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やっぱり、駄文でも題材に気が乘らないとサッサッとは進まん。しかし、乗らなくても、其れなりに仕上げねばならんから疲れるね。
アマゾンのプライム会員無料映画に、昔、観た邦画の 『刑事物語』があったので流すように観てたんだけど
此の映画は、最後に泣かすねえ、もう、ボロボロだったよ。昔、観た時も泣いたね。武田鉄矢も田中邦衛もいいねえ。
武田鉄矢の演じる片山刑事が主人公で長髪・胴長短足にくたびれたジャケットと膝の抜けたズボンで、一見刑事には見えない。
普段は冴えないんだけど正義感に溢れた純情男、拳法の達人で、一旦、暴れ出すとやり過ぎてしまい、それが原因で左遷を繰り返して
日本各地を異動することになる設定なんだね。オレの知ってる範囲では、シリーズは4作続いたかね?
毎回、赴任先で美しいマドンナに恋をし助けるんだけど、最後には失恋して一人淋しく其の土地を去って往くってパターンみたい。
オレが観たのは、此の 「刑事物語」と 「刑事物語2」だったように思う。
吉田拓郎の 『唇を噛みしめて』がバックに流れてラストを盛り上げるんだね。オレは、こういうのに凄く弱いの。
刑事物語 (1982) - 劇場予告編
風俗営業の一斉手入れでトルコの中に突入する刑事たち、経営者や常習の女たちを逮捕していくんだけど武田鉄矢の飛び込んだ部屋には、
女性が背を向けて裸で湯船を洗ってる。「警察ですっ、一緒に来なさいっ」 大きな声で怒鳴るんだけど反応がないんだね。
聾唖(ろうあ)の女性なんだね。差し出す警察手帳に事態に気づいた女性は言葉にならぬ声を発して許しを請う。
「怖くはありませんからね、一緒に来てください」と、ゆっくりと優しく伝えるんだね。武田鉄矢なりゃこその持ち味だね。
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取り締まり後、武田鉄矢に静岡沼津への異動辞令がくだり九州博多から寝台特急で向かうんだけど、身元引受人になって聾唖の女性を伴ってる。
弱い人を見過ごしできない男なんだね。この聾唖の女性を新人の有賀久代っていう女優さんが演じてる。
この有賀久代っていう女優さんは、この映画のみの出演で 「自分には役者の才能がない」って芸能界を去ったらしい。
「おまえ、芸能界は嫌いって云ってんのに詳しいね」 知恵袋で 「どうしてるか?」聞いてる人が居て、親切な人がそう答えていた。
こういう映画は、警察の同僚も上司も出てくる人たちが、皆、人間臭く描かれてるんだね。
アパート2室を頼んでいたけど1室しかなく同居して暮らす二人。事件を追うのが刑事だから武田鉄矢も忙しい。
隣に住む男が、なんか気味悪い現れかたしたりして二人の仲に絡んでくる。田中邦衛が、この手の映画で変態するはずないんだけどあやしい。
そんな中、二人は、密かに恋心を抱きあってるんだね。そういう淡い思いを抱き合う二人の仲に田中邦衛が出張って来る。
聾唖の有賀久代があられもない姿で居るところへ黙って田中邦衛が部屋へはいって来る。こいつ、ホンマに変態だったのかと思わせる雰囲気。
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其処へ「ただいまあ~」って武田鉄矢が帰ってくる。其の場の状況が、すぐには呑み込めないんだけど、怒りの形相になって「出て行きなさいっ」
田中邦衛は黙って部屋から出ていく。裸にネグリジェ羽織って小さくなってる有賀久代に 「もう、昔の衣装は着てはいけません」
「何をしとったんじゃいっ?」 なんて云わないんだね。「あいつは、おまえのなんなんじゃい?」 なんてことも云わない。
包容力のある男なんだね。 「おまえだったら?」 あぶない恰好の時でなくてもっ鍵をキッチリ掛けんかいっとは云うだろうね。
それから、あいつは、何しに来たのっ? ちょっとどころか、だいぶんおかしいでえっとも云うだろうね。
で、おまえは、なんで、そんな艶めかしい恰好をしてるの? とも聞くだろうね。 「一般人やね」 主役にはほど遠いね。
此の沼津でも聾唖の有賀久代が事件に巻き込まれて、再び、武田鉄矢に救って貰うんだけど、ほんのりしたシーンを織り交ぜて
人の心の温もり感じさせながら、ラスト、海に突き出た防波堤の先端で聾唖の有賀久代が 「好きな、人が、います」って云うんだね。
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呆然とする武田鉄矢に有賀久代と同じく聾唖の村上(田中邦衛)が、前に出て必死の思いで手話をまじえて訴えるんだね。
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村上(田中邦衛)は、街の工場で油に塗(まみ)れて働いている。此の人は、絶品の演技をするね。本当以上だよ。
「ひさこしゃんとっわすとぉ~ふたりでぇ、いつえにんまえっでしゅ」
「ふたぁりで、しゃさいあってゆきたいでしゅ」 「どうかぁっかたやむあさん、ゆるすいて、くだしゃい」
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武田鉄矢も上手い。有賀久代が 「許ひてくあさい」って詫びて、武田鉄矢に口づけするんだね。
涙で頬を濡らして純情男の精一杯の男気絞って 「俺も男だから村上(田中邦衛)さんの思いは、よおく解りますっ、どうかっ、ひさ子さんを
大事に幸せにしてあげてくださいっ」 「ひさ子さんにはっ」 手話を交えて 「あなたっ一人しか居ないんですからっ」
頷く田中邦衛の目から涙が迸(ほとばし)るように零(こぼ)れ落ちるんだね。夕陽を背景に三人の姿が防波堤の上、「じゃあ、さようなら」
こういう心のシーンを観てるとね、姿形などどうでもいいんだねえ。オレの涙腺もブレーキ利かずに溢れて出るよ。
夕陽に浮いて防波堤の上を武田鉄矢が歩み去る姿に被せて、吉田拓郎の 『唇を噛みしめて』が流れるんだね。
唇をかみしめて/吉田拓郎
吉田拓郎の歌は、心に響くね。
「唇噛みしめて」とばかり、ずっと思ってたよ。「を」が入ってんだね、訂正しておこう。
吉田拓郎さんの「唇をかみしめて」を検索し、こちらを知りました。
先日、高校の恩師のライブに行き、先生がこの歌を歌うのを聞いて、「♪人がおるんヨネー」のところでウルウル来てしまい、「あれ、自分、年取ったのかな~?」と思ってしまいました。
この曲がテーマ曲だった映画「刑事物語」の貴ブログを見て、またウルウルしてしまいました。
「それは泣くわ。
曲だけでもヤバイのに、そんなシーンに流れたら泣くわ。」
ついでに同じ武田鉄矢主演の「思えば遠くへ来たもんだ」を有名な撮影所のあった地元の映画館で見ていたのを思い出しました。当時小学生くらいでしたので、内容分かりませんでしたが。
(私の世代の沁みるような曲ってハナレグミの「家族の風景」だったりするのですが、「唇をかみしめて」とは何か熱量が違いますね。)
思いつきで投稿したため、乱筆乱文お許し下さい。
失礼します。
想いを噛みしめて、時には唇噛みしめて、人は味が出るんでしょうね。
いいお話し聞かせて頂きました。ありがとうございました。