考古学者は名探偵 -分類が謎を解く-

2013-03-04 14:57:02 | 日記

山本忠尚著   論創社刊

『おどろきの中国』を読む合間に読んだ本。なにしろ、社会学者三人の鼎談なので午前中に読むのがせーいっぱいで、午後には読む気力が失せているので。
ところで、本書。国際基督教大学・京都大学大学院・奈良国立文化財研究所・天理大学をリタイアした人だが、考古学一筋の学者で、これがなかなか面白い。つまり、考古学とはどんな学問かを実に分かり易く解説してあるのだ。これから考古学を専攻しようとしている学生には恰好の入門書だと思う。勿論、書かれているのは基本中の基本である。でも、その面白さや興味を持ち続けた背景はこれから考古学を志す人には励みになるはずだ。
もちろん、リタイアした著者が書いたものであるから、解説されている手法は古い。これは著者自身が述べていることだが、便利になった分、考古学が持っているロマンが薄れてきたことも事実なのだろう。
学生に限らず、考古学に興味を持つ人はぜひ読んでみるべきだと思った。


おどろきの中国

2013-03-02 16:07:58 | 日記

橋爪大三郎×大澤真幸×宮台信司 著   講談社現代新書

まず、タイトルについて。『おどろきの中国』は、著者達が付けたそうだ。次にオビのタイトル。『そもそも「国家」なのか?』(メインタイトルより活字は大きい)。敢えて言えば「そもそも中国は…」とすれば、こちらの方が断然迫力があるし、時宜に合っていると思う。タイトルが決まるまでの経緯が分かるような気がする。
続きは後日に……。


無地のネクタイ

2013-03-01 14:26:30 | 日記

丸谷才一著   岩波書店刊

丸谷才一っていい人だったなぁ。未だ亡くなられたことが信じられない。
彼の書くものが好きだった(但し、彼の著作をすべて納得し、理解したというには当方の知識の器が余りに貧弱すぎるので、断言するのは憚れるのだが)。
なにしろ、彼の評論(もしくはエッセイ)には、外連(けれん)がない。もちろん、世代によるのだろうが拠って立つ論拠は極めて常識的であり、その結論も真っ当である。そこが堪らなく好きだった。最近の評論がもって回った我田引水的な主張に終わるのとは大違いである。
こういう人たちって、少なくなって行くのだろうな。
これは先人達の多くが味わったことなのだろうが、淋しいな。一頁々、惜しみながら読んだ。
腰巻の「おしまひに一つ言ひ添えて置きますが」が、今更に心に沁みる。