義兄から預かっていた故郷の梅園。義兄の逝去に伴って、返上した。
枝打ちや剪定、下草狩りなど梅園の守をしないまま梅の実の季節を迎えた。足もとは背丈ほどの雑草や低木で、梅の木に近寄るためには相応の作業が必要になる。
こういった農作業は、1年サボると普段の3倍くらいの労力が要る。毎年、毎年、繰り返し季節に合わせて手入れをしておかないと、生り物など収穫は期待できない。
それがなんと、道路から5mも下になる梅の木に、上から見ても、目に十分入る赤い梅の実がたわわに。
何ともこのままほったらかしにするには忍びない。一昨年まではちゃんと手入れして、50kg60kgの収穫があったのだ。道路から見える部分だけでももぎ取って何かに使おう、ということになり、長い梯子を使って直接がけ下に下りて、一部分だけをもぎ取ってきた。
そんな無謀なやり方が来年も出来るかと聞かれれば、おそらくノーであろう。それほど危険で、5m下の梅園まで下りたり、実を引っ提げて梯子を昇るのは大変。怪我でもしたら物笑いにされるだけ。
一仕事終えて、汗を乾かしながら冷たい飲み物で涼を取る。梅林の向こうから故郷のせせらぎが聞こえる。
まさしく、岩にせかるる滝川の割れても末に・・・真っ白い泡を立てて、せせらぎと言うには少し大きめの音を立てて流れ続ける。これぞ故郷の音だね~。約16kgの梅の実とともに、グジャグジャの梅林を後にした。
この先この梅林はいったいどんな森に戻るのか。森に戻さない馬力がなくなった私たちが考えても仕方ないことだけど、誰か馬力のあるもの好きが現れないかね~。現れないよね~。