アメリカのめっちゃスゴい女性たち

2014-05-27 17:33:13 | 日記

町山智浩著   マガジンハウス刊

確かにスゴい女性が列挙されている。55人も! アメリカが性別に拘らない、チャンスを得やすい社会だというのは素晴らしい。それに引き換え日本の政府やマスコミは「風呂屋の親父」でゆっばつかりなのが歯痒い思いがする。
しかし、気に掛かることもある。著者の視点が、いくら稼いだかに置かれているような気がするのだ。急いで付け加えるが、そうでない人も多く紹介されているのだが、どうも自伝でいくら稼いだとか、年収がいくらだとか、いちいち示されているのが少々煩い。
個々を紹介するのは面倒、というか本書自体が一人当たり3ページしかないので、下手すると本書をコピーした方が早い。というわけで、読むぶんには面白い。一晩で読める本デス。それしか言えない。


天体衝突 ー斉一説から激変説へ 地球、生命、文明史ー

2014-05-25 16:35:14 | 日記

松井孝典著   BLUE BACKS

本書を読むのには、時間感覚を大幅にスケールアップしなければならない。当たり前だけれど。それが絵空事ではなく、実は今日か明日にも起こりえるというところが、怖い。
しかも、地球に天体が衝突している、一般には隕石の衝突だが、その頻度は一気に我々にお馴染みの時間概念で起こっているらしい(巻末に2000年以降に報告された隕石の表が掲載されているが、それほどニュースにならないので私達は気が付かないがとてつもない頻度である。ここに日本が登場しないことにほっとするだろう)。直近では、2013年2月15日にロシア南部の都市チェリャビンスク周辺で起こった天体衝突である。そのスケールは本書を読めば分かる。
本書は古代からの天体衝突の歴史を簡潔にまとめてあるし、それがどうして起こるのかも説明されているので、かえって不気味だ。千年とか一万年、一億年という時間感覚だと、まっ、関係ないかと思うかもしれないが、その千年目が今日か明日かもしれないとなると……いや、考えるのはよそう。これまで、こうしたことが真剣に考えてこなかったことに驚く。


日本語のミッシング・リング -江戸と明治の連続・不連続-

2014-05-20 08:39:47 | 日記

今野真二著   新潮選書

タイトルにつられて買った本だが、かなりの専門書。古文や漢文を習得していない世代には、例文そのものが分からないだろうと思われるので(読み下し文も付記されているが、その言い回しを理解するのもちょっと)、これは研究者向けなのかな。
しかし、視点を変えて読むと、新しい側面が見えてくる。最近はカタカナ語が増え、それをさらに三文字・四文字の短縮語にするのが大流行だが、状況こそ違うが同じような現象が江戸から明治の移行期に見られる。これも日本語の宿命だが、こう考えると新たな視点が見えてくる。
特に、それを役所や有識者がどのようにコントロールしているかが見えてくる。そのような観点から読めば思い当たることもあり、面白い本。とはいえ、誰にでも勧められる本ではないなぁ。


スキマの植物図鑑

2014-05-15 08:27:26 | 日記

塚谷祐一著   中公新書

楽しい本を見付けた。スキマの植物とは、アスファルトの割れ目、電柱の根元、ブロック塀の穴、石垣などに生えている植物のこと。私達が雑草と言っているものです。たとえば、スミレ、タンポポ、ハコベ、ツメクサ、ススキ、ドクダミなど、時には南天や雪柳なども見かけますよね。つまり、遠出しなくてもすぐに探せる植物のことです。
本書はこれらのスキマ植物を集めた図鑑。と言っても分厚い図鑑ではない。新書版。ポケットかバックに入るものです。いや楽しい。散歩する態度がスッカリ変わりました。カラー写真が豊富なので、すぐに確かめることが出来るのも便利。私はカメラが苦手なので敢えて冒険はしませんが、得意な人はケイタイで試してみてはどうでしょうか。「私の町のスキマ植物図鑑」として発表してみるのも面白いと思いますね。これって、十分植物学に貢献できることらしい。
散歩が楽しくなるばかりか、季節の移り変わりを実感できてとても楽しそう。ぜひ、手に取って見てほしい。


住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち

2014-05-09 16:22:03 | 日記

川口マーン恵美著  講談社新書

そうか! と言って気楽に読んではいけない。かなり辛口のドイツ・日本の比較が書かれている。この場合、傍目八目というよりは、英語のLooker on see most of the gameがぴったりだ。特に、エリート教育に関してはいろいろ考えさせられる。良いことの裏には弊害もあるということ。その兼ね合いをどうやっていくか考えなければならないだろう。
外国に住んでみないと分からないことがある、という見本。手放しで良い所だけ拾い読みしないこと。  


辻 静雄 -食文化研究の先覚者、フランス料理の伝道者-

2014-05-06 10:11:46 | 日記

KAWADE夢ムック

辻調理師専門学校の創立者というか、料理人達の話にはよく登場する人物で、私はそうした人達の話から知ってたものの、本人についての詳しいことは殆ど知らなかったので面白く読んだ。
通読した感想から言うと、料理人というよりは食文化の学者という気がした。とくに、フランス語に関しては言語学者と言っていい。しかし、フランス料理の普及と調理人の教育についての情熱関しては頭が下がる。私が読んだ料理人達があれほど絶賛する訳が分かった。
それにしても、フランス校があるんですねぇ。確かに、料理はその土地、その食材、そこの人々を知って作れるものなので、当たり前といえばその通りなのだけれども、簡単に実行できることではないと思うので、並みの人ではないんだな。

追記 朝日新聞の日曜版『GLOBE』5月4日号に、「突破する力」欄に静雄氏の長男で現校長の辻芳樹氏が紹介されているので、併せて読まれるといいですよ。