フェイスブック  ー若き天才の野望ー

2011-02-07 08:32:57 | 日記
デビット・カークパトリック著  日経BP社刊
本書は「フェイスブック」の開発者であり、創業者であるマーク・ザッカーバーグの創業物語である。フェイスブックはミクシィとツイッター、それにゲームをはじめとするアプリケーションを備えたソーシャルネットワークで、今やユーザーは世界で6億人、グーグルを抜いているそうだ。
細かいことは省くが(とても私には説明し切れない)、参加者は匿名やペンネームでは加入できず、必ず実名でなければならなく、しかも身分を証明できるものが必要だ。最近、インターネットでは匿名やペンネームによるアジテーション紛いの書き込みも多いと聞いていたので、私には意外だった。
と言うのも、実名で参加しているということはプライバシーを公開しているに等しい。事実、大学は入学者を決める際に、企業は社員を採用する際に、フェイスブックを利用しているそうだ。結果は分かるだろう。
この点について、ザッカーバーグは「今や個人情報は隠し切れない。調べようとすればすぐ分かってしまう。二重人格(善良な自分と、時にドラックに走る自分)で済ませられる時代ではない。プライバシーの暴露を恐れるのではなく、本人が望ましい人間になるよう自己規制することだ。フェイスブックは、人々がそう努力して、真の人間同士のコミニュケーションを築いてくれるツールなのだ」と言っている。
IT関連の人の言う言葉ではない。しかし、進みすぎたインターネットに対する貴重な一石だとは思う。
これは、新しい時代の「新しい道徳律」なのかもしれない。
ザツカーバーグは、ハーバート大学のコンピュータ科学専攻の2年生の時にフェイスブックを立ち上げたので、同じ寮の仲間が共同経営者になっている。創業時のドタバタは、20歳前後の若者にありがちなエピソード満載で、思わずニヤリとほくそ笑んでしまう。
しかし、シリコンバレーに進出すると、特許、訴訟、裁判という荒波に揉まれる。この辺を読むと、アメリカは尽づく訴訟社会であることを痛感させられる。
本書のクライマックスは、拡大する業容に伴う資金調達を巡る、ベンチャーキャピタルとの丁々発止駆け引きである。ハラハラドキドキすること請け合いである。