消費期限終了

リタイアーのよもやま話

民主主義

2016-02-13 20:45:45 | 読書

 人生を面白くする本物の教養

出口治明

幻冬舎新書

に、大変面白いことがあった。

 「選挙は忍耐そのものである」

 選挙については、たしかチャ
ーチルが次のようなことを言っ
ていました。

「選挙に立候補する人間は、私
を含めて、ろくでもない人ばか
りである」

 選挙に出る人は、異性にもて
たいとか、お金を儲けたいとか、
目立ちたいとか、権力を握りた
いとか、せいぜいそんなところ
が実際の目的だと毒舌家のチャ
ーチルは言うのです。続けて
こう語っています。

 「選挙とは、ろくでもない人
のなかから、現時点で税金を上
手に分配できそうな少しでもま
しな人を選び続ける忍耐そのも
のをいうのである」

 「だから民主主義は最低の仕
組みである。ただし、王政や貴
族政、皇帝政など人類のこれま
での政体を除いては」

 この言葉の後段ばかりと知ら
れていますが、前段はほとんど
知られていません。ですが、チ
ャーチルの本意は前段にもあっ
たのです。チャーチルは決して
冗談で言っているのではありま
せん。

大真面目にそう考えていたので
す。政治家や民主主義に過度の
期待を抱いてはいけない、選挙
はろくでもない人のなかから
「よりまし」な人問を選ぶ「忍
耐そのもの」にほかならない

のだ、と。だから、いい政府を
つくるには相当な忍耐がいるし、
政治家に立派な人格を勝手にイ
メージしてはいけないし、安易
に政府や政治家を信じてはいけ
ないのだとチャーチルは訴え
ています。

 まだ、私たちはついつい民主
主義を歴史上理想の政体、ベス
トの政体であると思ってはいな
いでしょうか。しかし、民主主
義は決してベストではなく、ベ
ターがせいぜいだということを
認識しておく必要があります。
ベターである以上、いつソース
あるいはワーストに転げ落ちて
もおかしくありません。民主主
義も厳しい日で見つめなけれ
ばならないのです。

 チャーチルが語ったようなリ
アルな発想を、わが国の学校教
育でも前段・後段合わせて教え
るべきだと思います。チャーチ
ルの言葉を知っているだけでも
「候補者のレベルが低いので投
票などバカバカしくて行ってい
られない」などと頓珍漢なこと
を言う人はきっと少なくなるで
しょう。チャーチルの言葉は、
選挙や民主主義についての、最
低限学んでおくべき「コモンセ
ンス」です。外国人の友人が
「日本ではみんなが政府にあれ
ほど文句を言っているのに、ど
うして投票率が低いのだろう?」
と不思議がっていました。政府
は市民から離れ敵対して存在し
ているものではなく、私たちに
市民が自らつくっていくものな
のです。

以上。

この文章で、

「だから民主主義は最低の仕
組みである。ただし、王政や貴
族政、皇帝政など人類のこれま
での政体を除いては」

というのがあるが、この文章の
言わんとするところは、

王政や貴族政、皇帝政などより
は、まだ民主主義の方がベター
だということではないか。

と思うのだが。

ところで、この文章を全く逆に
解釈することができる人もいる
ようだ。

ゲーテの警告

日本を滅ぼす
「B層」の正体

適菜収(哲学者)

適菜 収(てきな おさむ、1975年
 - )は、日本の著作家フリード
リヒ・ニーチェ
の思想を(時にフ

ィクションの形で)解説する著作
を多く発表している。哲学者を自
称することもあるが、修士・博士
の学位は一切保有していない。

(ウィキペディアより)

以下は、適菜収氏ののたまった
ことだ。

 民主主義は最悪の政治形態

 イギリスの首相ウィンストン・チ
ャーチル(1874~1965年)
は「実際のところ、民主主義は最悪
の政治形態と言うことができる。
これまでに試みられてきたほかのあ
らゆる政治形態を除けば」と語って
います。その言葉は皮肉屋チャーチ
ルにふさわしくない。これまで人類
の知性が示してきたのは、やはり民
主主義は「最悪の政治形態」である
ということです。

 簡単に歴史をおさらいしておきま
しょう。

と、語っている。

どうだろうか。

適菜氏、チャーチルの言葉を勝手
に自分の都合のいいように、利用
しているのではないか。

この本の終わりに、彼の本音がま
とめられているようだ。

以下、抜粋である。

現在の世の中はB層に支配されて
います。

だから、B層とは距離を置くこと
が大切になる。

駄菓子は駄菓子と判断すること。

一流のものと三流のものを見抜く
こと。

B層社会の産物に、物理的、精神
的に距離をとること。

日々の生活に従うこと。

「手のわざ」を信じること。

B層を生み出した「大きな嘘」を
封じ込めること。

そのためには、ゲーテが言うよう
に、偉大な時代に学び、古典を読
んで大人になることが必要です。

おわりに

 歴史を扱うのは歴史家であるべ
きです。

 法律を扱うのは法律家であるべ
きだし、芸術を扱うのは芸術家で
あるべきです。

 ゲーテは言います。

 「靴屋は靴型の前にいつもいれ
ばよいし、農夫は鋤を押していれ
ばいいし、君主は国を治める術を
知ればよい」

 鮨は鮨職人が握るべきです。素
人が握った鮨など食いたくもない。

 本書で述べてきたことは、B層
社会がこうした「当たり前のこと」
を許容しないということです。

 B層は自分たちの意見を社会に
押しつけます。

 職人の領域、プロフェッショナ
ルの領域に「民意」を反映させよ
うとする。

 ゲーテは憤ります。

 「政治というものもまた、学ば
なければいけない職業の一つであ
り、それを理解しないような者が、
さしでがましいことをしてはいけ
ないのだ」

 「喫茶店での話題から得た結論」
が現実の政治を動かし、「お茶の
問の正義」「女子供の正義」が
社会のおり方を決定していく。

 極彩色の駄菓子が尊重され、ジ
ャリタレが「神」になる。

 こうした野蛮な時代、トチ狂っ
た世の中で、いかに冷静に近代の
病に立ち向かうのか?

 本書がその参考になれば幸いで
す。

以上である。

適菜氏は、「貴族社会」がお好み
ようだ。

ゲーテにすれば、ヴァイマルでの
彼の生活が、まるで、世界の標準
であるかのような勘違いがあった
ようだ。

しかし、彼は、そのことに気づい
てなかったようだ。

居心地のいいヴァイマルでは、時
代の流れの知りようがない。

いかに、文豪として、名を馳せて
も、彼が政治家として、世界に通
用すると思ったのは、夜郎自大の
謗りを免れない

ところで、次の内容は、

全世界史講義

教養に効く!

人類5000年史Ⅱ

近世・近現代史

にあった内容である。

1789年頃のことだ。

 

〔20〕フランス革命

 フランスはルイ14世の時代か
ら、ずっと第二次英仏百年戦争を
戦ってきました。

 その結果、ルイ16世治世下
では、財政赤字が税収の9倍を
超えます。当時のフランスの構
成は第一身分(聖職者。14万
人)、第二身分(貴族40万人)、
第三身分(平民2600万人)
となっていました。
そして富の半分以上は、第一身
分と第二身分の特権階級が有し
ており、しかも税金が免除され
ています。財政改革を断行する
には、特権階級に課税するしか
ありません。財務総監のテュル
ゴーや財務長官のネッケルはそ
れを実行しようとしますが、特
権階級の厚い壁は破れませんで
した。

 1789年、事態を打開する
ために、全国三部会が招集され
ます。しかし特権階級の抵抗は
強く、業を煮やした第三身分は、
自分たちだけで国民議会を発足
させました。するとラファイエ
ットを始め、アメリカ独立宣言
や啓蒙思想に影響を受けている
一部部の聖職者や貴族たちは、
国民議会に合流します。そして
国民議会は憲法の制定と国民議
会の承認を求め、それをルイ1
6世が認めるまでは解散しない
と決議しました。その場所がヴ
ェルサイユ宮殿の室内球戯場で
あったので、「テニスコートの
誓い」と言われています。

 ところがルイ16世は情勢が
読めず、市民に人気のあったネ
ッケルを罷免します。これに激
怒したパリ市民は、バスティー
ユ監獄を襲撃して政治犯を解放
しました。時に1789年7月
14日、自由・平等・友愛をス
ローガンとするフランス革命が
始まったのです。旧体制(アン
シャン・レジーム)は崩壊しま
した。
次いで8月26目、国民議会は
人権宣言を採択、10月5目に
は物価高騰と食料不足に怒った
パリの女性たちが、ヴェルサイ
ユに行進し国王一家をパリに運
行します。1789年、ラファ
イエットは三色旗を発案しまし
た。これがのちにフランスの国
旗となります。

 1791年に国民議会は憲法
を制定します。立憲君主制、制
限選挙を柱としています。そし
て新しい憲法に基づく立法議会
が招集されました。立法議会は
立憲君主派のジロンド派が多数
を占めました。なお、この年に
メートル法が定められます。

 また、この年の終わりにウィ
ーンでモーツァルトが死去して
います。

以上。

1789年当時のフランスの状況で
ある。

この資料からすると、2654万人
がフランスの人口である。

ゲーテは、1775年11月に、宰
相になるために、ヴァイマルへと旅
立つが、当時のヴァイマル人口60
00人のほどの小国だったようだ。

私の自治会内の人数が、やがて40
00人になろうとしている。

ゲーテは、ヴァイマルの宰相として
外交政策から軍事、財務に至る責任
者だったようだが、所詮、現代的な
感覚で言えば、自治会長レベルの
仕事である。

でなければ、人口5763の村長で
もいいだろう。

 「靴屋は靴型の前にいつもいれ
ばよいし、農夫は鋤を押していれ
ばいいし、君主は国を治める術を
知ればよい」と語ったが、それは、
遅れたドイツの話であって、彼が、
イギリスの産業革命(1760年代
始まる)を目の当たりにすること
があれば、そのようなことはなか
ったはずだ。

ヴァイマルには、靴屋と農夫と鍛
冶屋しかいなかったのではないか。

「田舎の3年、京の3日という
言葉があるが、彼には時代の流れ
ついていけてない僻地の宰相だと
いうことが理解できなかったよう
だ。

そのようなゲーテを持ち上げて
いる適菜収氏の心情たるや推し
しるべしである。

彼は、「B層」を蔑視しているが、
残念ながら「B層」がいるから、
現代の資本主義が成り立っている。
ということには、理解が及ばない
ようだ。

「B層」こそが、経済の内需の担
い手であるという事実に理解が及
ばない。

彼がゲーテのような貴族的生活
に憧れるなら、0.1%の超富裕層
の仲間入りを図るべきである。

「B層」に埋没して生活していな
がら、「B層」を蔑視して止まない
のは、多いに自己矛盾である。

彼だって、「B層」一員にすぎない
のだ。

彼の本の帯びにこういう文章があ
る。

B層
マスコミ報道に流されやすい。
「比較的」IQの低い人たち
小泉郵政改革に熱狂し、民主党
マニフェスト詐欺に騙され、流
行のラーメン屋に並ぶ層。
彼らの「選択」が国家を崩壊に
導く。

と書いてある。

本当だろうか。よく考えてみれ
ば、そんなはずはない。

こんなことで、国家が崩壊する
わけはない。それは、歴史を検
証すれば分かることだ。

それは、表面的な現象であって、
その現象の裏に隠れている本質
を語ることができないのは、どう
いう知性なんだろう。

彼ら上にたって、国家運営をし
ているエリート層の責任であっ
て。

彼こそが、「B層」レベルの知性
の持ち主ではなかろうか。