さっき年賀状が届きました。しばらく顔を合わせていない人もいます。今年は中学校と大学の同級会があるようで、そのことを書いてきた人もいます。故郷を離れて50年近く、「故郷は遠きにありて思うもの」の心境です。ちなみに私の年賀状は毎年妻とのツーショットですが、今年はいつもの「山」ではなく、昨年10月に訪れたカナダのナイヤガラの滝でのツーショットを使いました。
新年最初の読書は、宮尾登美子の『錦』である。『錦』の主人公は瀧村の帯を制作した瀧村という人物なのだが、作中では菱村吉蔵という名前になっている。大坂は南船場の金貸し菱久の一人っ子として生まれた吉蔵は、いわゆるおんば日傘で育つ。明治維新後、銀行が発達し昔ながらの両替商が立ちいかなくなり、菱久も祖父の死にともない解散する。遺産の一部を受け継いだ父は、働くことを知らず、茶屋遊びで財産を食いつぶすだけだった。吉蔵は商売で身を立てることを決意し、帯の商いを始める。やがて、自ら工夫した帯をつくるようになり、商売を広げていく。この中で、「錦」の織り方を工夫し、織物を芸術の域まで高めていく。その生き様のすさまじさには驚かされる。私は、「瀧村の帯」がどんなものか知らないが、多くの女性のあこがれの的であるという。宮尾作品もかなり読んできたが、『錦』は2008年6月25日に中央公論社から出版されたもので、大野図書館の蔵書を借り出して読んだ。読み応えがあった。
1月1日木曜日。あけましておめでとうがんす。洋野町の朝は雪が舞う荒れ模様の朝になった。長女夫妻はこの雪の中、三陸鉄道の初もうで企画に出かけた。三鉄で普代駅まで行って、鵜鳥神社にバスで詣でるという。晴天であれば、下安家にある大鉄橋の上で初日の出となる企画なのだろうが、おそらく雪景色の中であったと思う。なにはともあれ夫婦仲良くやっているようで、親としてこれに勝ることはない。
さて、わが家の新年の料理もほぼ毎年の定番が出てくる。お節は、妻が主役で義妹に手伝わせてつくったものである。ほとんど手作りの品である。それにお煮しめ(手前左)、その右がクルミ雑煮。これは最近私が改良したもので、「ナトリ」(コマツナ鶏肉)とのスマシ仕立ての雑煮を右にあるクルミだれにつけていただく。もともとは煮しめの中に一緒に入れて、クルミだれにつけたものだが、料理としての見映えを考慮してこうなった。画面には入りきらなかったが、この他にスキコブの煮つけ、紅白ナマスが出ていた。質素であっても、手作りでたくさんの料理が並んだ。義母が亡くなって8年、いつしかこの家の台所の主導権は我々夫婦のものになってしまった。伝統や習慣を大切にしつつ、少しずつ変化させる工夫も必要だと思っている。
みなさん、良い1年にしましょう!