秀明記(syuumeiki)

着物デザイナーが日々感じたこと、
全国旅(催事)で出会った人たちとのエピソードなど・・・
つれずれなるままに。

墨流し。

2010年08月05日 09時17分17秒 | 着物話
チカゴロ着物業界からすっかり遠のいた感もありますが、完全に足を洗ったワケではありません。

どうしてもお店のほうが中途半端になるから、催事などはなるべくお断りしてますけどね。

来月は長いお付き合いのある問屋さんの仕事を一件だけお受けしたのは、たまには京都以外
の空気を吸ってみたくなったんですよね。

ま、それはともかく。以前に「糸目友禅」と「ロウケツ染め」のお話をしましたが、今回は
「墨流し染め」。
 

 

墨が日本に到来したのは推古天皇(592~628)の頃といわれています。この墨汁を水面に
浮きながし、波紋状の文様を転写するのが「墨流し」です。

もとは貴族たちが色紙や短冊に染着して楽しんでいた遊戯です。三十六歌仙をしたためた
墨流し使用の和紙も残されていますね。

仁平元年(1151)には越前(福井県)武生に伝わり「越前墨流し」として現代に伝承されて
おります。

これはハンカチですが、着尺の場合約15センチ間隔で伸子張りを施し、13~15メーターの
水槽で染付けていきます。


クーラーや扇風機は使用できないので、夏場にはかなりキツイ作業となります。特に今年の
ような酷暑だと地獄ですョ。夕方から作業にかかるなどして何とか凌がれていますけどね。

墨流しといっても、黒一色だけでは飽きられますから、べレンス、藍蝋、洋紅、鉛白などの
顔料を用いてバリエーションを広げています。

偶発的な文様ですから、図案は無用ですが、訪問着などにする場合は、後から「摺り染め」
や「手描き」で柄をほどこし仕上げます。

なんだか、今回は真面目なブログになってしまったけど、たまにはイイヤネ。


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