暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

アムステルダム散歩(上)

2009年02月17日 08時45分56秒 | 日常
2009年 2月 16日 (月)

子供達と駅で11時に落ち合うはずが娘とそのボーイフレンドが遅れ結局アムステルダム中央駅からアムステルダムの大きな建築群を眺めながら15kmほど歩く予定が12時を周って始まる事となった。

もともと家人の希望でこの何年か彼女の誕生日、正月にどこかを家族で一日歩き回るのを行事にしていて去年はアムステルダムの旧市街を1600年ごろから1900年ごろまでの古い歴史的建築物を巡って一日歩いたのだったがそのときも中央駅から始めて西半分を歩いたから今年は北東半分の、この30年ほど港湾地区を埋め立てて大きな集合住宅コンプレックスを形成しているあたりを歩こうという本人の趣向に皆が賛同したと言うわけだ。

本当は新年の凍るような寒さの中を歩くのがいいのだけど、今年はクリスマスの頃に私も家人も道で転んで特に家人の踝の回復具合がはかばかしくなくこの日まで持ち越したという都合もあり、それぞれの予定を繰り合わせてみればこの日しかなかったという事情もある。 ビチョビチョ雨が降りそうだと前日の天気予報が伝えていたが初めのうちは曇り空が頭の上にのしかかっているだけだった。

この何年かずっと工事中の駅舎を出て一ヶ月ほど前にも息子と訪れた観光局の案内所に家人と娘が立ち寄って世界中からやってきた観光客で混雑するところからこのあたりの情報を何か漁りに行こうと入っていったのを少々うんざりしながら見た男たち3人は前の広場で手持ち無沙汰にぼやっと行き交う人を眺めていた。 スラブ圏の言葉にスペイン系、英語、アメリカ語、中国語も混じるのだけれど日本人と思しい顔つきの人たちもいるけれどあまり話さないようで言葉が聞こえないから日本人か韓国人かどうかはっきりわからない。 もう今頃はひところのように服装で見分けることはむずかしい。 行きかう人々の顔を見ながらそれぞれの生活を想像してぼんやりするのもこういう時だ。 そして駅舎の工事中の壁のそばには自分の帽子を逆さに置き、見せ金の小銭をそこに散らして古いクラリネットでヨロヨロの「ゴッド・ファーザー・愛のテーマ」をうらぶれた服、演奏で立ち尽くしている年寄りがいる。 こんな鬱陶しい昼間にはほとんど誰もこれには興味を示すはずもなくその節回しからルーマニアかそのあたりから流れてきたジプシーのように聞こえるのだがただ単に帽子を逆さにして物乞いをする輩よりはへたでも芸をするからというのか警官たちにも排除されず受け入れられているようだ。

やっと出てきた女共に導かれてそこから100mほどのところに新築された市立図書館に入りその内装、機能、デザインをエスカレーターに乗って眺めながら5階か6階の食堂まで上がる。 老若男女がそれぞれゆったりとしたスペースで思い思いに読んだり調べ物をしたりターミナルに向かってキーボードを叩いていたりなのだがCD,DVDの階が2階に渉っているのが今風なのだろう。 子供の階には遊べたり寝転んだりしながら絵本や何かを読んだり眺めたりする傍で親たちもゆっくりと時間をすごせるように出来ていて現代の公共建築の機能とデザインを体現したものなのだろう。 私を除いて他の連中は出る前に遅い朝食を摂っていたのかスポンジケーキとコーヒー、紅茶にジュースでまだ歩いていないのにもう休憩なのだが私の腹には何も入っていないのでこれから歩くだけのエネルギーを補給するのにビールと腹にも感じるサラダを注文して仕事場のカンティーンのような食事になるのだが同じ公共の食堂でありながら値段は4割方ここのほうが高い。 年寄りでスープやお茶で過す人はうちからサンドイッチを持参する人もかなりいるように見受けられる。 私も家の近くにこのような建物があれば一日中でも遊んでいられるから活字や映像が好きなものにはぶらぶらしているのにいいところだ。 場違いなように黒の薄い袈裟を着た尼さんが二人食事のテーブルを探していた。 台湾かベトナムかというような物腰で足のあたりは少林寺拳法でもやるような風情だが長い袈裟が膝横あたりから下に切れていて歩くと物腰が優雅なのだ。だから周りの静かな関心を集めていた。 たぶん中国の尼僧ではないだろうと思う。

図書館を出ると隣はコンセルトへボーの近くから引っ越してきたアムステルダム音楽院で知人が何人かここで教鞭を執っているのだが今日は訪れる時間がない。 ここから北に線路を抜けると良く通うジャズ・ハウスがありそれもほんの目と鼻の先なのだがこの新築の音楽院には来る事はないから図書館と音楽院の高い建物が並びあっている様が珍しかった。 古い港にかかる桟橋を渡ってNEMO(青少年のための、10年ほど前に建てられた科学技術博物館;そういえば子供達がまだ小さいときに子供の友達達をつれてここに来たことがありそれはもう7,8年前だったかもしれない)に沿って 昔の帰帆船のレプリカが浮かんでいる航海博物館の横を通り過ぎていよいよ街に入って舗道を進む。

運河に昔のヒッピーが昔、小さい人口島を作って浮かべている所をその70年代風ににやにやしながら跳ね橋を渡って抜け、昔の造船所の名残を右に見てアムステルダム動物園の北側を西に進み街中で今も大きく立っている昔の粉引き風車を仰ぎ見ながら直進すると広い通りが何百メートルも青空マーケットになっていて雰囲気が一変する。 移民が多い地区なのか、また、にぎやかなマーケットを行く人たちがどんなパスポートを持っているのかは別としてオランダ語を話していない人が圧倒的に多いようなところで、それぞれの屋台の商品の値段がやたらと低い。 あるところでは手書きで「主人がおかしくなったんです、こんな値段にするなんて」というようなことも書いてある。 布や日常生活に必要な道具にしても「普通」のオランダの町の店で売っているものとは質がかなり違うようだ。 ぶらぶらと眺めながらそのうちのひとつの屋台で焼き栗を買って道々皮を剥きながら甘栗を口に入れほぼ30mか50mごとにある通りのゴミ箱に殻を捨てながら歩いた。 ここでは歩く人々の90%以上にはオランダ語は第一言語ではないだろう。 


アムステルダム市立図書館
http://www.oba.nl/index.cfm/t/New_library/vid/53C6A39A-9969-DC55-21E64E8759ACEE68
アムステルダム音楽院
http://www.conservatoriumvanamsterdam.nl/index.shtml
NEMO
http://www.e-nemo.nl/en/