2014/12/09
「昔から倭建はファン多くお話としてまとまるという()」
「英雄の最後は割りとあっけなく雹・霰にてからだ打たれり()」
「美夜受比売残して伊服岐に登りゆき山の神をば退治しにいく
(1:山の神を素手で直接に退治しようとおっしゃった
/2:その山に登って行くときに山の途中に白い猪が現れ、その大きさは牛のように大きかった
/3:この白い猪は、山の神の使いであり、いま殺さなくて帰りに退治しましょうといって登っていった
/4:ところが山の神は大きな氷雨を降らせて、倭健の命に打ちつけて困惑させました。
/5:白い猪は、神の使いではなく山の神ご自身でありましたが、倭健が帰りに退治すると言ったので、氷雨で攻撃したのです。
)」
「山おりし倭建が玉倉の清泉イズミで休み少し回復
(1:倭健山を下りて、玉倉部の清泉に至って一息していると心も少し正気に戻りまし
た。
/2:かれはその清泉をなずけて居醒の清泉といった。イサメガイ)」
「清泉発ち当芸に至りて足悪くびっこひけるに当芸と名付けり
(1:その清泉を発って当芸の野に至って言いました『私の心はいつもは空を飛んでいくことを念じているが、今私の足は歩くことができない。かっくんかっくんとび
っこを引いてしまう。』
/2:だからここを当芸となづけよう。)」
「びっこひき当芸を過ぎてはいくもののひどく疲れて杖をつきたり
(1:ここを過ぎていくが、ひどく疲れるので杖をついてゆっくり歩かれた。
/2:だから、ここを杖衝坂といわれた。今でいう四日市市采女の西石薬師に至る間の坂といわれる)」
「いつの頃休みしときに忘れたる太刀がおかれり松が守るか
(尾津の岬の一本松のところに至ったが、以前そこで食事をした。その時にその地に御刀ミハカシを忘れたが、無くならず今もそこにあった。そこで、嬉しくなって歌をお読みになりました。)」
「
尾張に 直に向かへる
尾津の崎なる 一つ松、吾兄アセを。
一つ松 人にありせば、
太刀佩けましを 衣着せましを。
一つ松、吾兄を。
(歌謡番号30)」
「1つ松出でて釆女の辺りにて足曲がるゆえ三重と名付けり
(そこを出て、三重の村、今でいう四日市市采女あたりに至っておっしゃった。『私の足は三重に折り曲がってひどく疲れた』だから、この地を三重と呼ぼうと。)」
「
倭は 国のまほろば
たたなづく 青垣、
山籠れる 倭し 美し。
(そこを出られて能煩野に至った時に、国を思って歌を詠まれた 歌謡番号31 )」
「
命の 全けむ人は、
畳薦タタミコモ 平群の山の
熊白檮クマカシが葉を
髪華ウズに挿せ。その子。
(歌謡番号32 この歌は国思シノヒ歌である。)」
「
はしけやし 吾家の方よ 雲居起ち来も。
(また、詠われた 歌謡番号33 この歌は片歌です。)」
「
嬢子の 床の辺りに
吾が置きし つるぎの太刀、
その太刀はや。
(この時病が急変して、また歌を詠まれた。今でいう最後の歌である。歌謡番号34)」
「辞世とは言えどあんまりよくもなく『まほろば』の歌代えて覚える
(詠い終えて、崩御された。だから、早馬の伝令を天皇のもとに送った。)」
2014/12/06
「浦賀すぎ荒ぶる蝦夷を言向けて山河の神を平らげ和する()」
「帰るとき足柄の地で干し飯を食えるところに白き鹿でる
(1 鹿カセキとは昔の呼び名であるらしいその坂の神白き鹿カセキに:
,2 蒜の片端をもち待ち打てばその目に当たり打ち殺したり:
,3 足柄の坂に登りて詔ノりたまう三度嘆きて『吾嬬はや』と:
,4 このようにかれその国を名付けては『阿豆麻アズマ』といえる今の関東:
)」
「足柄を越え甲斐に出で酒折の宮にましまし歌をうたいき()」
「新治ニイバリ 筑波を過ぎて 幾夜か宿ネつる(歌謡#26)」
「ニイバリや筑波は今の茨城で足柄越えて行きし国だと()」
「かがなべて 夜には九夜 日には十日を(歌謡#27)」
「随行の火焼の翁付句してなかなか粋な下句を歌う()」
「甲斐からは科野を越えて坂の神を言向けをして尾張に還る()」
「尾張では先に契れる美夜受比売元に入りて契りをなせる()」
「大御食を奉らんと酒盞サカヅキを運べるときに裾に血がつく()」
「それを見た倭建と美夜受比売歌を互いに詠みたるという()」
「ひさかたの 天の香山
利鎌に さ渡る鵠
弱細 手弱腕を
枕かむとは 吾はすれど
さ寝むとは 吾は思へど
汝が著せる 襲オスヒの裾に
月立ちにけり
(歌謡#28,倭建)」
「高光る 日の御子
やすましし 吾が大君
あら玉の 年が来経れば
あら玉の 月は来経往く
うべなうべな 君が待ちがたに
吾が著せる 襲オスヒの裾に
月立たなむよ
(歌謡#29,美夜受比売)」
「御合ひして草薙の剣美夜受比売の元に置きては伊吹に行ける(山の神を退治しに)」
2014/06/29
「また行きて走水なる海を越え行かんとするに障りのありき
(1 この渡り神が波立て舟揺らし舟は前には進めなかった:
,2 お后の弟橘比売が申したり『あなたの替わりに吾が海へ』と:御子さまは東征の役果たされて覆奏カヘリゴトもうさね
,3 まさに今海に入らんとするときに畳をいっぱい沈めて上に:菅畳八重、皮畳八重、梅畳八重
,4 暴アラき浪自然に鎮まり倭建の乗る舟進む:
)」
「そのときに弟橘が海に入り次なる歌をお詠みになれる()」
「
さねさし 相模の小野に
燃える火の 火中に立ちて
問いし君はも。
(歌謡 #25)」
「七日経ち海辺に后の櫛がよりその櫛納め御陵作れり()」
2014/06/22
「天皇に報告すればまた重ね東に征伐行って欲しいと
(1 東方の十二国なる荒ぶれる神や不平の人を言向け:伊勢、尾張、参河、遠江、駿河、甲斐、伊豆、相模、武蔵、上総・下総・安房、常陸、陸奥
,2 御鋤友耳建ミスキトモミミ日子[吉備の臣等の祖]を添え遣わすに比々羅木の八尋矛をたまいき:
,3 出発をするとき伊勢に参りては神の朝廷ミカドを拝みたまいき:
,4 姨さん[倭比売]のところに行って愚痴をいう父は私を遠ざけたると:軍衆をたまわず東征させるのは思うに吾に死ねというのか
,5 泣きながら暇を乞えば倭比売剣と御袋たまいて言える:もし急にピンチが来ればこの袋口を解ければ汝を救わんと
)」
「尾張へと至りしときに美夜受比売見初めど婚マグワヒ後にせむす
(1 契りのみ定めてさらに東へと荒ぶる神や人を平らぐ:
,2 さらに行き相武[駿河の誤りか]の国に入りましきその国造は偽り申す:
,3 この野には大きな沼ありその沼の道速振るチハラブル神が猛威振るえり:
,4 その神に遇いに行ければ国造はその野の草に火を放たれり:
,5 国造に欺かれたと気がついて逃れる手だて思い巡らす:姨からの袋をあければ火打ち石中に入れるこれで窮地を
,6 草薙の剣で草を刈りたまい向かえ火つけて脱出をせり:
,7 騙したる国造つかまえ斬り殺し彼らいるとこ焼き討ちをする:
,8 このように焼きたることでその地をば焼津と今に言いたるとか:
)」
2014/06/16
「帰り道出雲建も殺さんと出雲の国に立ち寄りたまう
(1 国に入り出雲建と友好を結び陰では策略をする:
,2 密やかに樫の木伐りて偽の太刀作りてそれを腰に佩きたり:
,3 肥の河で出雲建と沐浴し倭建が先にあがれり:
,4 その時に出雲建が佩ける太刀自らつけて『太刀換えよう』と:
,5 その後で出雲建は偽の太刀佩いたところで切り殺された:
,6 このように殺して歌を残するが恥知らずとぞ倭建は:歌謡#24別掲
)」
「やつめさす出雲建が佩ける太刀黒葛多纏きさ身無しにあはれ(歌謡#24)」
「よく言える倭建を英雄視したる論調吾は否定す()」
「熊曾とか出雲建を討ちたるにだましが入る卑怯者なり
(1 遠征に行く前姨に衣装借り騙し討ちをぞ折り込み済みに:
,2 景行が大きな体躯していたが男具那は遺伝子を引かなかったのか:女性的だったとおもう
,3 斐伊川で沐浴誘う男具那だが出雲建にスケベこころが:
,4 歌謡にも悪びれることなかりしがかなり冷酷顔に似合わず:私は倭建はかなりハンサム、女性的な顔立ちをしていた、と思う
,5 ただ兄の大碓殺す残忍さ矛盾はすれど今後の課題:
)」
「これからもまだ英雄譚が続けれど基本の視座はこれで決まりか()」