理不尽な進化  -遺伝子と運のあいだ-

2015-05-27 14:26:48 | 日記

吉川広満  朝日出版社刊

ふう、ようやっと読み終えた。内容が難しいわけではない。だから言って、スッキリとまとめられるものでもない。
以下は、私の独断である。要するに、本書は「進化論」説というものにまとわりつくさまざまな人々の考え方をひとづつ検証した本。と言うとややこしい本だと思うだろうが、ハッキリ言って「年寄りの愚痴」と思えば分かり易いか。でも、馬鹿にしてはいけない。本書には「進化論って何?」と聞かれたり、考えた時、誰でもが思う?がメインテーマなのである。タダ、これだけ厚い本(400ページを超す)になったのは、著者があとがきでも言っているように、「自分の納得のためにだけ書いた」本だからである。
というわけで、事、進化論に関する様々な(科学的、歴史的、宗教的etc)疑問をひとつでも持った人はぜひ読むべきだ。タダネェー、著者の博覧強記には敬意を表するけれど、誰が読むか?私は読みきったけれど……。そもそも、タイトルがピント外れのような気がするのだ。
しかし、よく出版したなぁ。出版社は!

 


昭和の名優100列伝

2015-05-25 08:59:58 | 日記

新井恵美子著   北辰堂出版刊

昭和の映画俳優100人生年順に掲載している。実際のスクリーンで観ていないのは坂東妻三郎だけだった。後の人たちは全て観ている(主役として出演していたかどうか分からないのが一人二人いるけれど…)。別に私が特別映画ファンではなかったから、映画が手っ取り早い娯楽だったからなのだろう。
しかし、こんなに記憶しているとは正直思っていなかった。おまけに、彼等に関するゴシップも記憶にある。もちろん、あの人が洩れている、と思った人も何人かいるのだが…。多分、名優とは言われなかったんだろうな。昭和生まれの人には懐かしいと思う。
因みに著者は平凡出版創立者・岩堀喜之助氏の娘さん。平凡出版、これも懐かしい。


宿 神(しゅくじん)

2015-05-22 08:53:05 | 日記

夢枕 獏著  朝日文庫全四巻

西行(佐藤義清)と平清盛が主人公である。横糸が待賢門院たま子と西行の恋、そして、縦糸が宿神ということになる。西行と清盛という組み合わせも面白いし(同年で、同じ北面の武士だった)、西行の和歌が゛時系列で出てくるので、西行の和歌の変遷が分かるのもいい。
ただし、肝心の宿神との絡みがいつもの夢枕獏ワールドからすると物足りない、と私は思った。これも6年掛かったそうだ。私は最初から完結するまでじっと待っていて今回読了したというわけ。
それなりに面白かったけれど、正直言うと少々物足りなかった。多分、歌人としての西行はともかくとして、人間としての西行には好感を持っていない私の個人的な理由による。