暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

ハーグの国会議事堂の警備

2016年12月16日 18時34分51秒 | 日常

 

 

この間ハーグに行った折、マウリッツ美術館から首相の執務室を横目で見ながらオランダ国会の広場を通り抜けたことを下のように書いてその時に見た憲兵隊員たちが自動小銃を備えていなかったことに疑問を持ったけれどそれを次回に尋ねてみようと思っていていたのだがその機会があった。 先日と同じように装甲車が3台ほど広場の3点に散らばっていてそれぞれ3人ほどが警備しているところを通りかかった。 儀仗兵ではないのでイギリスやギリシャのように機械人形のように動いたり動かなかったりするのでもなく重装備、ベレー帽が憲兵であることを示していて眼はあちこちを見まわしているけれどそれぞれ立ち話で談笑かという風である。 そこに近寄って直接訊ねてみた。 ブリュッセルやパリ、スキポール空港では自動小銃携帯が普通なのにどうしてここではそれがないのかと問うと、笑って、それはハーグの市長がそれを許可しないからだと言った。 理由ははっきりしないし我々は政治にはコメントしないので分からないと言ったけれど想像できるのは、世界の政治の中心地のひとつであるここハーグは平和で安全な場所であり、その議会制民主主義の中心であるこの場所は世界の他の場所はどうであれ暴力や武器によるテロには屈しない所として確保してあるという市長の示威行為の姿勢を示すものかもしれない。 リベラルではありながら保守党で外務大臣をしたことのある市長の意図かそれともそんな市議会の姿勢なのかそんな匂いがしないでもない。 

実際問題として車は別としても自転車や人が自由に広場に出入りできるのだから爆発物を持ちこみ自爆テロを行ってもそのときは自動小銃でも止められるものではないのは素人でも分かり、むしろそれに至るまでの保安諜報活動のほうが数段重要であることはこの何年もの間に世界の各地で頻発する事件の結果学んだことであるのは言うまでもない。 自分の属する射撃クラブはもう何年も地元警察の射撃訓練のために射場を提供している。 それは近年予算を徐々に削られて警察の射場を閉鎖しそれぞれの射撃クラブなどに場所を依頼しながらも回数を極力少なくして警察署内では小さなスペースにコンピューター設備を用意し射撃シミュレーションで弾薬予算を削減していると聞く。 だから警官の射撃能力が初発目以降落ちているということも聞いている。 訓練はコンピューターゲームでやるのかと尋ねると我々は実弾訓練だけでゲームはしないと笑って小柄な美人の女性憲兵は応えた。 ここでは若くてイケメン、美女の憲兵ばかりである。 そういうところにも世間に向ける顔の体裁をつくっているのかもしれない。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/65444533.html

ビネンホフ(宮廷の内側)と呼ばれる議事堂コンプレックスの外側の正面入り口に国王ヴィレム2世の騎馬像がある。 その横にいつも小さな魚屋の屋台が出ている。 この日はそこで昼食代わりに白身魚の揚げ物を喰った。 註文して出来上がるまで待っている時先ほどの女性憲兵が入ってきて何人分かの揚げ物や生の鰊を注文した。 防弾チョッキをはじめ装備が重そうだったのでそれを訊ねると拳銃、弾薬、無線機器やその他で軽く10kgは超えているのではないかと言った。 けれどリュックサックのように一点で背に負うものではなく体全体に重さが広がっているので重いとは感じず単に慣れの問題でもあるといい受け取った昼食の入ったビニール袋をぶら下げて元の場所に戻って行った。 装甲車の中でそれぞれ交代で喰うのだろう。

その魚屋を見下ろすようにヴィレム2世の像がある。 自分がオランダに来たのは1980年でその春にユリアナ女王の長女ベアトリクスが王位を継ぎその日に騒乱事件があったのを記憶している。 その第一王子が今のヴィレム・アレクザンダー王として2013年に4代続いた女王から久々に男性元首となっているのだが幕末時代のオランダ国王がヴィレム2世だった。 性癖が男女ともに付き合う両刀使いでそれを脅迫の材料にされ結局は議会制民主主義を認めるようになったとも言われた人物だからオランダ国会の入口にこの王の騎馬像があるのだと聞いたことがある。 ペリーが開国を迫る前、アヘン戦争後に幕府に開国を求める書状を送るものの蘭学者を弾圧し蛮社の獄を導いた徳川家慶に拒否されたとも記録にある。 幕末時代のそんなオランダ国王像を見上げると頭に鴎が一羽とまっていてあらぬ方向を眺めていた。