悪党たちの大英帝国

2020-08-31 14:35:12 | 日記

君塚直隆著  新潮選書

抜群に面白い! ヘンリ8世,クロムウェル、ウィリアム三世、ジョージ三世、パーマストン子爵、ロイド・ジョージ、チャーチル。英国史ではお馴染みの人達である。
ところが、著者は彼等はとんでもない悪党達だったというのである。しかも!彼等がその時々の英国の基礎を創った英雄でもあるというのである。これを噛み砕いて言うと……本書の内容そのものになってしまうので、日本でいうと織田信長みたいな人、というのが分かり易いかもしれない。彼は戦国時代に終止符を打った最初の武将だった(天下統一)。しかし、同時に叡山全山の僧侶、僧兵、女子供を焼き殺した男であり、部下に裏切られ、焼き殺された男でもある。
つまり、英雄でもあり、悪党でもある。教科書には載っていない英国史。いやぁ面白い!!


激甚気象はなぜ起こる

2020-08-09 09:34:26 | 日記

坪木和久著  新潮新書

あまり聞きなれない気象用語であるが、今年の日本列島は九州地方の豪雨に始まって、それに続く東北・北海道の豪雨、台風が発生しなかった七月、最近の気象はこれまで経験しなかったことばかりで、実感できる。いや、今年ばかりではなく、そして日本ばかりでなく、もつと前から始まっていたようだ。
「激甚気象」という言葉は新潮社の編集部の造語だそうだが、著者の坪木氏はそれに十分応えたばかりか、それを肉付けし、実証し、さらに問題提起している。そして、これは日本だけではなく、地球全体の問題であることを気付かせてくれる。原因は解っている!。そして。その責任の一端は我々一人ひとりにあるのだ!
著者は2017年、日本人として初めて、航空機によるスーパー台風(ひまわり8号)の直接観測に成功した人。つまり、台風の「眼」の中に入った人!写真がある。