暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

オランダ陶芸センターの開所式に行ってきた

2016年09月26日 23時18分47秒 | 日常

 

 

昨晩家人が突然、明日オランダ陶芸センターが引っ越して新しくなったところが開所するのでそのイヴェントに招待されているの、文部大臣も来るから美味いもの飲み食いできるんじゃないかな、行く? というので別段予定もないし只飲み只食い出来るならいいかなと考え、その場所を聞いて行くことにした。 その理由は二つ。

1)もうかれこれ35年ほどになるだろうか、北の州都グロニンゲンに住んでいた頃当時美大の陶芸科の学生だった家人と知り合い一緒に住み始めていた。 優秀な学生に3か月ほど奨学助成金が出て住み込みでオランダ陶芸センターで研究・実作、その成果を展覧会にし、そこでまた内外の若い芸術家たちと交流させるというようなプログラムだっただろうか。 デン・ボスという町から北西に5kmほど行ったところにあるマース川に面した港のある古い要塞の町、Heusden の閉鎖されたレンガ工場を利用したのがセンターで大きな窯を使った作業場、住居の併設されたものだった。 家人がそこで3か月作業している間に何回も週末北の町から250kmほど車で走ってここに来て他の陶芸家たちと交流したり小さいながらも味のある港、要塞を歩いて北の風景とは違う古いオランダを経験しそれが深く印象に残っていたこと。

2)今年の4月の終わりにオランダのウオーキング協会の合宿二泊三日のイヴェントがありそのうち土日と二日で38kmほど歩いてそれを下のように記している。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/65144028.html

このとき宿泊したのがデンボスから10kmほど南西の Oisterwijk という町の大きな森の中でそのときは電車で行くには駅から森の中の宿泊施設まで遠かったので車で出かけている。 けれど何回かその駅とその近くの古い町並みを歩き気に入って、また出来たら出かけたいと思っていたところに新しく移転したオランダ陶芸センターがその駅のすぐ近くだというのだし酒を飲むなら運転も出来ないから駅の近くだったら電車で2時間、老人用一日オランダ中乗り放題券があるのでそれを使えばいい、ということ。

これが行った理由だ。 自分の日本の友人にプロの陶芸家がいて自分も元々陶芸・骨董には興味があり若い時に窯焼きを手伝ったこともあり、グロニンゲンではオランダの陶芸協会の招聘で今は人間国宝にもなっている備前の陶芸家がオランダに滞在した時に世話をしたこともある。 だからそんなこともあり35年ほど前のセンターから今はどんなセンターになっているのかにも興味があったことがブラブラ出かけてみようと思った強い動機になっていることは確かだ。 ヨーロッパ中から集まってきて各自ここで模索しながら作業する若い陶芸家やその作品を覗くのにも興味があった。 35年前旧センターで見た茶碗が忘れられない。 アメリカ人の陶芸家の作品で色、釉薬の乗りといい形が素晴らしかった。 けれど当時20万円ほどの値段に踏ん切りがつかなかった。 今なら迷わないが当時はまだ貧乏な学生上がりだから買えず残念な思いをした。 だから今回そんなものがあれば、、、と期待したけれど大抵は作業にかかったばかりでそれぞれの作業場にはテストピースやデッサンやコンセプトをプロジェクターで映すコンピューターグラフィックなどが示されていて、なるほど35年前にはコンピューターで陶芸作家がこういうことをするようになるとは夢にも思っていなかった。 自分が大学の研究室で作業していたのは教室二つ分ぐらいのコンピューターにIBMの緑のモニターにアルファベットと数字を打ち込むぐらいでWWWもメールもない時代だった。 今のノートパソコンは自分がコトコト打ち込んでいた当時の研究室のコンピューターの能力にと比べると数倍になっているのだから今となっては話にならない昔話だ。

昔皮革工場だったレンガ造りの大きな一角が新センターになっていてその規模に驚いた。 昔のレンガ工場の敷地とは比べ物にならない。 だからそれぞれ作家たちのスペースも大きく大きなガス、電気窯がいくつも大きなスペースの中に配分されている。 昔のレンガ工場では決まった場所にある窯をレール上の長いトロッコに乗った作品が焼かれて移動するという平面式が今では6000リットルほどの容量の窯自体が上下して作品を覆い焼くといったシステムで、開所のテープカットのセレモニーでは焼きあがった作品の窯を上に移動させ現れた白磁の日常雑貨が急な温度の降下によりよって収縮することによって起こる金属的なチンチンという音を200人ほどの招待客が聴くという趣向だった。 作品を積み上げたその上には高温によるカゲロウのようなものが揺らいでいるほどでそんなスペースでの式典では暑く扇を取り出して扇ぐものも何人かいた。 だからそのあとすぐに皆冷たいもの、ビールに手をのばし口を潤すようだった。

写真はセンター長とオランダ文科省大臣の対話の様子、このオランダ労働党の女性文科相は在任4年で次官当時から文化・教育に実績を上げていて芸術。陶芸センターの移転、拡大のプロジェクトについてそのヴィジョンと将来の見通しを所長から問われて財政縮小下での文化・教育の観点に加えて地域振興、産学共同を力説した。 もともと大多数の陶芸作家が満足のいくサポートを受けられないからこのような国の資金によるセンターが必要になるのであって国からの意図はそれを産業に結び付けることで予算を計上できる、実際、このセンターの最終予算案は11月の議会で承認されなければちょっと苦労するかもしてない、と大臣がいうとすかさず、そのころ選挙はあるけれどあなたはまた現職を維持できるのかというような生臭い質問も飛んで笑いが出る場面もあった。 偶々招待客のなかに佐賀県窯業センターの研究員がいてそういうことを説明するとお国柄かはっきりとしたことをいうものだと感心していた。 いずれにせよ市長、大臣、国会議員、州議員等々と地域の力の入れようが感じられたのだが陶芸家たちには自分たちの活動環境が整えばいいだけのはなしでその具体的な話が国、州からどれだけ予算を引き出せるかということになるから地方、国の文化行政、政策に関心をもたざるをえず、ただの美辞麗句だけでは納得できないからこのようなものになるのかと部外者の自分はそんなやりとりを面白くきいていた。

尚、センター長から大臣に開所するにあたって彼女の「尽力」に対する礼として数キロの陶土がドカンと机の上に置かれ、それに加えて館内の窯で焼いたパンが土産として手渡されそれに対して一同から苦笑が漏れた。

オランダ陶芸センター、 Sunday Morning     ekwc (Europees Keramisch WerkCentrum)

 https://sundaymorning.ekwc.nl/en/


展覧会の午後

2016年09月26日 10時30分36秒 | 日常

 

昼前に起きて、ああビッグバンドの演奏が1時からあるのだと思い出し家人がいる公民館に出かけた。 日曜だから来場者が昨日より増えていた。 知人から花を貰ったといって家人は窓辺を指さすと強い光が花束に射して逆光気味の花束がまぶしかった。

隣のホールで定刻にビッグバンドが演奏を始めたのだが思っていたバンドではなくこの45年続けているアマチュアバンドで20人ほどの観客とともに平均年齢が70歳ほどの懐メロ専門のバンドで自分には心地よかった。 子どもの頃からのスタンダード曲が次から次へと飛び出してそれをビールを手に聴いていた。

夕方展示品を車でうちに持って帰ってから別の場所でこのイヴェントのパーティーがありそこに家人、娘とともに出かけた。 去年は小さな中庭で肩を触れあうような狭さの中で和気藹々とDJに乗せて会話が弾んだのだが今年は雨を心配したからなのか内部のだだっ広いカフェーで飲み食いしたのだがただ喰い飲むだけで見知った人たちがあちこちにいるのだがあいさつ程度で話し込むということも起こらなかった。 生のバンドにしても下手ではないけれど少々喧しく響き8時前には一同そこを離れてどこかに消えるというような去年とは違った雰囲気だった。