生い茂る青紅葉に囲まれる宇野千代生家
嬉しいことに、岩国市が生んだ女流作家の粋、宇野千代さんをモデルにした連続小説がNHKの朝ドラになることが決まった。そのニュースに市行政はじめ各団体が大変喜んでいる。来年秋のオンエアーで、タイトルは「ブラッサム」という。この意味や由来はまだ定かではないが、兎に角、こんな片田舎出身の作家をモデルにしたドラマが生まれるとは。何はともあれ喜ばしい出来事ではある。
かつて、宇野千代ファンが運営する「宇野千代顕彰会」の一員として、会の発展を陰で支えたと自負するこの身にとっても嬉しいことではある。「錦帯橋も日本一、桜も日本一、そんな故郷を持つ私は日本一の果報者ですよ」と笑って、故郷岩国をこよなく愛した晩年の宇野千代さん。
女流作家を目指して奮闘する東京での生活は、文豪や著名な画家との交流もあって、その自由奔放な生き方には、少し冷めた目も向けられる不遇時代もあった。しかし、小説家だけにとどまらず、実業家としての活躍は、日本女性のパイオニア的存在であったと、私は自慢に思っている。
数々の受賞作品はまさに傑作揃いのうえに、自身の生き方・考え方を端的な言葉に置き換えた「幸福の言葉」という一冊は、多くの名言・名句が並べられ、人間が元気に楽しく生きる教訓の宝庫である。
1897年に生まれた生家は昔のまんま岩国市川西町で観光施設として保存されており、縁側に座ると、在りし日の千代さんの日常が偲ばれる。
新たなドラマ「ブラッサム」ではどんな展開をみせるのか、錦帯橋や城下町岩国がどう描かれるのか、錦帯橋を世界遺産に推す会のバックアップになり得るのか、地元民の興味は尽きない。