❝ 形ある物はいつか壊れる。その原因は時節到来 ❞ とは、ある高僧と小僧さんの頓智問答の中に出てきたのだと、あまり宛てにならない私の記憶であるがさてどうでしょう。これと似た言葉が『諸行無常』というのだろうか。こちらは歴とした平家物語の冒頭で、皆様ご承知の通りである。
それはさておき、数日前の夕食を済ませた直後に洗い物をしていたカミさんが大きな声を出した。「しまったお父さんの茶碗が壊れた」と済まなそうに言う。そりゃこっちもびっくりするし、長年愛用して来て手にもお腹にも馴染んできた大型の茶碗である。だが、壊れた物は元には戻らない。壊れたのはその物の持つ寿命、時節が満願に達しただけのこと、とすぐに新しい茶碗を手に入れた。
その茶碗は、壊れた今までのよりかなり小ぶりなものだった。「朝ご飯のお粥さんが少なくなりそう。昼までもてるのだろうか」と心配した。だがそんな心配は三日で消えた。その後は少なくなったその分量がベストのようにお腹に馴染んでいる。
帯状疱疹だ、前立腺がんだと、あれこれ病に襲われるうちに食欲だけは旺盛で、お腹周りと体重はこれまでに見たこともない数値に。それらを見越して朝ご飯も夕ご飯も量が減って、ポッコリお腹にも効果が表れそうな予感が。大きな茶碗から小ぶりな茶碗へ、それとなく自然な成り行きで移行していった結果、健康増進につながるなら、それまでの大振り茶碗ご苦労さん。小ぶりな茶碗よろしくね、である。
意図的に大振り茶碗が手から滑り落ちたのでは・・・などとは言わぬが花、思わぬが花。花盛りの4月も終わりが近づいている。