ルガーというのは我々子供の時から憧れの拳銃だった。 それはデザインが美しいルガーP08のことで、このほかのドイツ製ではワルサーP38、モーゼルC96などにもなじみがあった。 ワルサーの方は後ほど007ジェームス・ボンドが護身用のイタリア製ベレッタからワルサーPPKに変えられるところを小説で読んで四角いものからモダンな三角形のものになってボンドが急にファッショナブルになったような気がしたものだ。 けれどどういう訳かスマートなPPKにはあまり魅力を感じずむしろ見栄えのぱっとしないベレッタのほうに惹かれていた。
そのうちルガーにはドイツとアメリカのルガーがあると聞きいた。 20年ほど前に射撃を始めたときに第二次大戦中のルガー08の流れとみてもいいようなアメリカン・ルガー・マークIIがクラブの練習用の銃としてありそれを手にとってこれがルガーかと感慨に耽ったものだ。 それまではマークIIの形状からしてアメリカン・ルガーはドイツの製造元が姉妹、小会社を戦後アメリカに作ってそれが広がったのだろうと思っていたがそれは大きな間違いだった。 カタカナで書くとどちらもルガーなのだがドイツのP08は L, アメリカのは R の Luger, Ruger であり、こうなると全く別ものだったのだ。 日本人が喰う Lice と Rice の違いほどだろうか。
20以上年前に黒のマークIIを初めて手にしたときにはその銃身の形状からしてこのマークIIIより一層ルガーP08に似ていると思った記憶も二つが同系企業の製品だと疑うことがなかった理由だったに違いない。 ただ二つの銃は形状が似ていてもメカニズムが決定的に違う。 戦時中日本軍の拳銃だった南部式十四年式拳銃も枢軸国ドイツの写しだと言われたものだが形状は似ていてもメカニズムはマークI,II,IIIと同じもので、こうなるとP08の尺取虫構造は独特なものと写る。 尚いままでいろいろな拳銃を手に持ったけれど木目の美しいP08ほど手にしっくり納まる拳銃はなかった。 戦争映画のなかでもでもアメリカ兵が戦利品としてP08を欲しがるシーンがあるがその理由のひとつもこれなのかもしれない。
22口径の弾丸がまだ幾つもあったので金曜夜、久しぶりにクラブに行ってマークIIを撃とうと思ったら修理中でマークIIIがあてがわれた。 15mのところに的を置いて老眼鏡で10発撃った。 4発は直径5cmの中に、あとの6発は直径15cmのところに納まっており、握り具合、引き金の圧といいこれが練習用に最適だといわれる理由がこれで分かるだろう。
ウィキペディア: アメリカン・ルガー マークI, II, III の項;
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BCMkI
ウィキペディア:ルガーP08 の項;
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BCP08
ウィキペディア: 南部大型自動拳銃 の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E9%83%A8%E5%BC%8F%E8%87%AA%E5%8B%95%E6%8B%B3%E9%8A%83