交雑する人類 -古代DNAが明かす新サピエンス史-

2019-05-21 08:10:30 | 日記

ディヴィッド・ライク著 NHk出版刊

本書を読んでいる最中に朝日新聞で次の記事を見つけた。①「フィリピンに新“原人5万年以上前の化石」 北京原人、ジャワ原人、フローレンス原人、澎湖原人に続く第5の原人だ。 ②「16万年前の人類からの贈り物?ー現代チベット人に同じ遺伝子ー」 この人類とはデニソワ人という古代人。 ③「縄文人は脂っこいもの好き?ー脂肪分解しやすい遺伝子解析ー」世界で始めて縄文人の全ゲノム解析で分かった。
-本書は、この古代人のDNAの第一人者の著者の中間報告(多分?)。これが凄い! これまての常識ではホモ・サピエンスはアフリカを出て、独立独歩で世界中に拡散したことになっている。他の人類には出会わなかったはずだった。大雑場に言えば……。ところが。
原人は絶滅した古い人類で、現生人類のホモ・サピエンスの直接の祖先ではない。が、この古代人の遺伝子DNAが、現代の我々のDNAの中に数パーセント残っているのだ、ということは? そう、ホモ・サピエンスはアフリカを出発してから世界中に拡散する過程で、古代人と子孫を残すほどねんごろに交雑(この言葉使いたくないな。つまり、愛し合った)ということだ。もちろん、駆逐したとされているネアンデルタール人の遺伝子も受け継いでいる。つまり、敵対していたのではなかった。
本書の紹介はここまでにしたい。やや分厚い本だが、面白い。
本誌読了すると分かる事なのだが、敢えて書いておきたい。それは、人種差別は全く意味が無い、どころか「天に唾する」ようなものなのだ。年の為に重複を承知で言うと、他人の素性とやかく言う前に己の素性を確かめろ、ということ。なにしろ、我々は何種類もの古代人の遺伝子を受け継いでいるのだ。


遺稿『人類の闇と光』(仮題)

2019-05-01 08:26:23 | 日記

梅原 猛著  藝術新潮 4月号

梅原猛の遺稿が掲載された。
今月号には、 第Ⅰ部 新しい人類の定義、それは「戦争する動物」 が掲載されている。つまり、人類は動物の中で殆ど唯一戦争(同類の殺害)する動物だと定義する。梅原猛は何度も推敲することで知られているので、軽率には言えないが素晴らしいタイトルだと私は思う。
そこで、この章の小見出しを挙げて見る。第一章 同類の人類殺害を行う動物種 森の神フンババ殺害が意味するところ 小麦の文明と稲作の文明 何故人類は同類の殺害を行うのか  知・情・意の立場から人間を顧みる 一、知ーー理性の立場すらの人間の定義  二、情ーー情感の立場からの人間の定義  三、意ーー意志による人間の定義  「怨」で生まれたユダヤ一神教四、知・情・意以外のもうひとつ、「怨」すなわちルサンチマンによる人間の定義。
掲載されているはここまで。遺稿には第二章、第三章があるそうだ。この後、どう展開されていたのか気になる。一切の私情を排して章立てだけ紹介した。本当はいろいろ書きたいのだけれど、まだその整理が出来ていない。