空耳の科学 -だまされる耳、聞き分ける脳-

2013-03-10 15:00:45 | 日記

柏野牧夫著   (株)ヤマハミュージックメディア刊

「空耳(いわゆる幻聴のことですね)」というのは、時に都合のいいこともあるし、場合によっては赤っ恥をかくというのが私の経験則だが、そう単純なことではないらしい。
本書はその空耳に関する科学的アプローチの本である。楽器演奏家やオーディオマニアには、ちょっとショッキングかもしれないし、逆に「そうだ、そうなんだよ!」と納得する人も多いに違いない(どちらも、過剰反応はしない方がいいが)。
人間の「耳の構造」は思いのほか複雑で、難聴を経験した人には頷ける話でもある。しかも、耳から入った音を理解する脳にも問題がある。脳は「自分の経験則に基づいて、勝手に音をイメージしてしまう」こともあるらしい。一体、どちらに信頼を置けばいいのか分からなくなるのだが、著者の結論は「空耳に任せておけば、たいがいうまくいく」ということらしい。
本書は高校生を対象にした講義なので分かりやすい、と言いたいところだが、この高校生半端ではないので、うっかりすると劣等感に見舞われるかもしれないので、御用心。
私としては、純音聴力検査のグラフの見方がわかったことが収穫だった。ついこの間、検査を受けたのだがその意味がさっぱり分からなかったので。