観測にまつわる問題

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南西諸島防衛戦略

2018-03-24 19:07:20 | 政策関連メモ
軍事研究2018年2月号「統合運用「島嶼奪回作戦」自衛官が構想する南西諸島防衛」福好昌治」を読んで、島嶼防衛について考えていたのですが、ようやく考え方がクリアになってきました。

前提として現在のところ、南西諸島防衛における統合運用体制は確立されていないようです。考えなければならない点は福好の指摘からは大きく分けて3つ。

①南西諸島方面統合任務部隊司令部をどこに設置するか(福好氏によると、陸自・海自・空自の那覇駐屯地/基地のいずれか)

②指揮官はいずれから選抜するか

③司令部を平素から編成しておくか、武力攻撃予測事態になってから編成するのか(磯部晃一元陸将によると平素から保持しておくことが望ましい)

陸自・海自・空自全てが重要な役割を果たすので、①②を決めるのは容易なことではないようです(③は少々無理を押しても平素から保持すべきです。平素から専門家が考え訓練しなければ、到底有事に対応できるものではありません)。

軍事的な観点、特に戦術的な観点では専門家が考えると思いますので、筆者は政治的な観点、戦略的な観点から考えてみます。

あえて最初に(筆者の)本命を挙げてみますと、海自の佐世保地方隊に統合司令部を置いてゆえに指揮官は海自から選抜したらどうだろうかといことになります。その理由を以下列挙します。

①政治的な理由から沖縄を外して九州にしたいというのがまずあります。沖縄に司令部を置こうとすると、何時ものように大騒ぎになって、中々進まないの恐れがあります。米軍だけかと思っていましたが、石垣市長選での騒動を見ていると、どうもそうじゃないようです。また、新たな負担と言われる恐れがあります。ゆえに沖縄で安全保障政策が上手く進まなくなる可能性があります。沖縄戦を想起させるのも不味い印象です。

②軍事的な観点からも、水陸機動団が佐世保(相浦駐屯地)に置かれるなら、沖縄を外しても良いと考えられます。

③離島は九州北部にも西部にも南部にもあって、必ずしも沖縄だけが離島奪回の対象ではないと考えられます。特に五島列島(ウィキペディア)は難民が流れ着いたり、中国漁船の避難場所になったりしていますので、漁船や難民に偽装した兵士による侵攻を想定する時、佐世保は寧ろ最適な場所と言えます。

④近隣に工業力があった方がいいような気もします。

⑤沖縄との連絡(空路)には大村航空基地を使ってもいいと思いますが、佐世保なら海自所有の「空母」から飛行機を飛ばせるんじゃないでしょうか?

⑥佐世保湾にある佐世保基地は地形的に敵からの攻撃に強そうにも見えます(だからアメリカ海軍も基地を置いている可能性があります)。

⑦日本の中では比較的天変地異に襲われる危険性が少ないような気がします。

⑧アメリカ海軍が基地を置いているところに、先制攻撃を仕掛けようという馬鹿はいるのかという考え方もできます。専守防衛だとどうしても先制攻撃を受けることを想定しなければなりませんが、米軍基地があるところだと先制攻撃する意志をそもそも挫くことができる可能性があります。抗堪化・地下化するのは勿論のことです。

このアイディアにもいろいろ問題はあるかもしれませんが、筆者の佐世保基地(海自)が良いと考える理由は以上です。

日本最大の兵力を持ち水陸機動団を創設した陸自や、軍事論的には航空優勢を確保しなければ話にならないので空自も考えられるとは勿論思います。

何故福好氏が沖縄を想定したかを推測すると、(陸自や海自も問題がないとは言えないかもしれませんが)空自が南西防衛区域(沖縄)と西部防衛区域(九州・中国・四国地域の防空)に別れているからではないかということになります。南西防衛区域で南西諸島防衛を担うというのが素直に見えるかもしれませんが、統合作戦で連携する陸自や海自では沖縄と九州は一体化しています。そもそも南西諸島防衛体制が十分でなかったから、統合運用体制が確立されていない訳で、この際一から考え必要に応じて方面隊を再編成するというのも有り得る考えだろうと思います。


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