「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「脇役の主役」

2008年09月26日 | 季節の移ろい・出来事
天高く… 食欲… 燈火親しむ… いずれも秋の季語であり、秋を象徴する言葉である。
暑くて寝苦しくて、やたら水分を欲しがった夏をやり過ごし、ようやく迎えた絶好のシーズン。ついつい食べ過ぎる癖に注意しなければならない季節でもある。

遠い昔から守り伝えられてきた我々日本人の舌の感覚。つまり、微妙な侘びや寂びを味わう味覚を大切にする心意気は今なお健在である。
特にこの時期、海の幸・山の幸全てが競うように最高の味をもたらす。つい普段より多く手が出たとしても不思議ではない。

サンマ・ふぐちり・きのこ、などなど。それ自体でも十分な美味しさ・季節の味を堪能させてはくれる。なんせ素材がいいのだから当然といえば当然。

ところが、これら旬の素材に今ひとつ手を加えることによって更に美味しさが数倍に跳ね上がる薬味の登場が、「カボス」であり「スダチ」であり「ゆず」などである。

暑い真夏に食べる流しそうめんの喉ごしは格別である。ところが、8月半ば以降に薬味としてプラスされる、ゆずのみじん切りが加味された頃からが本当に美味しい食べ頃なのである。

秋も本番に近いこの頃では、カボスやスダチが巾を利かせるようになる。
果汁は豊富な酸味と独特な香りが、刺身にも、煮魚にも、鍋料理のポン酢としての役割も果たす、大切な味付けの主役を演じるようになる。

本来は、取れ立てサンマやキノコが主役のはずなのに、薬味が舌鼓を打たせる主役になったりする。どっちが主役でどっちが脇役か分かりにくくなることさえある。

ということは、詰まるところどちらも主役で、お互いの持っている味を引き立たせ合うところに、本当の美味しさが生まれてくるのであろう。カボスやスダチが単に味付けや隠し味という陰の存在ばかりではなく、いい食材と絡まると主役を演じることも出来るのだ。

活きのいい食材という主役の友達や多くの人と交わって、時に主役と呼んでもらえるような、カボス人生も悪くはないかな…。身の丈に合った脇役人生・時々主役…が性にあっているようだ。

       ( 写真:味覚の秋を演出する カボス・スダチ )

コメント (6)
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