A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

持つべき物は友とよく言うが・・・

2013-10-21 | MY FAVORITE ALBUM

Thank You, Gerry / Gerry Mulligan All Star Tribute Band

人生を終えるとき誰に看取ってもらいたいか?
愛する家族か、苦楽を共にした仕事仲間か、あるいは一緒に遊び呆けた友人達か、・・・・それは人さまざまであろう。亡くなった直後は、誰もが故人の生前の思い出が走馬灯の様に駆け巡るが、月日が経つにつれ徐々にその思い出も薄れてくる。たとえ肉親であっても。

しかし、ミュージシャンの場合は録音を残すことで故人の演奏は時代を経ても代々聴き継がれていく。特にジャズの世界は過去の名演、名盤は永遠の宝物だ。今この時間に、世界中でマイルスやコルトレーンを聴いている人は何人もいるだろう。
そして故人と一緒に演奏した経験を持つミュージシャンは、故人との共演の思い出はこれも一生の宝物だろう。さらに、その共演から多少なりとも影響を受けた何かが今の自分の演奏に引き継がれていればなおさらだ。

故人をしのんで、仲間達や後を継ぐ者達によってTributeアルバムが良く制作される。
しかし、多くは亡くなってからしばらく月日が経ってから。特に本当のJazz Giantsになると、様々なミュージシャンによって、中には何十年たってから制作されることも数多い。

マリガンがこの世を去ったのは、1996年1月、このアルバムは亡くなった翌年、一周忌を終えた後に作られた。メンバーはマリガンと一緒に仕事(プレー)をした仲間達。
亡くなる直前まで一緒にバックに参加していたメンバーを始めとして、53年に一緒にプレーをしたリーコニッツ、ラストアルバムに参加しているランディー・ブレッカーなど多士済々だ。中でもカルテットでの共演も長く、その後も色々関係が深いボブ・ブルックマイヤーが参加しているのが嬉しい。

曲は、マリガンのオリジナルが大半だが、中に3曲だけがスタンダード曲が。いずれもマリガンの好きだった曲なのかもしれない。

演奏は、マリガンのバリトンは聞こえないが、マリガンサウンドそのもの。アレンジは、今回の纏め役、ピアノのローゼンタールが行っているが、マリガンのDNAはきちんと引き継いでいる。
それを演奏するメンバーも、亡きマリガンを忍びながらのプレーであったと思う、自然とマリガンの世界に取り込まれていく。
蛇足ながら、2インチのアナログテープで録られたという録音が実にいい音だ。マリガンサウンドはアナログが似合うのかもしれない。

マリガンも、昔の仲間に改めて弔ってもらい、無事自分の音楽が引き継がれているのを確認して、これで無事成仏できたに違いない。


1. Bark for Barksdale         Gerry Mulligan 5:09
2. Theme for Jobim          Gerry Mulligan 6:06
3. Elevation              Gerry Mulligan 4:10
4, My Funny Valentine Lorenz Hart /  Richard Rodgers 8:37
5. Rocker                Gerry Mulligan 5:30
6. Walking Shoes          Gerry Mulligan 7:29
7. Moonlight in Vermon John Blackburn / Karl Suessdorf 5:16
8. Line for Lyons            Gerry Mulligan 5:58
9. Festive Minor             Gerry Mulligan 6:39
10. Bernie's Tune Jerry Leiber / Bernard Miller / Mike Stoller 5:57
11. Curtains                 Gerry Mulligan 7:28

Gerry Mulligan All-Star Tribute Band
Lee Konitz (tp)
Randy Brecker (flh,tp)
Bob Brookmeyer (vtb)
Ted Rosenthal (p,arr.)
Dean Johnson (b)
Ron Vincent (ds)

Engineer : Paul Wickliffe
Music Direction :Ted Rosenthal
Produced by Bob Karcy
Recorded on August 28&29,1997, at Avatar Studio,New York


Thank You Gerry! Our Tribute to Gerry Mulligan
クリエーター情報なし
Arkadia Jazz

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2 コメント

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Unknown (さだ)
2013-10-24 21:18:50
こんなアルバムがあったとはそれなりのマリガンファンとしては不覚でした!

さっそく入手してみようかと思いますがマリガンといえば彼を生で最後にみたのは1981年のAurex Jazz Fes でした。
因にメンツは下記のごとくAll Star Band でありましたがそれ故にサウンドにまとまりがなく顔見せ興行的セッションでがっかりしました。しかし彼のオリジナルであるSong For Strayhorn だけはまさに鳥肌ものの内容でした。
他方バンド全体のサウンドをコントロールしていたのは明らかにRay Brown(Bass) でどの曲においても素晴らしいバッキングとソロを聴かせてくれたのはMilt Jackson(Vib)でした。
彼ら二人とマリガンの演奏で救われたような思いがした記憶が忘れられません。
当時、このライブに期待が大きすぎた故にどうしようもなくがっかりさせられたのがStan Getz(Ts)でして個人的には大好きなミュージシャンですがこの時は明らかに聴衆を馬鹿にしたような態度と府抜けたプレイに凹んだのを覚えています(笑)

Freddie Hubbard tp
Bob Brookmeyer tb
Stan Getz ts
Gerry Mulligan bs
Milt Jackson vb
Roland Hanna p
Ray Brown b
Art Blakey ds

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コメントありがとうございます (YAN)
2013-10-26 00:18:53
さださんこんばんは。

好みに共通点がありそうですね。

マリガンはジャズを聴き始めた頃、好きになりました。
バリトン好きもマリガンの影響ですが、サドメルに出会ってから好対照のペッパーアダムスに浮気をしましたが、マリガンはいわば初恋の人。その後もそれになりに気にしていました。

80年代はバブルの絶頂期に向けて今では信じられないような豪華なセッションが良く行われましたが、おっしゃるように中身はピンキリでした。

確かにゲッツはアルバムや海外のライブではすこぶるいい演奏をしているのに日本では今一つでした。手抜きのミュージシャンもいたということでしょう。

それに引き換えレイブラウンはいつもいい演奏をしていたような記憶があります。

今ではライブハウスで身近でプレーを聴くことが多いですが、昔の大ホールで聴いたコンサートが懐かしいです。

偏ったアルバム紹介ですが、今後ともよろしくお願いします。


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