ニッポン定番メニュー事始め  -身近な食べもののルーツを探る-

2013-12-24 16:01:08 | 日記

しぶ川祐子著  彩流社刊

このタイトルに興味のある人には、たいていは知っている話なのだが、そのルーツからのバリエーションの変遷を追跡しているところが読みどころ。ある程度年を経た人には、自分がどの段階でその食に出会ったかを、知る面白さがある。
それにしても、日本人の食のアレンジ力には感心する。原形から日本の食材を代用し、新しいメニューに仕立て上げ、更にジャンプして世界に通用するメニューに発展させるところが凄い。料理にはバリエーションは当たり前だが、それを世界規模に普及させるほどではない。ここでは、インスタントラーメンを挙げるに留めるが…。
読んでいて楽しかったのは、やはりこの料理をバリエーションのどの段階で、幾つの時に「私が食べた」か、だった。そして、それに纏わるいろいろな事を思い出してしまった。


カミキリ学のすすめ

2013-12-20 14:58:16 | 日記

新里達也編著   海ゆう舎刊

タイトルを見て、ああと分かった人向けの本。ちなみに紙切りでもなく髪き切りでもありません。
私も、かつて昆虫少年だった。東京に住む子供にとっては、高尾山がメッカだつた(世界遺産になる、ずっとずっと昔の話です)。多分八年くらい通い詰めたと思う。標本作りに夢中になった覚えがある。あの頃、こんな本が出でいたのならば、私はカミキリ屋かカブトムシ屋になっていたかも知れない。
今も、現役の人達にはとても楽しめて、同感できる本ではないだろうか(大人も子供も)。全くカミキリに興味のない人にもお勧めです。虫を追いかけて日本や世界の地理が分かり、そして何よりも人の輪がつくれることを知って欲しい。
前回はアサギマダラの本でしたが、この手の本、好きなんです。


そして最後にヒトが残った  -ネアンデルタール人と私たちの50万年史-

2013-12-16 15:04:00 | 日記

くらいぶ・フィンレイソン著   白楊社刊

結論は置いておくとして、我々は「進化はある必然があって行われたと思っている」。しかし、そうだろうか?ヒトは一様な進化をした訳でもなく、様々な事情に臨機応変に、そして自由自在に進化したのではないか。その証拠は地球全域に残っている。地球上に人類と分類できるヒトは20種以上存在していたのに、我々ヒトだけが生き残ったのだ。
それにしても、類人猿から新人類、そしてヒトが最後に残ったのだ。何故だろうか? 本書はこれまでの人類史を原点から考え直させる示唆に富んでいる。それも、私たち素人には納得できる理屈で。
読んでいて、楽しいですよ。少なくても、これまでの私達の常識(人類史に興味がある人にとって、という意味ですが)が、次々に引っくり返される面白さがあります。勿論、反対意見もあるでしょうが…。ぜひ、一読を!


謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?

2013-12-10 15:01:45 | 日記

栗田昌   PHP研究所刊

アサギマダラという蝶、ご存知ですよね。東北で捕まえた蝶にフェルトペンでマーキングしたものが、奄美大島で見付かった、という話をТVで見たりします。
この蝶、僅か0.5gなのに1000~2000kmも移動するそうで、国境と海を越えて渡りをするのは世界でこの一種だそう。咄嗟に思ったのは餌はどうする? ということだったけれど、この蝶最長40日くらいは絶食可能らしい。このスタミナ、凄いですよ.孵化してから8~9ヵ月という寿命も驚きです。
あなたも、自分で東北でマーキングした蝶が奄美大島で捕獲されたという報告を聞いたならば、感激ですよねぇ。どうしたらいいか? これに関する5w1Hは本書を読んでください。ともかく懇切丁寧意に初歩から書いてあります。ぜひ、チャレンジしてください。アサギマダラの生態研究の一助になりますから。
それにしても、分からないのが著者の生態。医学教授で現役の医師でもある著者が、10年間で13万頭(匹ではないそう。幼虫は匹だそう)のアサギマダラにマーキングした記録を持っている。どうしてそんな時間を持てたのかな? コチラの方の生態報告も欲しいものです。


人類の旅路を歩く

2013-12-06 15:08:47 | 日記

ナショナル ジォグラフィック 2013 12

タイトルどうり、人類発生のエチオピア ヘルトブーリ(人類最古の骨が出土した)から、ヨルダン、タジキスタン、インド、ミャンマー、中国、アラスカ・アンカレジ、コロンバス、チリ  ティエラ・デル・フエゴ(いずれも遺跡のある場所)まで歩いたジャーナリストの記事。分かる通り、ヨーロッパ、オーストラリアなどには行っていない。まっ、言ってみればメインストリート。七年掛かったそうだ。写真も豊富でよくぞこんな所まで著者も、そして何より人類が行ったものだと感心する。
そこで、だが。ヒトは気候、風土を問わず、どうして、これほど繁殖したのですかね? 勿論ないろいろな要因があることは承知の上でですが。雑食に耐えられたのも一因かもしれない。という訳で、次の本は『そして最後にヒトが残った』にする心算。なんとなく、ヒントがありそうで。
もうひとつ、「スキーの歴史」という記事。シーズンなので、ちょっとした話のタネになりますよ。それは冗談。最古のスキーは、紀元前8000年前の中国アルタイ山脈あたりらしい(諸説あり)。これも、前の記事と読み合わせると、ねっ! 何か思い当たりませんか?


二都騒乱 新・古着屋総兵衛 七

2013-12-02 15:31:53 | 日記

佐伯泰英著   新潮文庫

ここ4週間程、小説家の真似事をして短編の習作をしていた。いやぁ、百聞は一見に如かずで、慣れない事をしてはいけません。一ヶ月もして読み返したら、「詰まらない」の一言で終わりそう。
という訳で、本書。長かった! 七巻が出るまで。敢えて書くことはないけれど、何しろこのシリーズ久しぶりで快読できる時代小説なので、どうしても次巻を苛々して待つことになってしまう。
最近の軽い時代小説(と名を借りた現代小説)に飽きた人には、久しぶりにスケールのある小説で、しかも読後にスッキリ、満足できるシリーズ。もっとも、著者は沢山のシリーズを抱えているらしく、待たされるのは止むを得ないか!?