ビアンカの  GOING MY WAY ♪

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   人生は ・・・ダバダバダ・・・

磁器の美

2008-05-27 | art/exhibit/museum

いいな、と思う磁器は高貴なものが多く、普段使いに
ちょっと買っておこうか、と言う気になっても安易に買える
値段のものは滅多にない。展覧会でも、ガラス越しに
しか見れないので、それほど興味が湧かなかった。が、
3月に戸栗美術館で開催されていた「鍋島-至宝の
磁器・創出された美ー」展を見て初めて素直に素晴ら
しいと感じた。一緒に行った友達の解説付きだったこと
もあり、尚のこと見入ってしまった。
   
   様々な文化が花開いた江戸時代において、
   独特の感性と最高の技術を併せ持って生み
   出された至宝、
それが、鍋島焼きである。

と聞くとますます一般庶民の手に届くものではなく敬遠
したくなるが、絵画鑑賞のように目の保養にはなる。

戸栗で見たのが良かったので、今回、出光美術館で
開催中の「柿右衛門と鍋島ー肥前磁器の精華ー」展
に行って見よう、という気になった。日比谷通りに面した、
帝劇ビル9階にあるのこの美術館を訪れたのは初めて。
やはりご年配の方が多いのは当然のこと。若い時分は
このような絵柄は古くてヤボで田舎臭いと思っていた。
結局それは本物を見ていなかった、と言う事だった。

17世紀後期に生まれた柿右衛門と鍋島は、日本の色絵磁器史上の金字塔
といわれるやきものです。柿右衛門は肥前の民間の窯により、主に西欧向けに
輸出された高級器で、彼の地の王侯貴族の城や邸宅を美しく飾りました。
一方の鍋島は、佐賀藩主の鍋島家から徳川将軍家などへの献上品として、
その威信をかけて特別につくられたうつわでした。鍋島の格調高い絵文様は、
他の窯の追随を許しません。

  
   (上)色絵栗樹文大皿 鍋島 江戸時代中期

出品リストは以下の項目別に並べられていた。

1.磁器の誕生 -小唐津から初期伊万里へ 
2.赤絵の創成 -初期柿右衛門の挑戦 
3.飛躍する肥前磁器 -寛文時代の色絵 
4.和様の深まり-優雅なるうつわ 
5.中国官窯への憧れ-技法の原点・五彩と豆彩 
6.鍋島の格調-大川内山・鍋島藩窯の世界
7.柿右衛門の優雅
8.古伊万里(金襴手)の華麗 -新たなる時代の色絵

そして 断片の数々

(左)色絵花鳥文八角共蓋壺 柿右衛門 江戸時代前期重要文化財



柿右衛門の特徴は純白の磁肌を多く残すことで、繊細に描かれている花鳥文や草花文
を引き立たせている作風だ。ヨーロッパ貴族の間での人気が高く、ドイツのマイセン窯では
模倣品を数多く作ったというから、江戸時代ってたいした時代だったんだなと思う。

会場が広々して見応え大だった。皇居のお濠に面した所に「断片室」というのが設けられ、
引出しを引くと断片が見れるようになっている。同じく窓際にはイスが皇居に向かって並び、
無料の給茶器
も備えてあるので、鑑賞後の休憩の場としては最適だった。

すぐ近くの新国際ビルの一階に“パティスリー サダハル・アオキ” を見つけた。中に入りショー
ケースをのぞいたが、どれも小ぶりで高い。最近はチョコレートでもなんでも高い店が軒並み
なので驚きゃしないが、奥のカフェ・・入ろうかどうしようか考えていた時、「写真撮影禁止」
の文字が目に入ってきたので入るのを止めた。どうしてもブロガー的決断になるんだよね。

暮らしの風4月号で「古伊万里の魅力」と題した陶磁研究家の中島由美氏監修の記事
を、処分する前に改めて読んだが、由美さんの父親が古伊万里染付人気の火付け役で
あり、「開運!なんでも鑑定団」で有名な中島誠之助氏だったことと、由美さんが戸栗
美術館の学芸員をされていることも知った。

 

これは2ヶ月前に行った戸栗美術館の「鍋島」展のパンフ
レット。小さな美術館なのですぐに見終わってしまうが
良いものが揃っているしホールではカフェも頂ける。(有料)
現在は、「初期伊万里展ー素朴と創意の日本磁器」が
開催されている。私たちがここを訪れた時は駒場民芸館
を見た後だったので、駒場から、歩きたがらない友を無理
やり歩かせ徒歩で来たけど、帰りは、こんな所にあったんだ、
と言いながら無人のような旧都知事邸のまん前を通り抜け
渋谷へと向かった。

 

          

4月に「中国陶磁名品展」を白金の松岡美術館(上下の写真4点)へ見に行った時は、中国の陶磁器の素晴らしさに目を見張った。ブログ記事が思うようにいかず、今ごろの写真upだけど、一階ホールが広々して気持ち良い。ここもカフェが出来るようになっているし、写真撮影は他の客の迷惑にならなければOKとのこと。日本の美術が中国の影響を大きく受けていたことがよく判った展覧会だったし、ブッダをはじめとする彫刻も素晴らしく、チケットを下さったKちゃんに感謝!でした。

       
 

戸栗、松岡、そして今回の出光と、今年は初めての美術館を知る機会に恵まれて嬉しい~。
が、今回有楽町で下車したのは、本当はボブ・ディランの「I'm not tere」を見るためだった!
シネカノンでの上映が金曜日までだったから。なのに満席でチケットが買えず、ならば、と、銀座テアトルシネマへ「ラフマニノフ・・・」を見るべく向かったが、始まってから少し過ぎていた。しばらく考えて、出光美術館へ行くことに決めたが、最初の目的は映画だったということだ。出光のあと、夕方の時間でもいいから見て帰ろう、と思い直し、またシネカノンへ寄ったら再び満席!こうなったら6月まで上映している渋谷まで行くしかないんだろうな。有楽町~銀座~帝劇ビル~有楽町~東京と行ったり来たりしてよく歩いた日だった。