つぼみの膨らみ具合がNHK全国ニュースで流され、開花を待ち望んだ桜も、とっくに柔らかな黄緑の葉に包まれている。
ふと振り返ると、はや4月の晦日を迎えているのだから、季節はめぐって目に入る景色も確かな動きを見せている。
玄関を出てホンの少し歩くだけで、まさしく季語に言う『山、笑う』の風景が目に飛び込む。
若緑が静かに盛り上がり、あっちこちで大きな口をあけているかのような里山。手前には山の姿を写し出す、水を張った田んぼ。
岩国レンコンのタネバスが植えられるのであろう。作業の終わった水田には耕耘機の姿もない。
やがて枝葉を伸ばし、大きく成長する夏の日照りに供えて、静かなたたずまいで行く春を惜しんでいるかのような。
行く春を 近江の人と 惜しみける 芭蕉
目下ゴールデンウイークのど真ん中。連休については超大型の人、暦通りの中型の人、それぞれ異なっているのだろう。
大企業の事務系職場でありながら、職種の特異性によって、土日祭日・GW・盆正月も職場を空っぽにはできなかった。若い女性たちに連休を与えようとすれば、必然的に我々男子が連休をがまんして、出勤を強いられた遠い昔が懐かしい。
それに比べて今はどうだ。いつもかつもゴールデンウイーク。土日祭日・盆正月みたいなものだ。これで体調不良など起こして寝込んだり病院通いしていては世間に申し訳が立たない・・・などと、いまのところ元気に過ごす身を誇りに思っている。
が、これも当てにはできない。いつ何事が起こるやら。それに胸のうちまでいつもいつも健康そのものとばかりは言っていられない部分もある。
この春、大きく進路が変わった人たちにとって、周囲がよく呑み込めないままがむしゃらに過ごした1ヶ月をなんとか終えて、Goodtimingの連休は有難いことだろう。大いに一息ついて、身の回りの青葉若葉に負けない萌えるファイトを呼び起こしてもらいたいものである。
1ヶ月、3か月、半年、1年、3年・・・と、己を振り返る気持ちの揺らぎや、倦怠感周期がやってくるという。
そこを辛抱するのが本当の辛抱かな・・・などと、辛抱の必要が少なくなった者が言っても説得力に欠けるのかねー。