あび卯月☆ぶろぐ

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鹿内一族とフジサンケイグループ

2009-05-22 02:26:03 | 歴史・人物
「ヨリチカが死んじゃったね」

不意に教授が語りかけてきた。

「『兵隊やくざ』を書いた有馬頼義がですか?」

とトンチンカンな答えをする私。
有馬頼義(ありま・よりちか)は小説家で代表作『兵隊やくざ』は映画化され勝新太郎が主演をつとめている。
頼義の父親は戦前に農相を務め近衞文麿とも親しかった有馬頼寧。
戦後は競馬の発展に寄与し、年の瀬の競馬場の祭典「有馬記念」は彼(頼寧)の名に由来する。

返って来た教授の反応は「違う。アナウンサーのヨリチカ」
これはもっともなことで、有馬頼義は私が生まれる五年も前昭和五十五年に逝去している。
人は一度しか死ねない。

アナウンサーのヨリチカとは先日、死去した頼近美津子さんを指す。
なにゆえ教授が頼近さんの話題を振ってきたかはおくが、私は頼近さんの名をこの度の訃報で始めて知った。
昭和六十年生れの私には「元祖アイドルアナ」と云われてもピンと来ない。
報道で夫が鹿内春雄だったと知って今度はピンと来た。
鹿内の名はよく知っている。

鹿内一族はかつてフジサンケイグループを支配していた一族で春雄の父・鹿内信隆は、「ニッポン放送・フジテレビ・産経新聞というラジオ・テレビ・新聞の三大メディアを手中におさめ、マスコミ三冠王と異名をとった。」(ウェヴサイト「系図で見る近代史」より)

ただ、この信隆、産経新聞の社員からは評判が悪い。
彼は新聞はもう古いと云って産経新聞を潰しにかかり、地方支局を潰し、記者の新規採用をやめ、専売店も切って捨てた。
産経新聞が死にかけた頃、彼は自慢のフジテレビ社長の肩書きで郵政大臣に会いに行った。
ところが、偉いはずなのに大臣室のまえで随分待たされる。
気を利かせた側近が「彼は新聞社の社長でもあります」と官房に伝えたらすぐに大臣が招きいれた。
役所からしてみればテレビ局は郵政省(当時)から電波枠をもらっている立場で役人からみれば出入り業者の一つにすぎない。
彼はテレビ局の社長より新聞社の社長の方が偉いんだと悟り、産経新聞を潰すのをやめたといわれている。(高山正之「居候のクーデター」、『スーチー女史は善人か』参照)

その息子、鹿内春雄は現在まで続くフジテレビのエンタメ路線を固めた人物。
出版部門でも堅めの「週刊サンケイ」を廃刊にしてエンタメ雑誌の「SPA!」を作った。
フジサンケイのシンボルマークもこの時作られたものだ。
あの目玉のデザインはイラストレーターの吉田カツが手掛けたとされているが、夫人の頼近美津子がデザインしたという話もある。
若者・子ども向けの「軽(カル)チャー」路線、「楽しくなければテレビじゃない」のコピーを掲げ、昭和五十七年から年間視聴率でTBSを抜いた。
春雄のエンタメ路線は成功を収めたといっていい。

六十三年に鹿内春雄が急逝してからは鹿内家に養子に迎えられた鹿内宏明がグループを掌握することになる。
ところが、宏明は春雄が進めた路線に否定的で自分色に染め替えようとした。
為に、春雄の腹心だった日枝久(現・フジテレビ会長)らを中心としたメンバーからクーデターを起こされ失脚。
表向き、鹿内一族の支配は終わりを告げた。
とはいえ、筆頭株主の立場は崩れない。
その後のフジテレビの歩んだ道はこの鹿内家の影響力を落とす二十年間だったともいえる。
その為にニッポン放送もフジテレビも上場し公開株式にした。

その隙を突いたのが御存知ライブドアの堀江貴文。
フジサンケイの中核フジテレビをフジテレビよりずっと小さいニッポン放送が支配するというねじれを利用し、フジテレビ、ひいてはフジサンケイの支配を目論んだ。
この時、大人の解決方法があるといって騒動の調停を名乗り出たのがSBIの北尾吉孝という人物。
なんと、北尾氏は宏明の長男・隆一郎と懇意の仲で、それゆえ鹿内一族はこの騒動に乗じて復権を狙っているのでは?との憶測もでた。

のちの経過はみなさん御存知の通り。
堀江の野望は失敗し、今のところ鹿内一族がフジサンケイの支配者に返り咲く気配も無い。

以上、フジサンケイグループの歴史の一断面だが、さらっとなぞっただけでも色々な人物が登場して大河ドラマのようだ。
エンタメ好きのフジテレビは是非このドラマを作って欲しい。
「鹿内一族盛衰記」とかそんな題名で。

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1 コメント

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Unknown (龍冬季)
2012-08-19 18:17:32
サンケイグループと聞くと

右寄りというイメージですが

それがどうしてこんなアホなバラエティばかり

の局になってしまったのか興味があります。
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