人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

震災から十二年

2007-01-18 10:59:06 | Weblog
 あの日、私はいつものように早朝から起きていた。後に阪神淡路大震災
と名付けられた未曾有の大地震の発生時刻は午前5時46分だった。下から
突き上げるような大きな揺れがドンという音とともにやってきた。過去に
感じたことのない揺れだった。私は直感的に震源地は近いと感じた。

 目の前の壁と柱の間が離れ大きな隙間が生じ、また閉じた。咄嗟に横に
あった石油ストーブの火を消そうと思ったのだが、慌てていて灯心を出す
方に回してしまい炎が大きく立ち上った。慌てて反対に回して消した事を
記憶している。いささか冷静さを欠いた行動だったと反省している。

 その後、揺れはすぐに治まった。テレビのスイッチを入れてみると地震
速報が流れていた。意外にも震源地は神戸周辺との事だった。地震など
想像も出来ない場所だった。震度は7が表示されていた。震度通りの想像
を絶するような揺れであった。その後、速報の数値は変更されたのでは
ないだろうか。

 震災後、一カ月ほどして神戸を訪れた。当初の混乱は治まり静かな町に
戻っていた。しかし、町に活気はなく静だった。崩れたビルや家屋や電柱
などは、そのままであった。
 海岸付近も大きな被害を受けていた。何よりも驚いたのは高架橋の支柱
である太い鉄のパイプが押しつぶされて膨らんだようになっていた事だった。
そう言えば倒れた多くのビルが、上の階が下の階を押しつぶすように崩れて
いた。確か座屈という表現が使われていたようだ。

 先日、案内に誘われて建設中の高層マンションのモデルルームの見学に
行ってきた。入り口が一カ所だけであり、廊下の両サイドは部屋になって
いた。廊下の突き当たりにはダイニング、キッチンがあって、その前は
ベランダという作りであった。ベランダからは瀬戸内海を眺めることが
出来るという羨ましい作りであった。夏ならば、このベランダから海を
眺めながら食事をしたりビールが飲めるようなスペースであった。入り口
が一カ所だけというのは、昨今のように物騒な時代にあって申し分ない
作りだ。

 岡山市では桃太郎通りという駅から岡山城に至るメイン通りに、この
ような作りの高層マンションが林立している。数年前までは想像も出来
なかった光景である。
 地価が下がったことと、市街地の便利さを求める人の需要が後押しを
しているようだ。しかし、こうした高層マンションの強度は満たされて
いるのだろうか。例の耐震強度偽装問題もあって人々の関心は高まり、
安かろう悪かろうという物件はなくなったようだが、本当に大丈夫かと
問われれば不安は拭えない。

 現に周期の長い揺れの場合、高層階ほど揺れが大きいようだ。ビル自体
の強度は保証されていても住んでいる者や中にある家具などのことを考える
と問題ないと言い切れるのだろうか。今、耐震強度の問題だけでなく、こう
した揺れについても問題になっている。

 いずれにせよ、備えあれば憂いなしという。東海や東南海、南海地震と
日本海溝付近の地震帯は不気味に静まりかえっている。先には千島海溝
付近での大きな地震が発生している。また、インドネシアでは二度も海溝
付近で地震が発生して大きな被害を出したばかりだ。こうした地震を教訓
に速やかな対策を講じることが必要なのではないだろうか。
コメント
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