Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

ウィキリークス

2010-12-02 13:09:38 | 時事


一時、アクセスを遮断する措置が取られていたのか、閲覧が極めて難しかったウィキリークス。2日は普通に接続できるようになった。中国関連や北京、瀋陽発の公電を中心に見ているが、確かに、これまで報じられているように、北朝鮮の核開発や国内情勢、金正日総書記の健康問題、後継問題、デノミの失敗や経済開発についての様子、それについての中国や韓国の要人の考え方、とされるものまで見受けられる。もっぱら北朝鮮やイラン、アフガニスタンなど、地域と事案をしぼって意図的に公開しているようだ。金正日総書記がもし近く死亡したらどうなるのか、中国や韓国の見通しを見てみると、恐ろしい感じだ。あと、もう少し中国自体についての情報も見てみたいのだが。

ウィキリークスは欧米各紙やテレビ局に事前に情報を流し、期日を指定して情報公開させ違反すれば違約金を払うように求めたという。英ガーディアン紙やウォール・ストリートジャーナル紙に情報提供を打診したが、ニューヨークタイムズ紙は無視され、ガーディアンから情報の提供を受けたという。CNNは期日の「縛り」を嫌って報道を見送ったという。
ウィキリークス自身が情報提供者や、公開に適さない個人名などは××××で表記しているなど、公開しっぱなしではなく、一定の配慮をしている。ウィキリークスに提供を受けた情報についてはジャーナリストが分析、価値判断してサイトに載せているという。

これと、流出した警視庁のテロに関する内部情報を掲載した本の出版や、神戸海上保安本部の海上保安官による尖閣諸島沖での中国船と海保巡視船の衝突を撮影したビデオの一部公開などを比較すると、知る権利と報道、言論の自由についての考え方の違いが見えて興味深い。

ウィキリークスでさえ、まず媒体への情報提供を考えた。もちろん、報道されることでサイトへのアクセスが増えるだけでなく極秘情報の提供も増えることが期待されるなど、宣伝効果を見込んでのことだろう。個人情報を××××で表記するなど、情報を扱うことについてはプロなのだ。テロ内部情報をなんのバイアスもかけずに書籍にした出版社や、ましてや海上保安官とは情報の取り扱い方に圧倒的な差がある。

個人的には、ウィキリークスの公電を読み進めていくと確かに「すげーなあ」「面白いなあ」と感じるが、それを同じレベルでなんのバイアスもかけず、解説もつけず、「ウィキリークスが今年の11月のソウル発の公電として公表した情報によると、韓国の千英宇(チョン・ ヨンウ、Chun Yung-Woo)外交通商次官は、金正日総書記が死亡した場合、北朝鮮は2、3年のうちに経済的、政治的に崩壊するだろう、との見方を示した」と書くだけだ。その情報のウラを取れ!とはさすがに言えないが、ウィキリークスの情報を垂れ流しにするだけでは、媒体としての見識も魅力もないのではないか。

各国政府高官が「ウィキリークスはけしからん」と言っている様だが、そのウィキリークスの情報をただ垂れ流す媒体もあまり上品とはいえない。公電の予想のとおりになったもの、目算が外れたもの、その背景にある考え方など、これらを加味した記事の構成が必要なのではないか。