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100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

ボルネオ編 5 ~久しぶりのスラバヤ~

2010年08月08日 | 人生航海
その後、久し振りにスラバヤ港に穀物を積んで行くことになった。

以前、軍属時代に二年近く、スラバヤの港にいたので、懐かしくて岸壁に立って、あの頃を思い出した。

部隊の司令部や信号所に、自然と足が向き行ってみたが、僅かの間に、すっかり様子が変わり知った人達はいなかった。

街に出て、あの頃に通った店を訪ねると、顔見知りの店主が、私を見て、ゆっくりと近づいて、懐かしそうに、話しかけてきた。

当時が甦り、話が弾んで、とても嬉しかった。

久し振りのスラバヤでの多くの思い出が浮かんできたが、その後は、何処かの戦地で、誰かが活躍しているのかと思うと、自由な民間人として、済まない気もしたものだった。

そんな過ぎし時を思いながら、バリックパパンを基地にして、一年近く運航を続けて過ごした頃、日本海軍からの指示が下ったのである。