わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

マイクの功罪

2005年02月11日 | 雑記
今、十代の子供たちに「ワイヤレス・マイク」って言ってもきっと「???」でしょうね。マイクとスピーカーが長いコードで繋がっていたなんて、信じられないかもしれませんね。
ミュージカルの舞台でよくみますが、豆粒みたいなマイクも登場しています。舞台では何本もマイクを使う関係でかワイヤレス・マイクみたいにコードの先に何もないとはいかず、手のひらに入るぐらいの機械がついてはいます。それでも、コードが繋がっていたマイクから脱却したことで、マイクは使い勝手の良いものになりました。

話がいきなりワイヤレスで始まりましたが、マイクが誕生したこと自体で、歌い方が大きく変わったことはとても有名なことですよね。マイク誕生前は、とにかく張りのある声で歌い上げなければなりませんでした。誕生後は、語り掛けるような歌を歌うことが可能になったのです。

こうした技術の発達は、舞台効果の幅を当然広げ、観客を大いに楽しませてくれます。
1月25日の研修の際に、音響の調整をしているのを聞きました。本当に同じ音源なのに、いろいろな音が出てきます。劇場のどのスピーカーから音を出すかによっても、感じ方が違います。「三文オペラ」は、「基本的に生音でした」とスタッフの方が説明していたので、2階席にいた私には前から音が聞こえていました。が、最後のマックを他の3人が責めるときは横からも音が出てきていました。マックが聞いている声と同じ感覚に観客もなるわけです。視覚だけでなく、そういう音からも臨場感を味わえるのです。マイク発明を感謝する時です。

しかし、良い事ばかりかではない気がするのです。技術の進歩は、人間の能力を衰えさせていると実感する私です。マイクもその例外ではないと思います。

昨日、私は「歌」で一番気になるのは「音程」と言いました。「声量」はこのマイクである程度コントロール出来てしまうので、私にはよく分らないことが多いのです。
しかし、そんな私にもわかる時があります。それは、台詞と歌のつなぎの時です。音響さんのミスなのか、台詞の途中で歌仕様のマイク設定に変わってしまうのです。台詞にエコーが!!!音響でかなり加工しているんだなぁと分ってしまいます。

私は、基本的に歌ばかりのミュージカルの方が聞きやすいのです。マイクに助けられて歌う方が多くなってしまったためか、台詞と歌が混じると、二つの間に激しい断絶が起こって、ずこくイライラしてしまいます。
台詞と歌では、声のコントロールが違うのだということはよく分ります。が、ミュージカルは両方があるからオペラと違う楽しさがあるのだと思うのです。ですから、それらがあってこそ、それらを等しく美しく観客に楽しませることが出来てこそ、ミュージカル俳優だと思うのです。

マイクのおかげで、いろいろな方面で活躍なさる方がミュージカルに出演することは、本当に楽しいことです。でも、その一方で、本当に素晴らしいミュージカルを作り出せる方々がその実力を多くの観客に知っていただけない、ということは寂しいことです。

私も、たまには手で字を書かないと!いや、「読めないから手紙ではなくメールを下さい。」と言われるかも。やっぱり科学技術の発達は、人類を幸せにするのかな!?