毎年、合鴨農法に使用する鴨を供給してくれているのは鴨肉生産の第一農場の庄司さん。山形はもちろん近県で合鴨農法をしているものにとっては欠かせない存在です。今年も秋田の米山さん、酒田の堀さんがお世話になっています。
田圃には生後二週間程度の鴨を放ちます。同じ日に孵化し、同じ環境で育ったにも関わらず、つかんだときの骨の太さや筋肉の量とその動きに違いを感じます。田圃に入れても、先頭に立つ者、後から追いかけていくもの、潜水して泳ぐものなどさまざまです。
鴨は田圃に入れて1カ月ほど経つと、その役目が終わります。7月上旬頃に庄司さんが各圃場へ廻って回収しています。「同じ時期に持っていった鴨も、その人の飼い方で結構違うんですよ」と云います。それは個体差によるものではなく、餌の種類によって育ち方が異なるというのです。「クズ米ばかり与えているところはタンパク質不足で骨格形成が悪いんです。引き取った後にちゃんと育てても、やっぱり肉がつかないんですよ」と云います。鴨は草食でなく雑食。骨の形成にはカルシウムはもちろんのこと、タンパク質が重要で、大豆粕や魚粕などには、骨の形成に役立つアミノ酸やコラーゲンなどの栄養素が必要なのです。
小さいときの食が大人になるための基礎を作る。これは農作物や私たち人間も同じ。生まれもった個体差はあっても、生育ステージに合わせたバランスの良い食事が大切だということを改めて感じました。