山里を歩くといま秋の花が咲き蜂や蝶たちがその周りを飛び交っています。そんななかでややもすれば草の陰に隠れそうに咲いている小さな白い花がありました。「ゲンノショウコ」です。「医者いらず」「たちまち草」とも呼ばれる薬効が高く薬草として昔から知られる植物です。花言葉は「強い心」だそうです。比較的知られる短歌としては鳥海昭子作の
「兵隊の薬にするとゲンノショウコ摘む宿題があったのでした」 という歌があります。1945年の太平洋戦争以前の戦時中の日本では子どもたちにも戦場で戦う兵隊のためにゲンノショウコを摘むということをさせられていたようです。二度とあんな世の中にはしたくありませんね。
もう一つ風で揺れる舟の形をした赤い花が少し陰の多い道路わきの草から吊り下げられるようになって沢山咲いていました。「ツリフネソウ」です。短歌ではゲンノショウコで取上げた短歌と同じ作者、鳥海昭子の
「安らかな記憶にありて藪蔭のツリフネソウとふるさとの家」 現代でも充分に通用しそうなツリフネソウの咲く有様が活写されています。花言葉には「安楽」「期待」などがあります。
山里ではこのほかにも萩の花、畑には蕎麦の花などさまざまな花を見て楽しみました。