うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その97

2008-10-06 05:37:13 | 日記

一月二十九日 行程三里武雄温泉に宿をとります。福泉寺で朝酒を頂いてその勢いで一気に山越えです。「呼吸がはずんで一しほ山気を感じた」寺での思いもまだ残ります。「…千枚漬はおいしかつた。解秋和尚から目薬をさしてもらつた(此寺へは随分変り種がやつてくるそうな、私もその一人だらうか、私としては、また寺としても、ふさはしいだらう)。」<o:p></o:p>

 なおこの寺は紫式部の出生地とか、古びた一幅を見せてもらっています。<o:p></o:p>

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「故郷に帰る衣の色くちて<o:p></o:p>

   錦のうらやきしまなるらん」  どなたか解説を!<o:p></o:p>

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五百年忌供養の五輪石塔が庭内にあるといいます。さて武雄温泉、二銭湯とかで、きたなくて嫌だが、西方に峠を見せる城山は低くて今にも倒れそうだが樹木の繁った山と褒めます。<o:p></o:p>

「うどん、さけ、しやみせん、おしろい、等々、さすがに湯町らしい気分がないではないが、とにかく不景気。」とおっしゃっています。<o:p></o:p>

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一月三十日 天気もよし暖かく滞在とあります。どうやら懐のほうも大分暖かそうであります。意気軒昂といったところのようです。なにしろ解秋和尚からお布施をたっぷり、おまけに緑平老からも頂いたのです。これを称して山頭火、「どまぐれざるをえない」と言います。たっぷり恵まれていることを表わしているものと思います。<o:p></o:p>

「一浴して一杯、二浴して二杯、三浴して三杯だ、百浴百杯、千浴千杯、万浴万杯、八万四千浴八万四千杯の元気なし」<o:p></o:p>

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今日一日は怠けるつもりだったようですが、そこは思い返して午後二時間ばかり行乞しましたとは余裕です。<o:p></o:p>

「よき食欲とよき睡眠、そしてよき生欲とよき浪費、それより外に何物もない!とにかくルンペンのひとり旅はさみしいね」と言ってもほかにいうことはないと思いますが、如何なものでしょうか。なお、生欲を性欲と表示している資料もあるようです。まっ、どっちでもいいですが。<o:p></o:p>