Takepuのブログ

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薄煕来の側近失脚か

2012-02-09 02:50:34 | 時事


重慶市政府は8日、王立軍副市長(52)が「長期にわたる仕事上の過重な負担と精神面の緊張で身体が極度の不調に陥っており、休暇治療を受け入れた」と中国版ツイッター「新浪微博」を通じて発表した。重慶市のトップである薄煕来・市党委書記(政治局委員)は、父親が薄一波・副首相という中国共産党の元老という太子党で、本人も大連市長時代に江沢民・前総書記との関係を築き、次期政治局常務委員会入りを狙っている。その側近として王副市長は暴力団一掃や汚職撲滅に力を入れ、薄氏の実績作りに大きな役割を果たしてきた。

英BBCのサイトによると、中国のツイッターなどでは「(重慶市の隣の四川省)成都市の米国総領事館に7日夜、保護を求めたが拒否された」などの情報も出回っている。米国側はこのニュースを否定したという。王副市長はすでに北京に送られているとも言われ、汚職事案で取り調べを受けている可能性もある。

BBCは、ネット上に流れている情報として、王副市長は兼任する公安局長の任を解かれる際に、薄煕来との決別を公表しており、中央規律検査部門に対して薄煕来の妻子の腐敗問題を報告した、と伝えているという。
台湾の中央通信は中国大陸のネットメディアの報道を引用し、薄煕来が4日の市宣伝文化工作会議の席上、「敵対勢力が情報世論部門にのさばっており、デマをとばし人心を乱している。この『戦場』は隠れているが、闘争は激烈だ」と講話したと伝えている。
重慶市政府のサイトを見ると、2月6日の地元紙・重慶日報を引用する形で、科学技術の専門家会議に出席し発言する王立軍副市長の動静を伝えている。その2日後の「病気療養」は、対応が突然だったことを示しているのかもしれない。

暴力団打倒、汚職一掃と「紅歌」と呼ばれる革命歌を市民総出で歌わせて愛国心と共産党への忠誠を鼓舞するキャンペーンで得点を稼ぎ、中央最高指導部入りを狙う薄煕来にとって、側近の失脚は打撃となるのか。あるいは自分に火の粉が降りかかる前にトカゲのしっぽを切って、何食わぬ顔をして中央最高指導部へ進もうとするのか。来月上旬には全人代(全国人民代表大会)と全国政協(政治協商会議)がある。あるいは、今秋には党大会がある。薄煕来の命運はどうなるか。答えはそれまでにはわかるだろう。

P.S.9日付の朝日新聞夕刊によると、米国務省報道官は、王立軍副市長が6日に成都市の米総領事館を訪問したことを認めたという。訪問目的などについては言及を避けたというが、副市長としての立場での面会を求め、領事館員が対応したという。その後、自らの足で総領事館を出たとしている。亡命要請を断られて出てきたということか。

さらに9日深夜、中国外交部は報道官の談話として、新華社を通じて、王副市長が6日に成都の米総領事館を訪れ、一晩滞在した後、翌日に離れたことを公式に認めた。関連部門がこの問題について調査中である、としている。

また、ネット上などに、王立軍副首相が海外の友人に拘束前に託した、とされる「公開書簡」なるものも出回っている。内容は、薄煕来を批判し薄煕来の腐敗や汚職の数々を、この書簡を発表した後に公表するとしている。真偽は定かではないが、二の矢三の矢が出てきたときの中国側の対応を見れば、ある程度判断できるかもしれない。