出雲と大和 -古代国家の原像をたずねて

2013-03-25 15:07:46 | 日記

村井康彦著   岩波新書

著者の視点は、私なりには納得できるものだった。とにかく『古事記』を読むと矢鱈と出雲の神(国ッ神)、大国主神が登場するのが不思議だった。というか大和の先住民は出雲系の人だったのではないかとさえ思っていた。その意味では大和朝廷と出雲との関係がスッキリ(多分?)分かったのは収穫だった。
ただ、ここに邪馬台国が登場するのは予想外だった。著者の長年の研究の結果なのだろうが、分かったようでわからない部分が多かった(多分、私の読み込み方が浅いのだろうが)。
ここから、本題を外れる。邪馬台国についてである。凡そ、多くの本は邪馬台国は何処にあったのかに集中している。私にとっては、邪馬台国はどんな人達が創った国なのか? そして、卑弥呼一族は絶滅したのか? 何故、卑弥呼が祖先だと名乗る一族がいないのか?卑弥呼一族が抹消されたとなれば、古代にジェノサイドがあった? まさか。といったことなのだが、そんな本読んだことがない。つまり、卑弥呼のルーツが分からない。ともかく『魏志倭人伝』に書かれているから実在した、という前提で始まっていて、その前提に関しては詮索されていない。
古代の氏族にそんな伝承を持った一族はいないのかな?
そこで、本題に戻る。著者は「邪馬台国は出雲勢力の立てたクニ」だと、結論している。これまでの流れからはそうなる。それはそれでいいのだが、それでも、私の疑問は解消されないところがもどかしい。