7/26
空中庭園を設計するとしてモデルのようなものが必要である。村上の作品を眺めてみて要求仕様をまとめることにする。村上春樹の『ヘルWの空中庭園』からその特徴を箇条書きをすると…
・霧の海の中に空中庭園がぽつんと浮かんでいるだけだった。
・空中庭園のサイズはおおよそ縦八メートル、横五メートル
・まるで普通の庭と変わるところがなく地上の基準からすれば、明らかに三級品の庭だった。
・芝生はやくざだし、花の種類は不揃いだし、トマトのつるはひからびている
・もう少し高く浮かせるとぐっと空中庭園らしくなるんだけど
・霧の上にぽっかりと浮いていると、まるで地面ごとどこか知らない土地に流されてしまいそうな気がした。
・私が空中庭園をもっとずっと空中庭園的にできない理由もそこにあるんだ。あまり高くすると、東側の警備兵がとても神経質になり夜中じゅうサーチライトをあてたり、マシンガンの銃口をずっとこっちに向けたりする。
・風圧が高まり、本当に空中庭園ごと東ベルリンに流されちゃうという事態がおこらぬでもない
・東西ベルリンを隔てる壁のすぐ脇にある四階建てのおんぼろビルの屋上につながれていた。
・ヘルWは屋上から十五センチくらいの高さにしか庭園を浮かべていなかった。それはただの屋上にある庭にしか見えなかった。
・ケルン、フランクフルトはいやで、ここクロイツベルクしかない。
・夏の空中庭園は底抜けに楽しいからね。今年の夏は毎日ここでパーティーをやったんだよ。いちばん多いときで人間が二十五人と犬が三匹ここにのっかったんだよ
・二人ばかり酔っ払って下に落ちたが、死ななかったよ。三階のひさしがとてもしっかりしている
・アップライト・ピアノを引っ張りあげたこともあるよ。その時はポリーニが来てシューマンを引いたんだ。
・ポリーニはご存知のように、ちょっとした空中庭園のマニアだからね。
・他にローリン・マゼールも来たがったんだけど、まさかウィーン
・そんなわけでヘルWの空中庭園はベルリンの六月を待ちながら、今もクロイツベルクの上空に十五センチだけ浮かんでいるのだ。
ざっとヘルWの空中庭園はこんな具合だが、この空中庭園は何らかの政治的意図があるのかもしれない。この政治的な部分には目をつぶり、自分流の空中庭園を考えてみる。
[要求仕様]
・庭部と支柱から構成される
・庭部の高さは500~1000mm位
・広さは50坪くらい欲しい
・家屋は東屋だけを設ける
・入口は階段で中央部に至る
・海と山が見える土地
・庭部は回転し位置が可変
・強度は十分であること
7/20
朝などはわりと涼しい昨日今日巷は候補者追い込みで声を枯らして舌戦す土曜の今日は最後だとあちらこちらで拡声器お願いしますと聞こえくる普段はあまり政治には関心もなく過ごせるもバブルはじけたそのあとのデフレはかなり手強くて退治できない日本人さらに世界も衰退し財政破綻の国多し日本は破綻してないが破綻と同じの借金を抱えて進む未来へとわれには近い未来しかないけど子等は遠くまで生きていかねばならぬからわれらが残す借金を返していくはかわいそうこんな気持ちの老人はたぶんたくさんいるだろうそれを実現する幻想われらは民主に託せれど民主は厭きられ国民にそっぽをむかれ再起など到底できぬ有り様で自民が圧勝とここ数年のねじれたる国会運営解消が確実となる選挙なりわれも選挙にいくけれど兵庫知事選あわせありこれにはわが友出馬して現知事さんと一騎討ちたぶん負けるがしかたなしわれは主義より義理果たすねじれた気持ち整理してさあいきましょう投票所へと
7/19
議論してしてやったりと思うことわれにはなけれ苦手なりしからば何で勝敗を決めるかそれもわからない何か議論をしたときに相手が折れることもなく承服しかねることとても生返事して引き下がる途中で辛気臭くなり敗北感のなきままに相手を気持ちよくさせることを丸く納めんとしかし思うに埃とか垢溜まるごとストレスが溜まるようなる気がしてる議論の正否は条件で一義的には決まるかも主張のどれもが正しくも誤ってるかもしれないが論理展開運びかたディベート的にはスキルなしわれの苛立ち吸い取れる考えるのは暴力で決裂すれば決闘とつい考えるのは愚かなり鉄拳制裁するでなく闇討ちかけることもなく黙りこくるが関の山たまに吐きたい捨て台詞効果の有無はわからねどたぶんわれには捨て台詞吐く才能もなからんとああ悲しけれ負け犬は外でも泣いて内で泣く内に居ませる山の神これもなかなか手強くていつもグの音もでないほどやり込められて打ち沈むいまさら喧嘩する気など更々なけれひたすらに堪え忍べるはわれだけか最近増えるDVや死を選びたるいさかいはわれのようなる人増えて互いの理解が欠けたまま暴力等に(続く)
7/17
昔から番頭したる父を見て金貸し人に頭下げ会社のために金策にかけづり回ることなどは一切御免と平凡なサラリーマンになることをわたしは望み生きてきた部下持つ身にはなったけど指導者としては落第か『やってみてやらせて見せて褒めあげて教えなければ育たぬ』とわかっちゃいるが機微つかみ褒めあげることできませんわれのやり方ブッキラボーわれの背中を見て習え効果のほどはいざ知らずさてさて今日の新聞は囲碁の師弟を例にとる今をときめく井山さん五冠を占拠君臨す師は石井九段で普通は一局打つ慣い二局目打つはやめさせるときであるらししかれども二人は対戦何局も指導碁をして勝ち越せるパーティートークの冗談も弟子を誇れる余裕かな
1
『へルWの空中庭園』という作品を村上春樹が書いている。作品の内容はさておくとして空中庭園という言葉にちょっと刺激されてしまった。空中というからには天空の城ラピュタのように空に浮かんでいるのが理想だが、さも空中に浮かんでいるように見えればいいのだろう。重力に抗し空中に浮かせることは地球上では無理がある。そういえば但馬ではコウノトリの人工繁殖のため彼らの巣を高い鉄塔の上に、『ここで巣作りをしてください』というようにしつらえた。支柱はあるとはいえ高いところあるので空中庭園(住居)といってもいいだろう。
2
そもそも空中庭園というのはなんなんだろう。インターネットでググルと最近の高いビルにある憩いの場所を空中庭園といって新しいデートスポットに仕立てたりしているのがわかった。しかしルーツは、古代バビロンの王が輿入れする王妃アミュティスを慰めるために作ったとされている。古代ギリシャの数学者フォロンが世界の七不思議の建造物にもあげておりバビロン川から見上げれば空中に浮いた宮殿のように見えたらしい。この宮殿もBC538年のペルシャの攻撃で破壊されたという。古代人は空中庭園にどんな意味を持たせてなにを満足させようとしたのだろう。
3
インターネットで調べていると、ふと大阪の四天王寺を思い浮かべた。昔聖徳太子が外国の要人を迎えるとき大和に入る玄関に海に浮かぶ朱色の鮮やかな四天王寺の偉容を見せつける役目を持たせた。歴史的にはバビロンの方が千年以上も前の文明発祥の地のことだから役目は違って当然だろう。こんなことをあれやこれやと考えていると、空中に浮かんでいる建物のことを思い出した。鳥取県三朝温泉近くの三徳山三仏寺の奥の院にある投げ入れ堂のことである。映像を見ていると下から崖をめがけて建物を投げ入れたという伝説そのままである。外国での空中庭園バビロンの他にはないのだろうか。
注:空中庭園 Hanging Gardens
4
もしどこかの国で空中庭園の建築コンペがあるとして、それに応募すると仮定しょう。どんな設計にしようか。(続く)