A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

完成度の高い作品の再現は完全リメイクしかないが誰でも簡単にできるものでは・・・

2015-08-16 | MY FAVORITE ALBUM
Sketches of Spain / Lew Soloff & Steve Richman Harmonie Ensemble New York

今年の夏は一段と暑い日が続いた。こんな季節に果たしてオリンピックができるかどうか心配になるが、此の時期に開催されるようになったのもテレビの放映が他のスポーツのシーズンと重ならないように調整した結果とか。競技が行われる時間帯も影響を受けるようだ。競技場の建設コストが問題になっているが、本来は選手にとって一番適した季節に行うのが本来の姿であろう。お金がかかるオリンピックになったが為に、スポンサーは大事だが本末転倒がまかり通る世の中には困ったものだ。

8月のこの時期は、御巣鷹山のJAL、広島・長崎の原爆、そして敗戦と、歴史に残る記念日が続くが、これらの歴史上の位置づけも30年以上経って変化し続けている。いかに、今まで事の本質が闇に葬られ、真実が語られずにいるという証左であろう。今になってJALの16時間もかかった捜索時間の不自然さ、原爆の無差別殺人が語られ出すのはいかにも不可思議だが。こちらは政治の問題か・・。

さて夏休みシーズンも終わって、ほちぼち通常の生活パターンに戻る時期。ジャズを聴く時間も徐々に戻したいと思う。

ジャズの世界でもコマーシャリズムに毒されていない、ミュージシャンの本質をとらえたアルバムが昔は数多く作られた。けっしてマイナーレーベルだけでなく、メジャーレーベルでも。
それらは長い年月が経って聴いても、その本質は変わることなく、聴き手にも感動を与えるものだ。ジャズの巨人といわれるミュージシャンの演奏を今でも古さを感じることなく楽しめるのもそのような演奏が多いからだからだろう。

その一人、マイルスデイビスは生涯を通じて演奏スタイルも変化していったが、いくつかの節目となるアルバムがある。カインドオブブルーはその代表的な一枚だが、理屈を抜きにして素晴らしいアルバムだと思う。

その前後にアルバムとしてはギルエバンスとのコラボレーションアルバムが並行して続いてリリースされていた時期だ。レギュラーグループの演奏は58年のニューポートのライブなどがあるが、このエバンスとの共演は普段のレギュラーグループの演奏とは異なる、あくまでもエバンスのアレンジとマイルスのトランペットのコラボレーションで成しえた演奏だ。

エバンスとのコラボは、バースオフクールに始まり、此の時期を経て晩年まで続く。アルバムはどれも素晴らしいが、その中でもちょうどカインドオブブルーの時期の有名なアルバムといえば「スケッチオブスペイン」であろう。
その中でもギターのための曲であるアランフェス協奏曲をトランペットで演じ、哀愁を込めたマイルスの音色がギルエバンスのアレンジに実に溶け込こんだ名演だと思う。

これで一躍有名になったアランフェス協奏曲のカバー(エバンスの作品もロドリーゴのオリジナルのカバーといえばカバーだが)はジャズの世界でその後も何枚も作られている。それだけ曲自体が素晴らしいとは思うが、このエバンスとマイルスの演奏のカバーというと、特にトランペットを主役にすると元の完成度が高いだけになかなかこれを超える作品は生まれにくいと思う。

となると、オリジナルの作品の完全な再現となるが・・。これだけの名演となると、世界的にみれば誰かが何度となくチャレンジはしそうだが、マイルス&ギルの完成度を再現するには勇気がいるものだと思う。日本ではマイクプライスが確かライブでチャレンジしたように思う。
今年亡くなったルーソロフもそのチャレンジャーの一人であり、アルバムになったのは初めてという。完成度の高いオリジナルのスコアをそのまま利用した完全なリメイクだ。ルーソロフは晩年のギルエバンスオーケストラのレギュラーメンバー、エバンスの作品の良き理解者であり、過去の作品でマイルスの代役を務めるには最適な人選だったかもしれない。

バックのギルエバンスのアンサンブルを指揮したのはスティーブリッチマン。オリジナルのレコーディングに参加したトランぺッターのバニーグロウの甥っ子とのこと。レコーディングの前にライブで実現したようだが、ジャズの名演は再現できないものとはいわれているものの、このような名作が代々引き継がれるのはファンとしては嬉しいものだ。

1. Concert De Aranjuez  (J.Rodrigo)  
2. Will O' The Wisp   (M. De Falla)
3. The Pan Piper      (G. Evans)
4. Saeta         (G. Evans)
5. Solea         (G. Evans)

Lew Soloff (tp)
Steve Richman (cond)

Harmonie Ensemble New York
Ed Joffe (fl)
Ralph Olsen (piccolo/clarinet)
Vincent Chancey (fr-hr)
R.J. Kelley(fr-hr)
Doug Lyons (fr-hr)
Kenny Rampton (tp)
Dominic Derasse (tp)
Joe Giorgianni (tp)
Marc Osterer (tp)
Rick Heckman (reeds)
Charles Pillow (reeds)
Ron Jannelli (reeds)
Mike Seltzer (tb)
Earl McIntyre (tb)
Marcus Rojas (tuba)
Stacy Shames (harp)
Francois Mutin (b)
Jim Musto (ds)
Jon Haas (perc)
Erik Charlston (perc/castenets)

Produced by Adam Abeshouse & Steve Richman

Recording Engineer: Adam Abeshouse
Assistant Engineers: Bill Siegmund
Recorded at: Legacy Recording Studios, NY, May 21&25 2008

スケッチ・オブ・スペイン~マイルス・デイビス&ギル・エヴァンスに捧ぐ~
クリエーター情報なし
SPACE SHOWER MUSIC
コメント
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