、本物へと変わるきっかけとなりました。中でも有名なのが、20メートルの時計塔からの落下シーン。危険なアクションもスタントを使わず自分でやることが香港時代のジャッキーの売りであり、CGもない時代ですから、実際に3回も落下しています(本編とNG集で3回とも見れる)。その他にも、今見ると計算されつくしたアクションが詰め込まれています。また、若いためハリウッド進出以降のものと比べても、アクションの切れが格段に速い。


 80年代以降のジャッキー人気を決定付けた作品で、続編としてプロジェクトA2、3大スターの競演作として、スパルタンX、サイクロンZと、続々とジャッキー映画が作られていきました。この時代のジャッキーは、バトルクリークブロー、キャノンボール、プロテクターとまだハリウッド進出は成功していませんでしたが、日本での人気は最高潮に達していたと思います。


 続編プロジェクトA2。サモ・ハン、ユン・ピョウの3大スター競演はなりませんでしたので、幾分か地味。それでもゲーム化されるなど、注目を集めました。個人的には、ポニカから発売されてたMSX2版が印象深い。


 2004年に講談社より発売されたジャッキー本、ジャッキチェン最強伝説。マイナーなものからメジャーなものまで、ジャッキー主演の映画を紹介しています。


 当然、このプロジェクトAは、ジャッキー映画の金字塔という扱い。


 当時の思い出としては、劇場に見に行ったよう記憶しています。この頃は、2本立て3本立てで入れ替えもありませんでしたので、新作から、日本で公開されていなかった旧作、主役でなくカメオでゲスト出演したものまで含めて、次々とジャッキー映画が上映されていました。まだゴールデン洋画劇場など、地上波でも頻繁にカンフー映画が放送されていました。その後の漫画やゲームなどに与えた影響も大きいものだったと思います。


 ということで、明るく楽しい80年代ジャッキーを象徴する一本。ジャッキー・チェンのプロジェクトA(A計劃、Project A)でした。



参考:Wiki プロジェクトA、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポーの項、ジャッキーチェン最強伝説/講談社

太陽のしっぽ WILD・PURE・SIMPLE LIFE・アートディンク

2014-01-13 19:03:05 | レトロゲームReview

 これは、1996年にアートディンクより発売された原始生活ゲーム、太陽のしっぽ WILD・PURE・SIMPLE LIFE


 あまりにも古いネタが続きましたので、新めのものを。といっても、18年も前のものになります。プレイステーション1の時期に数多く発売された、ゲームという枠組みを超えた実験的な作品のひとつ。ジャンル分けが難しいですが、アクション、謎解き、成長の要素を組み入れた、シミュレーションといったところ。作者は、アクアノートの休日、巨人のドシンの飯田和敏氏。


 WILD・PURE・SIMPLE LIFEの副題が付いており、裏面の解説にはけものをみがけ!のコピーが。原始生活ゲームの名のとおり、原始人となって原始生活を体験するという内容。今ではクソゲー扱いされることも多い作品ですが、当時のファミ通では8、8、8、6の40点満点中30点と、殿堂入りシルバーの得点を与えられるほどの評価がされていた。


 作者の飯田和敏氏が、多摩美術大学油絵科卒ということもあって、パッケージにもアートよりの雰囲気が漂う。当然、当時としてもそれが売りだった。


 説明書とCDにもアートイメージで統一されている。なんだかんだいっても、このような作品は他にはなかった。


 ゲームは、原始人となってポリゴンで作られた仮想の原始世界を自由に散策するというもの。仮想の海を散策するアクアノートの地上版といった趣。実在する魚を使いリアルさを売りにしていたアクアノートとは異なり、原始人も動物もコミック調になっている。日が昇って時間とともにやがて日が沈む原始世界を走り回っていると、いきなり原始人が寝てしまい操作不能になるなど、従来のゲームという概念からははみ出す要素があちこちに加えられていた。


 ゲームの文法的な方向から、落ちている食べ物アイテムを食べることで成長する要素が入っている。原始人は、生命力、腕力、ジャンプ力、繁殖力など様々なパラメータを持っているが、マスクされておりプレイヤーからはわからない。落ちているアイテムを食べることで、少しずつパラメーターが上がる。各地に散らばる遺跡から紋章を入手することでも、水泳が可能になったりパワーアップする。


 基本的に自由で、しなけらばならないことは少なく、やりたいようにやるのが目的のデザインだが、ゲームの文法的な目的やエンディングも入っている。繁殖力を上げて仲間の原住民を増やし、パワーアップしてマンモスを狩れるようにする。マンモスの牙を持ち帰り、牙をくみ上げて塔を作って太陽のしっぽに到達するというもの。マルチエンディングとなっており、シュールなエンディングが数種類ほど用意されている。


 あちこちにシュールな要素や、前衛的な試みがされており、(子供でも遊べないことは無いが)大人向けの作品。ファミコンで大きくなった子供が、そのままプレイステーションに移行して、ゲームが子供のものではなくなり始めた時代を示している。


 プレイステーション初期に登場して、非ゲーム的な作品として話題となったアクアノートの休日。プレイステーションでは、それまでゲームをしなかったライトユーザーの取り込みとともに、ゲームの枠をはみ出す試みが多くなされていた。


 特に決まった目的も無く、ポリゴンで形成された仮想空間(仮想の海)をうろつく、環境ソフトの走りともいえる作品。アクアノートの休日は、ヒットしたため続編がいくつも作られた。


 アートだとか、お洒落方向の意匠を施されていたのも、この時期の非ゲーム的作品の特徴。プレイステーション自体が、ROMカセットに代わりCD-ROMを使用していたりだとか、AV機器やウォークマンのような音響機器の様でもあった。音楽CDを買うような感覚でゲームを選べた。


 飯田氏の作品ではないが、同じアートディンクの環境ソフト的な風のノータム。気球で自由に空の散策を楽しむというもの。ゲーム性はかなり低かった。


 アートよりではないが、同じような方向性のエニックスのグーグートロプス。マンモスを狩るのが目的で、原始人がいきなり寝てしまうなど、太陽のしっぽからの影響が見られる。変わった方向性のゲームとしては、エニックスにはAI(人工知能)を使用したアストロノーカという作品もあった。


 見た目は普通のゲームっぽくなってますが、これもかなり変わった作品のよう。プレイステーション1の時期には、このような非ゲーム的な変わった作品が一つのジャンルになるほど数多く出ていた。


 個人的な感想としては、広いのだけど延々と同じ風景が続く作りなので、すぐ飽きます。プレイステーション初期には効力のあった、アートっぽい方向の効力も現在では失われています。ただ、原始世界を自由に散策できるという体験は、してみたいかと問われればしてみたいと思えますし、それをかなえられるという意味では、現在でも通用するのではないかと思います。プレイステーション出始めの頃は、様々な新しい試みがされいました。それはファミコンなど8ビット機の頃に匹敵する位、わくわくさせられるような時間だったよう思います。



参考:Wiki 太陽のしっぽ、アクアノート休日、飯田和敏、アートディンクの項

Apple II 1976‐1986/柴田文彦 編著・毎日コミュニケーションズ

2014-01-11 11:04:29 | 書籍・漫画

 これは、毎日コミュニケーションズより2004年に発行されたApple II 1976‐1986。


 世界で初めて、個人向けに完成品として販売されたパーソナルコンピュータApple IIについてまとめられた本。Apple IIは、組み立てキットだったApple Ⅰに続いて1977年に登場しました。設計者は、アップル創設者の1人でもあるスティーブ・ウォズニアック氏。当時としては安価で画期的な製品であり、1993年の生産終了までに総計500万台が生産されアップル社の基礎を作りました。


 この本は、そのApple IIについて歴代のハード、周辺機器、互換機、ビジネス、ゲームなどのソフトウエア、当時の書籍、ノベルティにいたるまでを網羅したもの。日本でのApple IIを取り巻く動きに関しても、当時の関係者の証言を交えて解説してあります。洋書やApple IIが現役だった80年当時ならば、数多くの解説本、専門書が発売されていたとも思いますが、近年のものとしては稀なApple IIに関しての総合的な一冊であると思います。


 豊富な写真と当時のカタログなども交えてのハードや技術面での解説。ほとんどのページがカラーなので、眺めているだけでも楽しい。アップル社の製品は、昔からデザインが洒落ていた。


 アップル社のものだけではなく、当時沢山作られていた互換機のみならずクローン、各国バージョンについても紹介されている。当時画期的だった、フロッピーディスクドライブ diskIIなど、重要な意味をもった周辺機器も解説してある。


 国産のPCが20~30万円だった時期に、ディスプレイ、ディスクドライブなど一式をそろえると100万円ほどしたという高嶺の花。よく通っていたデパートのPC売り場などに置いてあるはずも無く、自分的には見たことも無かった。後年、キャノンが日本での販売を手がけるようになってから、キャノンショップで見た(既にマッキントッシュがメインとなっていた)くらいでした。


 RPGの元祖のひとつといわれるウィザードリィもここから生まれた。


 こちらは、日本で発売されたPC-98版。移植はフォーチューンが担当し、アスキーより発売された。当時、日本語版への移植を担当されたフォーチューンの鈴木茂哉氏の回想も収められています。この当時、鈴木氏はなんとまだ学生。ウイザードリィ移植のためにフォーチューンを設立されたそう。


 RPGのもう一つの元祖、ウルティマもここから始まった。写真はウルティマⅡ。


 こちらは、日本で発売された国内移植版。最初はスタークラフト社がApple II版を移植、後にポニーキャニオンが権利を取得して、より綺麗なIBM-PC版が移植された。ファミコンに移植されたのもこの時期。


 どちらも、世界3大RPGの一つに数えられることもあるバーズテールとマイト&マジック。写真は、RPGのブーム時に国内メーカーより発売されたファミコン版。バーズテールはポニカ、マイト&マジックはなんと学研。


 日本ではクソゲー扱いされることもあるカラテカ。カラテカのシステムを発展させたプリンス・オブ・ペルシャもSFCで発売されました。


 世界的に売れたロードランナーとチョップリフター。


 チョップリフターは、国内PCのほかファミコンやアーケードにも移植されていた。


 ハドソンより発売されて爆発的なヒットとなったロードランナー。日本向けにキャラがかわいくなっている。アイレムよりアーケードゲームとしても発売され4作品も作られた。このハドソン版ロードランナーより、スピンオフしてボンバーマンが生まれた。


 国内向けにパッケージイラストがあらためられたPC(MSX)版。ファミコンより少し大人向け。MSX版はソニーより発売され、販促のためMSX本体におまけで付けられた。


 日本では、アップルタウン物語として発売されたリトルコンピュータピープル。PC内に住み着いた中年男を眺めるだけという、育成・環境ソフトのはしり。このような、実験的作品も数多く作られた。


 こちらは、アスキーより出版されたマッキントッシュ伝説。カタログ本ではなく、当時の開発者の話をまとめたノンフィクション。このような、アップル伝説本は現在でも数多く出版されています。


 “1977年の夏、最初のパーソナルコンピュータApple IIは登場した”というコピーが秀逸。鮮明で眩しく暑い夏の日を連想させます。前述のように、個人的にはApple IIなんて本物は見たことも無く、ログインなどの米国最新RPG事情みたいな記事で知るのみでした。自分的には、ザナドゥやハイドライドⅡなどが発売され、256色のMSX2や4096色のFM-77AVが登場し、ウィザードリィが日本のPCに移植された1985年あたりが、この暑かった夏の日に該当します。結局、このような本はコンピュータの黎明期、アップル社の創世記、日本のPC事情のはじまりの頃を描いた、青春の本なのだと思います。


 ということで、当時の貴重な資料、カタログ本としても楽しめるApple II 1976‐1986。でした。



参考:Apple2 1976‐1986/柴田文彦 編著・毎日コミュニケーションズ、Wiki Apple II、スティーブ・ウォズニアック、ウィザードリィの項

ウイリークロッサー WHEELIE CROSSER・トミー

2014-01-08 00:14:38 | 電子ゲーム


 これは、トミーより1983年に発売されたウイリークロッサー WHEELIE CROSSER


 電子ゲームブームの最後期に作られたもので、ミスターDo!モンスターバーガーと共にマルチカラーレーザー6000と呼ばれるシリーズの一つとして発売されました。FL(蛍光表示管)と液晶ゲームの中間ほどの大きさで、バックライト付のカラー液晶を使用した、ある意味電子ゲームの技術進化のひとつの到達地点とでも言えるものでした。


 WHEELIE CROSSERのWHEELIEとは、オートバイなどを前輪を浮かせて後輪だけで走らせる後輪走行のこと。CROSSERはモトクロスをする人くらいの意味でしょうか。弾けるようなPOPなロゴが80年代っぽい。


 本体。ゲーム&ウォッチなどよりふた周りほど大きく、バックライトの関係で厚さもそこそこあります。ただし、蛍光表示管ゲームよりはひと回り小さいくらい。結構、独特な大きさ。重さもそれらの中間くらい。


 電源のON/OFF、サウンドのON/OFF、4方向キーのみと、この辺りまで来ると操作系は完成されていて極めて簡潔なもの。ただしバイクは自動でスクロールして進みますので、前(ウイリー)、後(スモーク)、上(ジャンプ)、下(ダウン)とこのゲーム独特なもの。たった4つのキーでかなり色々なアクションをこなします。


 電池は、単3電池を4本使用。液晶だとボタン電池がほとんどでしたので、ここも少し珍しい。


 また液晶のゲームにしては珍しくACアダプターの端子付。


 トミーの蛍光表示管用のACアダプターが使えます。バックライトを使用する関係上、消費電力が普通の液晶ゲームより多いのでしょう。


 何度もネタに登場させていますが、トミーが78~79年頃に発売したブラックライダー。当時、ヒットしたブラックレーサーの続編にして姉妹品。モトクロスのバイクを使って、車やドラム缶を飛び越すスタント競技をゲーム化しています。これLEDこそ使っていますが、電子ゲームですらないエレメカ。フイルムに障害物が印刷してあって、モーターの動力でそれを回すことにより動かしています。


 このウイリークロッサーは、いわば電子ゲーム出始めの頃のこのゲームのリメイク版とも言えるもの。4~5年ほどと短かった電子ゲームブームの間に、どれくらい技術は進んだのでしょうか。


 また83年のFC発売とともに電子ゲームのブームは終焉を迎えますが(玩具屋のショーケースの主役の座を降りる)、翌84年にはモトクロスバイクゲームの古典ともいえるエキサイトバイクも登場しています。電子ゲームでどこまでやれたのでしょうか。


 ということで、ゲーム画面。トミーの方のインタビュー記事を読むと、単なるカラー液晶ではなく、ドット単位にカラーフィルターを付けた上に液晶をシャッターのように使ってバックライトで照らしているらしい。技術的なことは難しくてわかりませんが、蛍光表示管でもなくGBCやGGのようなカラー液晶でもない、独特の鮮やかな発色を見せています。大きな穴(ギャップ)は、操作キーを下に入れて降りる必要があります。そのままだと自動では降りてくれないためミスになる。


 小さな穴(ギャップ)。操作キーを前に入れてウイリーで超えます。


 空き缶が連続してやってくる。操作キーを前に入れてウイリーでかわします。メトロクロスのように踏んでいるのかどうかは不明。


 ライバル(マッドライダー)は、前から来たものは操作キーを上に入れてジャンプでかわし、後ろから来たものは操作キーを後ろに入れて煙幕(排気ガス?)でかわします。また、カラスが飛んでおりジャンプ時にぶつかるとミスになります。


 やられるとこうなる。グキッとかいっててそうで痛そう。


 空からはヘリが爆弾を落としてきます。爆弾は、操作キーを前に入れてウイリーすることでかわせます。


 道が上下に分岐して、どちらかにガソリンが出現。燃料制なので定期的に燃料をとって補給する必要があります。ジッピーレースみたいなシステム。


 時々やってくる気球にタイミングを合わせてジャンプするとボーナス得点。殺伐としたレースに訪れる一服の清涼のひと時。


 この過酷なレース(なのか?)を戦い抜く孤独なライダー。哀愁が漂います。ゲームは、同時代のムーンパトロールに非常によく似た感じ。


 スタートボタンを押さないでいると、延々と道が流れるデモが始まります。これが非常に綺麗。また、ゲーム中にもずっとBGMが流れており、その意味でも電子ゲームとしては珍しい。


 ということで、電子ゲームとしてはここまでやるかというほどの出色の出来。しかし、時代はFCへとバトンタッチ。そのためか、ここまでやったのに刀折れ矢尽きたようで、どこか哀愁を帯びていて寂しい。


 電子ゲーム後期のものということで、いわゆるレアもの扱いされたりもするようです。やはりミスターDo!が、一番人気のようですが、このウイリークロッサーもあまり見かけません。ネットで検索してみると、某専門店では(箱説付ですが)58,000円、税込みで60,000円の値段が。で、オークションでこれを落とした時の価格が100円。レトロ玩具なんて値段はあってないようなものだと思いますが、この価格は果たしてどうなんでしょうねえ。


 そのような大人の事情とは関係なく、一心不乱に時代を駆け抜けた、トミーのウイリークロッサー WHEELIE CROSSERでした。

参考:CVSオデッセイ、帰ってきた電子ゲーム、Nostalgiaマルチカラーレーザー6000シリーズの項

LSIゲーム・インディチャンピオン・学研

2014-01-07 11:28:44 | 電子ゲーム


 これは、学習研究社より1980~81年頃に発売されたLSIゲーム インディチャンピオン。


 FL(蛍光表示管)ゲームと同じ大きさの筐体に液晶画面を使用したレースゲーム。液晶ゲームは、そのコンパクトさを生かした薄型の筐体が多かったので、これは少し変則的。同じ頃にガンファイターというものも出ていました。学研のLSIゲームとしても割と初期のもので、まだ試行錯誤の段階だったのでしょうか。


 箱より取り出したところ。梱包などは蛍光表示管ゲームなどと変わらない。


 箱裏の解説なども、インベーダーや平安京エイリアンなどFL機と同じような構成。


 この頃にあった他のレースゲームとそう大きく変わる点はありませんが、ラップレースとタイムレースの2種類あることが特徴。


 本体。フォーミュラーカー(インディカー)を模したようなデザインがイカス。液晶なので、厚みはやはり薄い。


 手前がアクセルレバー、奥がハンドル。ニュートラル位置まで戻るレバーは、この頃の標準だったと思いますが、ニュートラル位置が下で固定というのは珍しい。


 インディチャンピオンというくらいなので、北米で人気のある自動車レースのインディ500を題材にしています。これは世界3大レースの一つであり、特徴としてはテクニカルなコースを走るF1とは異なり、オーバルコースを200周(500マイル)かけて走るというもの。オーバルコースとは、傾斜の付いた楕円形のコースのため、なだらかなカーブが続きます。日本ではマイナーですが、北米市場をにらんでか、関西精機製作所インディ500(68)、アタリIndy 4(76)、セガインディ500(95)など、結構ゲームの題材としても取り上げられます。


 アクセルを入れると、シャーという感じで滑らかにコースが流れていきます。数字下の道路わきの壁ようにも見えるものは、スピードメーター。電子ゲームのレースゲームというと、ぎこちないものを想像しますが、かなり気持ちよく走れる。


 クラッシュ。このゲームを遊んでみると、なだらかなカーブといい、やけに平坦に見えるライバルカーといい関西精機製作所のインディ500(68)やナムコのF-1(76)に代表されるような、幻灯機を使ったエレメカを連想します。この時点だとまだポールポジション(82)は出ていないと思われますので、案外これらのエレメカの移植だったのかも。これの開発の時点では、それらのエレメカもまだ十分現役でした。


 これらのエレメカは、実際にフォーミュラーカー型のコックピットに座って操縦をする体感ゲームの走り(ムービングはしませんが)みたいなものですから、であればこの凝った筐体もそれの再現として考えれば納得がいきます。あくまでも想像ですが、インディチャンピオンというタイトルも関西精機製作所のインディ500から来ているのかも知れませんね。


 学研のゲームはデザインが凝ったものが多いですが、これも同時代のレースゲームと比べると頭一つ飛びぬけて凝っています。白い筐体が非常にクール。


 アクセルレバーもペコッ、ペコッと軽くて軽快。気持ちいい。


 御馴染み学研ロゴもクール。


 こんなにかっこいいのに、かなりマイナー。ネット上にもほとんど情報がない。オークションでも、これ最初に5,000円で出ていたものが、徐々に下がって500円になっちゃうという不人気ぶり。


 同時期のものだと、学研初のLSIゲーム・インベーダー。


 インベーダーのキャラ換えバージョン、ジェットファイター。


 当時人気があり、今でも人気がある平安京エイリアンなど。


 学研の科学と学習の巻末に織り込みチラシが毎号付いており、それを毎月チェックするのが楽しみでした。インディチャンピオンもこれらとともに掲載されていたと思いますが、FL機と全く変わらない値段だったし、その上(わりとありがちな)レースゲームだったので、インベーダーや平安京エイリアンに目を奪われていたよう記憶しています。


 当時としてもあまり人気が無かったのか、友達でだれも持っている人がいなかったため、今回初めて遊びました。バンダイなどから出ていた、チャンピオンレーサー(LED)、サーキットチャンピオン(GD/LCD)なんかと比べても、よく出来ていて十分魅力的だと思います。しかし、上の2つは今でもかなり値が上がってしまう人気ぶりなのですが、それらに比べても人気は今ひとつの感じ。


 ということで、隠れた魅力一杯の学研のLSIゲーム インディチャンピオンでした。



参考:CVSオデッセイ、帰ってきた電子ゲーム、KLOV、Wiki関西精機製作所、F1(エレメカ)、インディ500(レース)、スピードレース(タイトー)の項