人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

悲惨な事件

2008-06-12 07:05:30 | Weblog
 いよいよ、ここ岡山県も本格的な梅雨期に入ったようだ。昨晩から
激しい雨が降っている。九州では既に300ミリを超えたところも
あるとか。毎年の事ながら梅雨末期には大きな被害で出ている。そんな
事のないように願うばかりだ。

 アメリカでは大きな気象異変が生じているとか、一方では熱波、
一方では寒波とか、この季節にしては何れも異常としか言いようが
ない気象異変だ。日本でも雹が降ってリンゴに被害が出ているとか。
いくら科学が進歩したからと言って地球規模の大きな変動には為す
すべもないのが現実だ。

 そんな気象の不安定さは政治にも社会にも現れているようだ。国会
も後期高齢者の問題で紛糾を続けている。数にものをいわせてやりたい
放題の事をやってきた政府与党、一方、我慢に我慢を重ね、やっと
参議院で多数派になった野党、攻防は激しさを増している。
 これからも野党の攻勢は続くのではないだろうか。ここに来て守勢
に回っている政府与党は、今まで自分達がやってきたことを棚に上げて
野党の攻勢を批判している。その言葉は天唾ものだ。

 さて、あってはならない事件がまた起きてしまった。秋葉原の通り魔
事件、七人もの人が殺害され、十人もの人が傷つけられた。何という
凄惨な事件であろうか。
 亡くなられた方や入院されている方々には、心からお見舞い申し
上げたい。亡くなられた方にはご冥福を。傷つけられた方々には一日も
早い回復を願っている。

 事件の背景には、投げやりな気持ちになる事が勤務先であったと
報じられている。犯人は派遣社員であったようだ。首になるかも
知れないと言う心理的な不安が犯行に走らせたと言われている。
 だからと言って人を殺傷し、すべてを精算したいという考えは
いかにも短絡的過ぎる。冷静になって考えてみれば何でそんな事を
したのだろうと思っているに違いない。
 しかし、犯行前にはこの方法しかないと思い詰めていたようだ。
ここに人の心の闇の部分があるような気がしてならない。昨今の
殺人事件の背景には同様な心理状態が見て取れる。
 本当にその方法しかないのか、犯行に走る前に人に相談するとか、
悩みをうち明けるとか、もう一度、自分自身の心に問いかけてみる
ような心の余裕はなかったのか。

 現代人は物質的な豊かさを享受している反面、心の中は非常に貧困
である。そして、親子であっても心の中をうち明けることが出来ず、
心の内を聞いて貰えるような親しい人間関係もない。実に孤独である。
その傾向は、年を追うごとにひどくなっているようだ。
 その上、政治や経済の問題もあり、四川大地震やミャンマーの
サイクロン被害なども心理的な大きな影を落としているに違いない。
生きていても仕方ない、いっそ命を絶ってしまえと自殺に走る人、
自殺に踏み切れない人間は他人の手を借りて何とかと、今回のような
犯行に走る。昔のような大家族であったら、こんな事は起きなかった
かも知れない。孤独であるが故の犯行も少なくないだろう。

 また、現代の雇用制度にも問題があるような気がしてならない。
企業は儲けのために正規社員を少なくし、嘱託だとか臨時雇用だとか、
派遣社員で穴埋めをしている。
 この派遣社員制度が色んな形で多くの問題を生んできた、。その一つ
が保険制度の問題であろう。本来、企業を指導すべき国が企業の後押し
をしてきた感は拭えない。
 その結果、正規社員は少なくなり、保険の滞納や制度に加入しない、
加入出来ない人が増えている。これでは医療保険制度も年金保険制度
も破綻するのは当たり前である。ただでさえ出生率が低下し、破綻
寸前なのに、これに拍車をかけるようなものではないのか。

 犯人を犯行に走らせた動機の一つに、いつ解雇されるか分からない
と言う心理的な不安があったようだ。そもそも派遣社員の身分は
浮き草のようなものである。将来設計を持とうにも不安定な雇用や
収入では出来もしない。みんな将来に漠然とした不安を抱えて生活
している。
 そんな企業のやり方を見過ごし助長してきたのは政府与党である。
そして、更に怠慢だったのは労働者の立場でものを考えるべき労組の
集まりである連合ではなかったか。
 もっと雇用という面で傘下にいる正規労働者だけでなく非正規労働者
の待遇や雇用安定に目を向けて来るべきではなかったか。

 そして、政府は保険制度のことを考えるのであれば企業に負担を
強いるべきであった。企業に対しては一般市民とは比較にならない
ぐらい優遇をしている面が少なくない。
 端的な例は道路だろう。道路は一般市民の通行のためだけではない。
この道路を使って企業活動を行っている搬送業者や、多くの企業だ。
こうした企業は一般の私たちとは比較にならないくらい多くの恩恵を
受けている。それは道路だけではない。
 二酸化炭素の排出はどうなのか。一般家庭の何十倍もの二酸化炭素
を排出している。社会に多くの負担を強いて企業だけがまるまると
太っていくという、このあり方が問題だと思うのは私だけであろうか。
 企業からは、もっと税や社会保障の負担という形で取っていけば良い。
企業は世のため人のためにある組織なのだから。

 ともあれ、今回の事件は特別な人間が引き起こした特殊な事件として
片付けてしまうのではなく、今の社会が持つ病的な部分としてとらえ
今後の対策を講じていくべきではなかろうか。

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