日本の男色史 -なぜ世界有数の同性愛文化が栄えたのか-

2014-12-11 08:57:01 | 日記

ゲイリー・P・リューブ著  作品社刊

世界初の日本男色論、というのが本書の特長だそうである。確かに日本の男色史を古代ギリシャの同性愛から説き起こしたのは初めて読む。それが初めてだということは、日本においては男色がそれほど不思議なことではない、常識だと理解されていたということで、文化と言われればそうかなと思うしかない。
しかし、少し詳しい人ならば徳川時代になると、男色はさらに発展?して両性愛に至る。つまり男女+男娼という組み合わせがよく見られるようになる(浮世絵で見た人も多いと思う)。これは古代ギリシャでは見られなかったことで、セックスに制約がなくなったとも言えるし、徳川時代の人々は大らかになっていたとも言える。
詳しくは本書に譲るが、通読するとこれは日本の文化史だとも読める。誰にでも勧められる本ではないが、一読の価値はある。ただ、少々紋切り型と思うのだが…。外国の人から見るとこう思えるのかな?


『考える人』  2014年秋号

2014-12-01 14:27:38 | 日記

新潮社刊

今号の特集は、「オーケストラをつくろう」である。これまでのオーケストラと指揮者の話とは、まるで違う。読んでもらうと分かるが、実にユニークな指揮者とオーケストラの話である。グスターボ・ドゥダメルという指揮者を知っている人もいると思うが、彼を中心にしたこの活動は素晴らしい。ぜひ、読んでみて欲しい。特に、印象的だったのは、楽団員の楽器に直接触れている子供達の写真だった。こんなことが出来るのならば、子供達がクラシックをもっと好きになれるだろうな、という写真だった。
もうひとつの小特集は「山本直純という音楽家」である。実は、私は最初に読んだ。懐かしい名前である。多分、若い人は「一年生になったら」という歌が記憶にある筈だ。あるいは「ねむの木の子守歌」で知っている人もいるだろう。私は「オーケストラがやって来た」というТV番組に強い印象があるが…。とても好きな指揮者だった。尤も、オーソドックスなクラシックファンには評判が良くなかったようだが…。彼に関してはいろいろな本を読んでいるので、改めて知ることはそうなかったけれど、やはり素晴らしい音楽家だったのだな、という印象を持った。