☆一風呂浴びて一杯ひっかけて、そして一服やるのはなんとも言えない、まさに現世極楽だ。極楽は東西南北、湯坪にあり、酒樽にあり煙管にありだ!<o:p></o:p>
☆午後は風が出てまた孤独の旅人をさびしがらせた。<o:p></o:p>
☆行乞流転に始終なく前後なし、ちぢめれば一歩となり、延ばせば八万四千歩となる。万里一条鉄。<o:p></o:p>
☆方々へハガキを出す、飛んでゆけ、そして飛んでこい。その返事が懐かしい友の言葉が、温情が。<o:p></o:p>
☆世間師はあればあるように、なければないようにやってゆくだけの技術を備えている。<o:p></o:p>
☆何といっても世の中で高いのは酒、安いのは米。<o:p></o:p>
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今日は微苦笑寸劇に遭遇したと話します。或る下駄やで安いのを見ているとそこの若いかみさんが、直ぐに「御免」と言います御免とはお布施お断りの台詞です。そこで、下駄を買おうと思っていたのです。ずいぶんと又気が早いですなと言うと、赤い顔して泣き笑いしたと。「罪はないが快い出来事ぢゃない。」なんとなく分かります、山頭火としては不愉快なのでしょう。<o:p></o:p>
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三月二十七日 曇、終日臥床。<o:p></o:p>
昨夜飲んだ焼酎が悪かったのか、食べた豆腐に中ったのか腹痛を起こしています。<o:p></o:p>
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☆あまり健康だったから、健康といふものを忘れてしまっていた、疾病は反省と精進とを齎す<o:p></o:p>
☆旅で一人で病むのは罰と思うほかない。<o:p></o:p>
☆病めば必ず死を考える、こういう風にしてこういう所で死んでは困ると思う。自他共に迷惑するばかりだから。<o:p></o:p>
☆死! 冷たいものがスーッと身体を貫いた、寂しいような恐ろしいような、何ともいえない冷たいものだ。<o:p></o:p>