壽屋コピーライター開高健

2014-06-26 17:43:27 | 日記

坪松博之著   たる出版刊

開高健の本はもう出ないと思っていた。でも、こういうアプローチがあったのですね。開高健というと、コピーライターは、彼の仕事を語る時には最初のホップという捉え方が多かったのだが、本書は壽屋宣伝部員のコピーライター・開高健に特定して書かれているところがいい。
古い、新しいではない。コピーライターが一人前として評価されるには何が必要なのか、センスにどう磨きをかけるのか、がよく分かる。人によっては運が良かった、時代が違うと言うかも知れないが、真実必要なものは何かを教えてくれる。コピーライターを志す人はぜひ読んだ方がいい。
私にも経験があるが、まぐれ当たりはある。それを持続させるのは、運でも、時代でもない!


官房長官  -側近の政治学-

2014-06-17 09:02:57 | 日記

星 浩著  朝日新聞出版刊

政治家にまつわる本というと読み辛い、素人には分からない楽屋話が多いというのが通り相場だが、本書は違う。なにしろ、主人公が我々には顔なじみだということ。ニュースを見れば必ず見る顔で、別に親しみを感じるというレベルとは違うけれど、すぐあの人か、と思えるところに読み易さがある。
著者は朝日新聞で長らく政治部記者を勤めた人。あくまでも一般人の目線で書かれているところがいい。簡潔で要領を得ている。現官房長官の菅義偉のロングインタビューが、なかなか読みでがある。今の政治状況を考える上で、参考になる。一読を。妙におもしろい。   

 


常識哲学

2014-06-05 16:10:37 | 日記

なだいなだ著   筑摩書房刊

著者の「最後のメッセージ」である。
「常識」という言葉を改めて考え直させる本。といっても、新しい定義をしたわけではない。本来私達が知っていた常識を改めて気付かせてくれたのである。著者の言いたいことは、常識は時代につれて変わる、しかし、極端にどちらかに傾くものではなく、振り子のように中庸をとる、それは誰もが許容する範囲に留まる。
そして、この「常識」は世界でも稀な思想であるらしい。ココが肝要である。この「常識」が宗教的にも、政治思想的にも極端に偏らない、今日の日本の現情形成しているのだと指摘している。今日の政治状況を考えると、鋭い指摘だと思う。
「最後のメッセージ」は重い。


戦場の犬たち

2014-06-01 15:47:38 | 日記

ナショナル ジオグラフィック   2014・6

世の中には猫派と犬派がいるそうだが、わたしは犬派。というわけで、本書を読みました。
盲導犬については、ある程度知っていたけれど、いや彼等も苛酷な犬生を送っている。なにしろ、死と隣り合わせに活動しているというのが凄い。
平安な一生を送って欲しいけれど、それも難しそう。犬派の人は、ぜひよんでほしい。


レーガンとサッチャー -新自由主義のリーダーシップ-

2014-06-01 15:09:22 | 日記

ニコラス・ワプショップト著  新潮選書

タイトルから二人の在任期間の政治的行動、その失敗と成功の話だと思うだろうけれど、その通りである。但し、二人の交わした私信がポイントになっているところが、類書とは多いに違っている。こうした本では、むしろ側近達の証言や反対勢力の批判がメインになるのだが、本書はそこを最低限の著述に済ましている。つまり、焦点は二人がどうやってアメリカとイギリスをリードして来たか、そのぶれない姿勢はどこに起因していたかを追求している。
わずか40年ほど前のことなので、記憶している方も多いはずで、そうかそうだったのかと納得てきる人もいると思う。それにしても、ふたりの首脳がこれほど沢山の私信を交わしていたとは驚いた。本書ではそれを「政治上の結婚」と表現しているが、結婚ですよ、親友ではなく。アメリカの大統領と御友達になったという日本の首相はいたけれど。当然、夫婦喧嘩もあった。それでも、二人の関係は壊れなかった。大方の夫婦と同じように。
とてもスピーディーに記述されているので、厭きない。随所に挿入されている私信がキーポイントになっている。今の日本の首相達に、これほど濃密な関係を他の首脳と持っているとは考えられない。秘密保護法とやらが成立したので、そうした私信があったとしても、我々が目にすることはなさそうだ。