暇つぶし日記

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モロッコの旅(13); 7000m上空で

2014年07月20日 00時05分15秒 | 日常

 2014年 7月 19日 (土)

オランダは気温が34℃と昨日に続いて真夏日であり、夜中になっても屋根裏部屋の温度計は30℃から下には行かない。 これなら6月の初めにいたマラケッシュのホテルの方がましだった。 小さなバスタブ一つ、電話ひとつだけでテレビも何もない簡素な部屋だったけれどエアコンがあった。 10日間滞在した中で一日だけは夜中にエアコンのスイッチを入れたけれど結局11時を周ってから涼風が出て窓を開け放って過ごした。 けれどまだその時は夏になっていなかったからもう今ではエアコン無しではいられないだろう。 今のオランダは一年に何回あるかというほどの真夏である。 昨日あたりまで子供、若者だけが水路や運河に浸かっていたものが今日は中年、老人までが肩まで水に浸かって涼んでいる姿があちこちで見られた。 

そんな中オランダ全土は一昨日のニュースのショックに包まれている。 墜落したマレーシア航空のボーイング777機の乗員300人あまりのうち200人ほどがオランダ国籍だったということに加えて徐々に明らかになってきているのはそれはのロシア製ブックミサイルによって撃ち落されたということに加えてそれを巡る幾つもの進展の模様だ。

この事件が勃発してから様々なニュースソースによって徐々に状況が明らかになり、だれが撃ち落したかというところまではっきりしていることだ。 それは元ロシア軍の上級軍事情報将校でこれらはプロ中のプロ、アフガニスタン、チェチェ二ア、バルト三国とロシア政府の命を受け転戦、今はウクライナ分離派の軍部中枢として権力を握っている人物たちらしく、これらが追撃命令を出したとみられる二人で、長い目でみてこれらを訴追できるかということが水面下で討議されているようだ。 けれどそれよりも先ずしなければならないことは犠牲者の確保、状況保全、調査団の活動保護、という問題らしくロシア語の堪能なオランダ外務大臣が現地に到着しているもののウクライナ政府は当初から国際社会に向けて原因解明、犯罪者弾劾の意向を示しているから問題はないとしても果たしてキエフから先500km離れた現場までたどり着けるか、仮に出かけてもこれら親ロシア分離派が活動を阻む恐れが大きいことが予測されるのでその効果があるかどうかが疑問視されている。

上空20kmまで撃墜能力のあるロケットは組織が混沌としている寄り合い所帯の親ロシア分離派軍単独では所持、操作する能力がないから当然それはロシアからの物資、人的支援がなければできることではない。 分離派の自称首相と名乗る男が、わが方にはそのような能力のある武器はない、政府側のロケットだというロジックは一見合っているようにみえる。 それはわが方、分離派だけでは所持、管理できない、ということであり、仮にわが方から飛んだとすればそれは後ろ盾であるロシアのものだ、ということを意味している。 実際に親ロシア分離派の背後のロシア領からの物的人的の援助、移動を阻止する力はどこにもない。 そして飛行機を撃墜したと思しき移動式地対空ロケット発射台を積んだ車がその後ロシア領に引き揚げていく映像が流れている。 それには4発装備が3発しか見られない。 様々な映像が東西メディアに流れプロパガンダ情報戦の態を呈している。

オランダは気温34-36度まで上がった。 ウクライナの墜落現場は35℃で雨らしい。 調査委員会が到着して遺体保全、回収に向けて動き始めているが分離派の兵士、グループに阻止されているという映像が入っている。 軍隊の態をなしていないような連中が上官の命令だここを退去しろ、文句があるならロシアにいえ、というような言動も聞こえることから一貫して関与を否定している上にこの事故の責任はウクライナ政府にあると言い続けているプーチンの言動とあわせて事の実態があぶりだされているように見える。 その上官二人の傍受された会話は世界中にニュースとしていきわたっている。 それが戦争状態にある地域に墜ちた遺体を確保しにいく連中の置かれた状況だ。 多分300体が全て回収されるわけではないだろうし10kmほどに遺体、遺品、機体の破片が散らばる現場は戦闘地域でもあって委員会委員が確認調査、遺体確保にDNA検査という普通の事故現場の活動をするのは無理だとの報告がある。 分離派兵士がダンプカーのようなものに全て一からげに積み上げ現場を破壊しているというのだ。 遺品を勝手に拾い集めて持ち去るものも多いようだ。 けれどそれを阻止する力は今のところ誰にもにもない。 オランダ首相が今日午後プーチンに直接電話で抗議するようなことがあったとニュースで報道されていた。 それは200人のオランダ人を殺された国の首相として実質の黒幕であるプーチンに対する当然の行動である。 だれもプーチンがそれを認めすぐ行動に移すとは考えないしオランダ首相の行動を子供じみたものととるものもいるだろうけれど、これはむしろ当然のものと考えるものが多い。 とは言っても物事はすぐには解決しそうにはない。 遺族は現場に出かける用意があり待機しているようだけれどこの分離派の行動を危険なものと見て現場に行くのを見送っている。 この暑さの中、戦争に夢中の分離派にはまともな死体安置所や落ち着いて身元確認する場所を提供し協力する態度がみられないようだ。 分離派といっても幾つもの派閥のようなものがあり命令系統が混乱しているようでこれがことを複雑にしている。  話は唐突に飛ぶが嘗て日本軍が満州で張作霖爆破した構図に似ていなくもない。 調査団の示唆を蹴り声高に国際社会から離れた日本に今の分離派を比べるのは稚拙ではあるが共通点が無くも無いように感じる。 事件を冷静に調査しようとするところに声高に否定、誰かを糾弾する構図はあちこちで見られるもののようだ。

気温35℃で然るべき施設がなければ遺体は腐敗し無残なものとなり検査活動にも大きく支障をきたす。 飛行機事故でこれほど遺体回収に困難をきたした例は少ないようだ。 一つにはこれは事故ではなく、戦争犯罪に繋がる事例であることにもよる。 娘の友人の知人の名前が今晩発表された乗員リストにあったし、これら200人ほどの住所はオランダ中に散らばっておりそれぞれそこで亡くなった知人、職場の同僚、学校の、クラブのメンバーのコメントもでている。 例えば、インドネシアにバカンスに出かけた夫婦に子供3人が名簿の中にあり、その住居が示されそこにはもうだれも戻ってこない。 オランダ人だけではなくその他被害者の国の元首達もこの犯罪の責任究明を求める声明を出している。 

35℃ということがこの文を書かせるもとになっている。 ボーイング777は一ヶ月ほど前にモロッコに行ったときに往復に使った機体であり、スキポール、モロッコは3時間ほどだから7000mほどのところを飛んでいた。 スペイン上空で蜘蛛の巣の様に広がった道路の中心にある村を見下ろして撮った覚えがある。 そのころ息子は墜落したのと同機体でまったくおなじ航路をインドネシアに向かい、また戻っている。  ウクライナ政府は1週間ほど前に航空管制当局に民間機の飛行高度を7000mから10000mに上げるよう指示しており当機も10000mほどの高さを飛んでいたと見られているけれどその倍の20000mまで届くロケットは発射後40秒で一瞬にして破壊している。 傍受された司令官たちの会話では、今撃墜したところで人も物も落ちてくるのが見える、とも言っている。 まさに撃墜指令を出しそれを見届けている者の発言、映像だ。 もし戦争犯罪法廷が開かれるのならオランダのハーグということになるのだが、もし関係国での裁判を避けるとしたらどこで行われるのだろうか。 フランスでも、ベルギーでもイギリスでもドイツでもオランダでもオーストラリアでもない。 多分どこからも依頼されることはないとしても、もしそうなると例えば日本にそれを仕切る能力はあるのだろうか。 国際社会に貢献し平和を希求すると内に向かっては威勢良くいう国にはそれを実行するソフトもハードも揃っているようには見えない。

何れにせよ蒸し暑く放っておけば物事がどんどん腐敗していく。


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