百島百話 メルヘンと禅 百会倶楽部 百々物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

再度南方へ 2 ~渡りに舟~

2010年08月01日 | 人生航海
早や半年が過ぎた頃、先輩達の話や皆の待遇を知るようになった。

自分の労働契約条件が、他の皆の入廠時の条件と大きく違うことが分かったのである。

その話を上司の係長に相談したが、いつまでも待っても返事は無かった。

「ただ上司に伝えておく。もう少し待て」と言うだけで、何の解決にもならなかった。

そして、課長にも、その事を申し出ると、その後、いくら待てども、何の回答も得られなかったのである。

そこで、退職の決意の表れとして、私は、無断で当分休む事にしたのである。

ちょうどその頃、偶然にも、以前にお世話になった上野船長と出会った。

そして、「南方のボルネオに行くので船員が必要だ」という誘いがあったのである。

「渡りに舟」とは、こういう運命の巡り合わせを意味するのかと思った。

案外と条件も良いし、給料も待遇も良いので、私の他に三人で行く事が決まった。

船長の話では・・。

雇用契約先は、株式会社野村東印度殖産という会社であるとのこと。

ボルネオのバンジェルマシンまで行って、そこを中心として運航するとのこと。

詳しい説明は、大阪で説明があるのこと。

早速、二日後には、本契約をする為に、大阪で全員が集まることになったのである。

船長からは聞いていたが、その他の条件を聞き、大阪で仮契約を交わした。

他にも、何人もの希望者がいたが、定員となったので断ったと聞いた。