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奈良県の建築家が日々思う設計事務所の家づくり日記、住まいの設計や住宅設計、注文住宅、注文建築、暮らしの事、収納の事

住宅の設計・リフォーム、暮らしのデザイン提案を家具や生活習慣まで丁寧に考えています。

奈良で安心して暮らす家づくり、見落としがちな防災設計とは?「後悔しない土地と間取り」の考え方、建てる前に必ず考えるべき地震・水害に強く、後悔しない家づくりへの正しい判断軸とは?

2025年04月15日 | 建築家 設計の仕事 監理の仕事

自然災害に備える

住まいづくりの基本

奈良という土地で

安心して暮らすために.

※木造住宅新築現場・骨組みの状態


日々、設計という

仕事を通じて

どのような住まいが、

家族の安心と

心地よさを支えるのか

という問いと

向き合っていますが

それらは建物単体で

完結するものでは無くて

敷地や周辺状況にも

大きく左右されるものです。

 

近年は全国各地で

自然災害が頻発し、

今更ながらですが

「災害に強い家づくり」が

注目されています。

 

特に奈良県においても、

地震や豪雨など、

過去には大きな被害が

記録された地域が

いくつもあります。

 

そんな奈良という

風土の中で、

家族と大切な日々を

安心して暮らすために、

どのような

備えができるのかを

テーマに、

自然災害に強い家づくりの基本を

建築家の視点から

少し書いてみたいと思います。

 

土地選びの第一歩

奈良のハザードマップを読む

 

既存の建て替えという場合や

リフォームという場合も

ありますが

住まいづくりの

第一歩は、

やはり「土地選び」です。

 

ここで最も大切なことの

ひとつが、

その土地が自然災害のリスクに

どの程度さらされているかを

知ることです。

 

特に奈良県内では、

吉野川や大和川流域における

水害のリスクや、

紀伊山地周辺における

土砂災害リスクが

過去の実例からも

知られています。

 

その判断に欠かせないのが、

各市町村が公表している

ハザードマップの確認です。

 

これは、

洪水・内水氾濫・土砂災害などの

リスクを地図上に

可視化したもので、

地形や過去の災害履歴から、

色分けされたエリアを

ひと目で確認することが

できます。

 

たとえば、

奈良市や橿原市、

桜井市の一部では、

古来より湿地帯や

河川が多く存在していたため、

現在でも洪水リスクが

高い区域が

点在しています。

 

このような場所では、

いくら利便性が高くとも、

災害リスクと

どう向き合うかを

十分に検討する必要が

あります。

 

土地のご相談をいただいた際は、

ハザードマップなども確認し、

住まい手さんと

一緒にリスクの共有を

行っております。

 

立地条件の良とさと

安心して暮らせる環境は、

時として

トレードオフになることも

ありますが、

だからこそ納得した選択が

必要になります。

 

奈良の地盤と地震への備え

奈良県は比較的

地震が少ない地域と

見られることもありますが、

実際には、

過去に大きな被害をもたらした

「南海トラフ巨大地震」の

影響を受ける恐れもあり、

安心はできません。

 

また、

奈良盆地には堆積層が厚く、

地盤が柔らかい

地域も多いため、

同じ震度の揺れでも

建物への影響が

大きくなりやすい

傾向があります。

 

そして建築の計画の為にも

地盤の強さや

支持層の深さを

正確に把握することが

不可欠です。

 

調査の結果、

軟弱地盤であると

判明した場合には、

地盤改良工事等が

必要となります。

 

工法には表層改良、

柱状改良、

鋼管杭工法などがあり、

内容や規模によって

費用が異なりますが、

一般的に70万〜90万円前後の

費用がかかることが多く、

建物の規模などにもよって

大きく差が出ます。

 

これは土地購入後の

思わぬ出費として

計画を圧迫する

ケースもあります。

 

したがって、

土地探しの段階から

ある程度の

改良費用を

住宅の総予算に

含めておくことを

おすすめしております。

 

地盤の安全性を

無視した住まいづくりは、

例えるなら

柔らかい土の上に

重たい石を乗せる

ようなもので、

非常に危険です。

 

建物だけでなく、

「その土台となる地盤」こそが、

命を守る最初の要です。

 

建物構造と耐震設計の考え方

建物の「構造」は、

災害への備えの

中心となる部分です。

 

日本では主に、

耐震・免震・制震の

3つの技術が存在します。

 

耐震:揺れに「耐える」

最も基本的な考え方であり、

建物を強く

固くつくることで、

地震の揺れに

耐える構造です。

 

特に新築住宅においては、

耐震等級3(最高等級)を

目指すことが

安心のひとつの

目安となります。

 

制震:揺れを「吸収する」

建物内部に

ダンパー(制震装置)を

設けることで、

構造躯体の揺れを抑え、

繰り返す地震に対して

建物の損傷を軽減します。

 

奈良県のように

比較的静かな

地震環境の地域でも、

今後の南海トラフ地震を

想定すれば、

有効な対策といえます。

 

免震:揺れを「逃す」

建物と基礎の間に

免震装置を設け、

地面の揺れを

直接建物に

伝えにくくする技術です。

 

コストはかかりますが、

美術館や病院など、

重要施設で

多く採用されています。

 

個人住宅においては、

耐震性の確保を

基本としつつ、

必要に応じて

制震技術を取り入れることが、

現実的かつ

バランスの良い選択と

いえるかと思います。

 

間取りと耐震の関係

美しさと強さの両立・・・。

 

耐震性の高い家をつくるには、

建物の形状や

間取りのバランスも

非常に重要です。

 

例えば、

2階建ての住宅では、

1階と2階の

柱や壁の位置が揃っていると、

構造的に力の流れが整い、

地震に強い家となります。

 

また、

建物の形状が

極端にL字型や

コの字型など不均衡であると、

地震の際に“ねじれ”が生じ、

倒壊リスクが

高まることがあります。

※構造検計算(種類が様々あります)にて

検討する事でリスク回避を設計します。

 

ただし、

構造の制約ばかりを

優先すると、

「住み心地」や

「デザインの自由度」が

制限されてしまうという

ジレンマが生じますが

設計としては

構造の合理性と

空間の快適性、

その両立を実現することを

念頭に「暮らし」を改善できる

間取りとなるように

意識しています。

 

最も安全で、

最も美しい空間とは、

見えない部分にも

意味がある空間であると

考えています。

 

住まい手さん自身の

理想を大切にしながらも、

目には見えない

安全性という価値を

建物の隅々にまで

織り込むこと。

 

奈良という土地で

「安心」と「快適」を両立する。

奈良県は、

古都としての歴史と

美しい自然に恵まれた、

非常に魅力的な土地です。

 

一方で、

盆地特有の

夏の暑さ・冬の寒さや、

ゲリラ豪雨の増加、

そして将来的な

南海トラフ地震など、

見えにくい災害リスクも

存在します。

 

住まいに「安心」と「快適」、

両方をバランス良く

備えることを大切に。

たとえば、

太陽光発電+蓄電池の導入により、

停電時でも

最低限の生活が可能に。

 

断熱性の高い

外皮設計によって、

猛暑や厳寒に

左右されにくい

住環境を考える事。

 

通風計画や

自然採光の工夫により、

日々の暮らしに

やさしさと

心地よさを届けること。

 

これらはすべて、

災害対策と

日常の暮らしを支える

「住まいの力」です。

 

自然災害は、

誰にとっても

遠い出来事ではありません。

 

しかし、

そこに過度な不安を抱く

必要もないと考えています。

 

大切なのは、備えと選択

そして、「納得」です。

 

この奈良という

穏やかな地で、

何十年先までも

ご家族が笑顔で

過ごせる住まいを、

一緒にかたちにしていきませんか?

 

やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
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住まいと間取りの提案の中に暮らしの価値観に応じた過ごし方の設計、建築家が提案する空間美と機能性を両立したゲーミングルーム設計|色彩計画・動線・排熱設計まで美しく快適な空間を創る技術。

2025年04月15日 | 暮らしの事イロイロ

建築家の視点で考える、

理想的ゲーミングルームの設計。

 

ゲーミングルームは

「現代の書斎」的用途を

持っているという事。

 

近年、

ゲームは単なる娯楽の域を超えて、

ライフスタイルや

自己表現の一部として

注目されていますし

職業としての「プロゲーマー」も。

それに伴い、

ゲームを楽しむための

専用空間「ゲーミングルーム」もまた、

住宅設計における

ひとつの重要な

コンテンツと

なりつつあります。

 

設計における目的は、

単に機能的な

空間をつくることにとどまらず、

ユーザーの個性や

美意識を反映させた、

没入感と快適性が

共存する「私だけの空間」を

つくりあげることです。

 

建築やインテリアデザインの

観点を交えながら、

洗練された

ゲーミングルームを

構築するための

実践的かつ美的な

アプローチを

少し書いてみたいと思います。

 

カラーパレットの選定。

空間設計の出発点・・・・・。

ゲーミングルーム設計における

第一歩は、

コンセプトとなる色の決定です。

僕はゲーミングルーム以外でも

「DEN」と呼ばれる空間を

間取りに提案することも

よくあります。

 

明るい「DEN」の場合もありますし

少し薄暗い「DEN」の場合も。

それぞれの暮らしの時間や

過ごしやすさを

汲み取りながら

提案させていただくのですが

ゲーミングルームも同じです。

 

色彩計画は

空間全体の印象を

決定づける要素であり、

インテリア選び、

照明計画、

家具配置にまで

影響を与えます。

 

例えば、「紫」を

テーマカラーに据える場合、

一口に紫といっても

赤みのある紫(マゼンタ寄り)と

青みのある紫(バイオレット寄り)では、

空間が醸し出す雰囲気が

大きく異なります。

 

赤紫系には

温かみと情熱、

青紫系には

冷静さと近未来感が

宿ります。

 

この色調に応じて

照明やインテリアを

調和させていくのが、

美しい空間づくりの

鍵となります。

 

同系色で統一された空間美。

空間に一貫性を

持たせるには、

「同系色」でまとめるという

配色戦略が

非常に効果的です。

 

インテリアや

アクセサリーの色調を

統一することで、

視覚的ノイズが少なくなり、

落ち着きと

洗練を感じさせる

空間になります。

 

紫を基調とした部屋において、

赤紫寄りの光源を

使用する場合は、

インテリアには

赤やピンクを含んだ

温かみのある配色を

選ぶと良いかと思います。

 

一方、

青紫寄りの空間には、

寒色系のアイテムを用いて、

クールで未来的な

印象を持たせることが

できます。

 

この色彩コーディネートの妙は、

まるで絵画のように、

空間全体を

一つの作品として

構築する発想にも似ています。

 

モノトーンの応用 。

照明と調和する

無彩色の力・・・・・。

 

空間に

色を取り入れることが

難しい、

または既存の家具との

調和を図りたい場合は、

モノトーンのインテリアを

積極的に取り入れるのが

おすすめです。

 

白や黒といった無彩色は、

どのような照明色とも

調和しやすく、

空間全体に

統一感と洗練された

印象を与えます。

 

また、

照明による反射や

吸収といった

視覚効果を活用することで、

空間に奥行きや

コントラストを

加えることができます。

 

たとえば、

紫の照明下で

白い家具は

淡いラベンダーに染まり、

黒い家具は

深い紫を帯びたように

映ります。

 

これは偶発的な演出ではなく、

建築における

「光と影の設計」に通じる

繊細な表現です。

 

配線設計と動線の美学。

実用性と視覚の調和・・・・・。

 

ゲーミングルームにおいて

見落とされがちな

課題のひとつが

「配線整理」です。

 

大量のゲーム機器、

モニター、

周辺機器を使用するため

配線が露出すると

せっかくの空間が

雑然としてしまいます。

 

これに対し、

ケーブルトレーや

配線収納に優れた

デスクを活用することで、

視覚的ノイズを

最小限に抑えることができます。

 

特に

配線整理機能が

備わった家具は

デザイン性と

実用性の両立を

叶えてくれます。

 

また、

使用頻度の高い機器は

手の届く範囲に、

稼働の少ない機器は

視界の外に配置するなど、

モニターや機器類周辺の

動線計画も重要です。

 

これは建築設計における

「ゾーニング」にも

通じる考えであり、

機能美を高めるうえで

欠かせない要素といえます。

 

CPU排熱設計。

空間機能を高める

テクニカルポイント・・・・・。

 

デザインに

注目が集まりがちな

ゲーミングルームですが、

機器の性能

十分に発揮するための

「熱処理」も

重要な要素です。

 

特に高性能な

ゲーミングPCは発熱量が多く、

排熱効率が低いと

処理速度の低下や

機器故障の

原因にもなりかねません。

 

この課題に対しては、

ソコン用吊り下げラックや

メッシュ構造の

ラックを活用することで、

空気の流れを妨げず

効率的な排熱が

可能になります。

 

さらに、

清掃性の高い構造は

埃の蓄積を防ぎ、

長期的な機器保護にも

繋がります。

 

これはまさに、

建築における

「メンテナンス性」への

配慮であり、

美しい空間を長く保つためには

不可欠な視点です。

 

インテリアの選び方。

空間の統一感と余白を意識。

 

ゲーミングルームでは、

「装飾」よりも「設計の質」が

求められます。

 

インテリアは

過剰に装飾的なものよりも、

機能性を重視しつつ、

空間全体に

余白をもたらすものが

理想です。

 

扉のない

スチールラックを用いて、

空間に抜け感を演出したり

木質のアイテムは

あえて排除し、

無機質な素材感を

基調とすることで、

クールでモダンな

印象に仕上げる事も

選択肢です。

 

また、

植物を取り入れる際は、

その鉢や器の色にも配慮を。

インテリアの

カラーリングと調和するように、

白や黒、

またはテーマカラーの

延長線上にある

色味を選ぶことで、

空間全体の

世界観を損なうことなく、

自然のやわらかさを

加えることができます。

 

テーマカラー別の具体例

 紫・白の空間設計術・・・・・。

 

紫をメインにした空間。

紫をテーマにする場合、

デスクには

白を用いて光を反射させ、

空間全体に

淡い紫の

ニュアンスをもたらします。

 

チェアやケーブルトレーには

赤をさし色として

加えることで、

赤紫系の世界観を

より濃密に演出します。

 

紫には

神秘性と

高貴さが宿るため、

照明の色温度や

照射方向まで

計算することで、

その魅力が最大限に

引き立てられます。

 

白を基調にした空間。

一方、

白をベースとした

ゲーミングルームでは、

黒をアクセントに

用いることで

空間に引き締めと

緊張感を与えます。

 

白一色では

単調に見えがちな空間も、

黒を効果的に

取り入れることで、

スタイリッシュ

かつ

現代的な印象に

昇華されます。

 

インテリアや照明は

白に彩度を加えたような色調

アイスグレー、

ホワイトピンク等

選ぶことで、

柔らかくも

洗練された空間が

実現します。

 

 自分だけの

「小さな建築」をつくる感覚で。

ゲーミングルームとは、

単なる趣味の場では

ありません。

 

日々のストレスから解放され、

創造力を

自由に解き放つための

「現代の書斎」であり、

「個人的な建築空間」です。

 

美しいゲーミングルームは、

ただの機能性だけでは

成り立ちません。

 

色彩、動線、視覚的調和、

そして空間全体に流れる

雰囲気までもが

計算されたとき、

初めて本物の

没入空間が完成します。

 

自宅やセカンドハウスに

自分だけの

理想のゲーミングルームを

つくり上げることで、

日常に彩りと

充実感を加えてみては

いかがでしょうか?

 

やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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