全貌 ウィキリークス

2011-02-16 15:06:49 | 日記
マルセン・ローゼンバッハ ホルガー・シュタルク共著  早川書房刊
サブタイトルは「正義のジャーナリズムか? 史上最悪の情報テロか?」。
ウィキリークスの創始者・ジュリアン・アサンジという人物については、注意深く読んでみたがよく分かりかねる。どこか幼稚な所もあるし、一方カリスマ性もあるように思える。トータルな印象から言えば、一種の夢想家で、地に足が着いていない頭のいい大人子供というところか。
ただ、ウィキリークスがしたことはある意味評価してもいい。但し、生のデータを公開するという発想は「両刃の刃」という気がしてならない。勿論、「そのデータを元に自由な議論をして欲しい」というコンセプトは悪くない。
しかし、世界中が賢者で溢れているわけではない。愚者もいれば賢者もいる。従って、公開に当たっては慎重で賢明な「選別」が必要なのではないか。彼は一応「編集長」らしいが、明確な編集ポリシーがあるとは思えない。特に、その情報が人命に関わるデータである時は一層の慎重さが必要なはずだ。
結論はこうだ。まず、明確な編集ポリシーを確立すること。なにが正義で、なにが誤った行動なのか、国家と国民はどのように対峙すればいいのか、きちんとした視座をもつことだろう。彼は「妄想の編集長」である。多分必要なのは正しい意味での「広い見識を持った編集長」が、ウィキリークスには必要だということではないだろうか。