きのうは久しぶりに和歌山歌会に行きました。1時間歌会のあと、白井陽子さんの第一歌集『あすなろのままに』を読む会。
白井さんとは京都平日歌会でご一緒していて、最近はなかなかお互いお会いできなかったのですが、今回お誘いいただいて、ひさしぶりに和歌山歌会へ行ったのでした。前からのメンバーもおられて、懐かしく、一気に時間が戻ったような気がしました。
ゲストは永守恭子さん、なみの亜子さん、松村正直さん。
20名くらいの参加者があらかじめ歌集から3首を選び、コメントを書いたものをだしていたのを、スタッフの方がまとめてくださっていて、それをもとに話を広げていくという読む会のスタイル。そのあとゲストの3名の方がそれをふまえてのコメントと議論(参加者含む)を深めていきました。
お人柄のおおらかさ、行動力、家族愛、姉弟愛、「役割」ということがこの歌集の中心になっていて、まっすぐで共感しやすい、それがよくも悪くも全体を包んでいる。暗さのなさ、裏面、表現力、自分の届いていない部分の追求、意識をもってこれからそれらにどう向き合っていくか、と最後のほうは第二歌集への課題としてかなり厳しいこともあがっていました。
それはきっと、ゲスト、参加者、白井さんの間の信頼関係のなかで浮かび上がって来たことだと思いました。会としての雰囲気は温かく、心配りが行き届いていて、最後の白井さんの(長めの)コメントもすてきでした。
私が3首に選んだのは
・弟はたんぽぽ摘みて笛を吹くうぐいすの鳴く墓参りの日
・夕空に薄桃色の雲ふたつふんわりふんわりペダルが軽い
・どぶ川の底に生えたる藻が揺れる水の流れにからだを添わせ
観たものを写真に撮っていくように、歌にすることへの喜びが感じられる1冊で、忘れてかけていた気持ちを思い出させてもらった気がしました。
・新しきウォッシュレットのふたはいつ閉まるドアの隙間をじっと見つめる
今回再読しておもしろい、と思った歌。こういう興味の持ち方、それを歌にしようと思うのは白井さんの個性なので、そういうところを大事にして詠っていってほしいなと思います。白井さん、おめでとうございました。