画家とモデル  -宿命の出会い-

2020-05-24 09:36:49 | 日記

中野京子著  新潮社刊

画家とモデルというと、男性画家と女性モデルを想像しがちだが、勿論それだけではない。肖像画家の場合ならば権力者である王や男性貴族であることもある。そればかりではない。他の理由で同性をモデルにすることもある。本書はそこに視点を当てた本。
こういうテーマで絵を観たことはなかったので新鮮だった。18人の画家のうち知っている、というか聞いた名前は5人、観たことのある絵は2点。まっ、私は絵には疎いので参考にはならないが…。いや、初めて聞く話ばかりだった。なかでもヴァラドンという画家は元モデルだったそうだ。こういう例が日本にあるのかどうか知らないが、私は初めて知った。この画家の話が面白い。
ぜひとも一読をお勧めする。


聞き書  緒方貞子回顧録

2020-05-03 09:49:09 | 日記

インタビー〔野村 健/納家政嗣〕  岩波現代文庫

本書は2015年に単行本として発刊されたもので、今回文庫本化するにあたって解説に、緒方氏と同じUNCR時代を体験している中満 泉氏(国際聨合事務次長・軍縮担当上級代表)が担当しているというので、改めて買った。
再読してつくづく思ったことがある。、想像されたとおり!現代の日本の政治家・政府のお粗末加減である。国際情勢なんてまるで関心ない。あるのは椅子取りゲームだけ!与党も野党も同じ。まるで幼稚園児、いや、それ以下。それにもまして、というか、これと相似なのがわが国に今現在国際主義団体が皆無だということ。悲しくなってしまう。
これは、日本の政界、政治家、教育界の、貧困さにある。内向き、安定志向、現状維持、これでは世界に目を向ける人達が出て来る訳がない。もし、まだお読みになっていないのならば、一読をお勧めする。
しばらくは新聞やテレビ、首相の顔を見たくなくなるかもしれないが……。