暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

バカンス ’12; (20)3週間のテント生活

2012年10月25日 07時03分01秒 | 日常


10月も半ばを過ぎて落ち葉が道端に積もるようになったこのごろ、2ヶ月前のチロルでのテント生活を想う。

ベルギーのゲントで2泊、ドイツの黒森の村で一泊のあとオーストリア東チロルのカルスという村のキャンプ地で2週間テント生活をした。テントを設営したり解体したりするのに親子4人で要領よくやったからベルギーでもドイツでもそれぞれの作業に1時間もかからなかった。 一番大事なのはそのとき雨が降っていないこと、テントはできるだけ湿っていないことだ。 幸いなことにそれぞれ雨の中で設営、解体することはなく助かったが途中の移動では雨の中を走ったこともある。

長くひとところにテントを設営してそこで生活するとなるとほとんど毎日自炊する。 毎日外食ではだれもが文句をいう。 ゲントでは町を見物するために二晩ともレストランでの外食となり、ドイツの村でも同様だったがそれは次の日にすぐに出発できるよう出来るだけ梱包を解かずベッドだけを造り簡単な朝食を手早く済ませテントを解体して牽引車にまとめ次の目的地に急ぐという繰り返しとなるからだ。 一箇所で2週間の滞在となるとテント設営のあとはそこに「住む」こととなり、日常生活がそこで始まる。  バカンスが終わり帰宅の前日にはテントの内部を整理し、こまごまとした生活用品を梱包してまとめ、寝袋だけにしてキャンプ地の近くのレストランでちゃんとした夕食にする、というのが我が家の習慣になっている。 テントはいくら天気がよくとも朝露がつき、夏には晴れていてもやっと9時ごろになって乾き始めるが出発の朝は大慌てでテントを解体梱包して支払いを済ませそこから12時間ぐらいで帰宅できるようどたどたと車に乗り込み近くのスーパーにあるバーで朝食にして後は一気に息子と交代でハンドルを握りながら高速をとばして帰ってくるのだが、帰宅後はすぐに晴れ間を待って生乾きのテントをカラッと乾かし壊れたところは補強し次回すぐ使えるよう準備してからどこかに格納しておく、というのが順序だ。

7月の初めに準備のために初めてこのテントを前の緑地に設営したときのことを写真を添えて次のように記した。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/62756585.html

今読み返してみると7月の始めに一人このテントで寝て寒いと言って、明け方15℃だ、と書いてある。 標高1400mのところにあるキャンプ地では夜には15℃ぐらいで明け方には5℃になったこともある。 自分は折りたたみ式のストレッチ式簡易ベッドを「居住区」の端に置いて地面から40cmほどのところで寝たのだが明け方には寒さで目覚めることもあり、ついには断熱材のシートを寝袋の下に敷いてやっと凌げるようになった。 さすがに家から持っていった寒暖計が5℃を指しているのを見たときには驚いたのだが、その後、2500mほどのヒュッテに泊まったときにはそこでは5度が普通で、まだそれよりも低くなっていた。 今の時期、10月も後半に入るとキャンプ地は別としてもアルプスのヒュッテでは9月の半ばに人は皆下山し、今は無人となり、もうあのあたりは雪に埋もれているのかもしれない。

今回このテントは重宝した。家人と娘は一畳以上のプライバシーを守れる寝室部分にそれぞれテリトリーをもち息子はその間の一畳ほどのスペースに寝て、「寝室区」は牽引車を広げたスペースで床は1m以上ある。だからそこで寝泊りしていると寒さは感じないから彼らにとっては早朝5℃だといっても何事のこともない。 この60cmの差が湿気の違い、しいては皮膚感温度の違いにもなるようだ。

このテントにはビニールの窓がついている「住居区」の外側に2mほど突き出したカンバスの庇の部分が取り付け可能であって3本の支柱とロープでテラスの部分をつくることとなる。 天気がよい日には朝晩の食事はここで摂る。夏の自然の中で生活をするのだから出来るだけ外に居る、ということだ。 実際きもちのいい山のキャンプ地で山や空を見ながら椅子にこしかけて過ごすのはこの時期だけの特別なことなのだ。 足の踵にマメをつくり歩けず、他の家族が周りの山々を歩いているあいだ昼間は一人テントに一日中いたのが4日ほどあった。 日中4時ごろまではテントの中はサウナの暑さで居られない。だからこの木陰になるテラスが重宝する。 この日陰でビールを飲みながら地図を眺め、家族が歩いているあたりを想像したり持っていった本を読んだりして過ごした。 夕方は山の谷間にあっても9時ごろまでは明るいから雨が降らなければテラスで夕食を摂った。 その後10時前までに熱いシャワーを浴びて、完全に暗くなった11時を廻るころまで過ごす場所がこの「住居区」だ。 テラスから持ち運んできたテーブルとパイプ椅子に座って本を読むなりゲームをしたりして11時を廻る頃まで各自過ごし翌朝は8時前には起きる、というのが甚だ健康的なバカンスでの日常だ。

晴れ間が続くと申し分ないのだがいつもそうとは限らない。 我々がここに住み始めたときには「オランダから日光を運んできてくれた」、と言って他のものから歓迎された。我々が着いた前日まで何組かがそれまでの雨につくづく嫌気が差してオランダに戻ったそうで我々と入れ違いだった。 もっとも我々がここに落ち着いても完全に雨が止んだかというとそのようにはならなかった。  

このようなテントが一番重宝するのは雨の時だ。 2週間のうち3分の1ほどが雨だった。 それにはパターンがあって、午前中は晴れていても4時ごろから夜にかけて雨が降ることがあった。それは夕立、といってもいいほどのことで、テントの前には水溜りが出来てそれが徐々に内側まで押し寄せてきて床に敷いた緑色のメッシュの生地が湿って居住区の半分ほどが「床上浸水」したのだがそのような夜は早々に寝床にもぐりこむのだった。 ある夜、夜中に風雨が強く、風が突然テントの庇の部分を吹き飛ばした。 慌ててて外に飛び出し外れた支柱とそれを支えるロープを掴んでペグを打ち直しロープを再び固定してなんとか事なきを得たのだが被害はそれだけで済んだ。 けれどこのキャンプ地では幾つかのテントが平らになっていた。 雨の中ヘッドライトの光を頼りにペグを打っていると何人かの若者が何か手伝うことがあるかと言いながらそれぞれのテントを見回りにきていたのだが自分のところは何とかなるので他のテントを手助けするように言った。 幸いなことにテントに雨漏りはなかった。

バカンスの後半は晴天が続き洗濯物はよく乾き、テント生活は快適だった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿