A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ゴードングッドウィンも芸達者だが、それを上回るゲストプレーヤーが・・・

2014-05-14 | MY FAVORITE ALBUM
Snappy Too / James Morrison

今年もゴードングッドウィン率いるビッグファットバンドが来日して、相変わらず元気なパンチの効いたオーケストラを楽しませてくれた。映画音楽多く手がけているゴードングッドウィンのアレンジの特徴なのだろう、一つの曲の中にもドラマがありアンサンブルとソロが自在に変化するダイナミックさはなかなか他のオーケストラでは味わえない。
聴いたのは1セットだけだったが、プログラムは4セット用意してあったようなので、2セットたっぷり聴けばよかったかなと後悔している。今月発売予定の新作からの曲も取り上げていたが、このオーケストラも大分レパートリーが多くなってきたので一回のライブで全貌を味わうのは大変だ。何年か前、バンガードジャズオーケストラが来日した際、何日間の公演の全セットがすべて別の曲というプログラム編成があったが、このようなプレーヤーのやる気を感じるコンサートは聴く方も気合が入る。

今回のライブでもう一つの楽しみはゲストトランペットのジェイムス・モリソン。オーストラリア出身の名トランぺッターだが、楽器は何でもこなすマルチタレント。パンフレットには申し訳程度に小さくクレジットされていたが、噂とその片鱗はネットで見たこともあった。果たしてステージでどこまで披露してくれるかも楽しみであった。



本業のトランペットのハイノートを屈指したソロも見事であったが、名人揃いのトランペットセクションの一員として加わったアンサンブルとリードぶりも流石であった。バンドの重鎮ウェイン・バージロンも一目置く存在であった。当日マルチプレーヤーぶりを披露してくれたのは、スーパーボーンなるスライドとバルブが両方付いたトロンボーンの演奏。こちらも物珍しもあって圧倒されたプレーであった。
そういえば、新年早々来日したアルツゥーロサンドヴァルもステージで多芸ぶりを見せてくれたが、今年はトランペットの名手&達人の来日が続く。

さて、このモリソンだが、彼の本当のマルチプレーヤーぶりを存分に楽しめるアルバムがある。まずは、このCDのプロモーションビデオをご覧いただきたい。



なんと18人編成のビッグバンドの17人までを彼一人で演奏している。他のミュージシャンはドラムのジェフハミルトンただ一人。後はモリソン一人で二役三役どころか何と残りの17役を演じる大活躍だ。いや演奏だけではない。スタンダードは何曲かあるものの、このアルバムの大半の曲を自ら作って、それにアレンジを施し、それを自分で演奏するという徹底ぶりだ。最近はコンピューターを屈指して曲作りから最終的な音作りまでを自己完結することは珍しくはないが、生楽器であるいは生声ですべてのパートを演奏するというにはめったに聴けない。

このSnappy Tooとタイトルされたアルバムだが、20年以上前、このモリソンがレイブラウン、ハーブエリス、そしてジェフハミルトンと一緒にSnappy Dooというアルバムを作った。この名人達との演奏が忘れずにいたが、ブラウンとエリスはすでにこの世にいない。何とかその時の感激を再びと思案したものの、この2人に代わる共演者はみつからず、結局は自分とジェフハミルトンの2人でやるしかないとの結論に至ってこのアルバム作りをすることになったそうだ。といっても、2人の演奏の代わりを16人分の演奏に置き換えなければならなかったわけで、それだけ2人の演奏はモリソンにとっては奥深いものであったということだろう。
実際に聴くとどうしても本業以外の演奏の出来栄えが気にはなるが、サックスの味わいあるトーンが何とも言えずにいい感じだ。ソプラノサックスのソロもあるが、シドニーベッシェ風の少しダーティーな響きは今どきのサックスプレーヤーではなかなか聴けないサウンドだ。

録音の順序はリードトランペットのパートから。普段の演奏でもリード以外を吹く時はリードを気にしながら吹くというので、自然とそのような順序になったそうだ。そして次はトランペットからトロンボーンセクション、さらにはサックスも同様に、そしてピアノ、ベースと続き、出来上がったものにジェフハミルトンが加わったそうだが、出来上がりは立派なビッグバンドのサウンド。確かに事が事だけに超絶アンサンブルはないが、どれも立派なフルバンド演奏に仕上がっている。

どうもこのような芸達者なプレーヤーはそれだけで話題になり、本当の姿と実力が見えにくくなる。それ故硬派のファンからは受け入れられにくいが、どんなシチュエーションでも、ファンを楽しませてくれるプレーをするというのも実力の内であろう。
ゴードングッドウィンのオーケストラ共々楽しいステージであった。

1. All Of Me               Gerald Marks / Seymour Simons 5:46
2. The Master Plan            James Morrison 6:38
3. Getting Sentimental Over You   George Bassman / Ned Washington 6:14
4. The Call               James Morrison 6:55
5. No Regret               James Morrison 7:28
6. Zog's Jog               James Morrison 4:27
7, Sad Blues               James Morrison 4:23
8. Up A Lazy River       Sidney Arodin / Hoagy Carmichael 5:29
9, Some Day My Prince Will Come  Frank Churchill / Larry Morey 4:17
10. Going Home, Pt. 1              James Morrison 7:35
11. Going Home, Pt. 2              James Morrison 4:32

James Morrison (tp,tb,sax,b,g,p)
Jeff Hamilton (ds)


Snappy Too
James Morrison
Aleph Records

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